神戸大学と関関同立の合格者の男女比は明確に違う~数学の壁とIQの真実
これから書くことは統計的データや科学的知見、それに私の経験に基づくものです。女性を差別しようという意図も、「私は女でも違う」というような方に意見をしようとするものでもありません。一般的な傾向であり、それに合致するなら進路や学習に利用する、あるいは考え直す材料に使っていただきたいだけです。
様々なデータから大学の合格実績を見つめていると、ある明確な「差」に気づきます。それは大学別の合格者の男女比です。
阪神間のトップの公立高校や2~3番手の中高一貫私立の真ん中より少し上の成績の生徒が進む「関関同立」の合格者を見ると、文科系では女子の生徒が圧倒的に多くなります。一方、理系では男子が圧倒的に多い。しかし、これらの進学校でも上位層が進む「神戸大学」などの難関国公立大学になると、文系理系に関わらず合格者に占める男子の割合がぐっと高くなってくるのです。
私の経験上、関関同立に進む生徒と神戸大学などに進む生徒では、英語や国語の能力の差もありますが、圧倒的に大きな差は数学で出ます。文系でも共通テストや二次試験で数学が大きな比重を占める上位の国立大学と、英数社の3教科受験でよい私立の文系の差は、何よりも数学の能力で決まります。
そしてこの数学の差は、国立大学や私立大学でも英数理の3教科受験の理系で男子が圧倒的に多いことから、男子に有意なことが分かります。この理由と、各学力特徴別の進路選択についてお話していきましょう。
大学別・文理の男女比一覧(公式データ)
| 大学名 | 文系学部の男女比(※) | 理系学部(工学部)の男女比 |
| 関西学院大学 | 男 33% : 女 67% | 男 89% : 女 11% |
| 神戸大学 | 男 76% : 女 24% | 男 85% : 女 15% |
| 大阪大学 | 男 73% : 女 27% | 男 85% : 女 15% |
1. 知能(IQ)のグラフに見る「男女のちょっとした違い」
一般的に「IQ of 平均値」そのものは男女でほとんど変わりません。しかし、統計データを詳しく見ていくと、男女で「点数の散らばり方」に面白い違いがあることが分かっています。
下のグラフのように、女子のデータは平均値のまわりにギュッと集まる傾向があります。極端に高い子も少ない代わりに、極端に低い子も少なく、全体的にとても優秀な水準で安定しています。
一方で、男子のデータは裾野が横に広く、なだらかに潰れています。これは、「飛び抜けて得意な子」と「かなり苦手な子」の両極端に男子が分かれやすいという、二極化の特徴を持っていることを示しています。


2. なぜ男子のデータはこれほど「ばらつく」のか?
なぜ男子はこれほど両極端に分かれやすいのでしょうか。それを解き明かす鍵は、「年齢ごとに発達するIQ(知能)の種類」と「男女の成長スピードのズレ」の組み合わせにあります。
人間の知能には、大きく分けて次の2つのシステムがあります。
- システム1(処理速度・暗記型の知能): 情報をパッと処理したり、覚えたパターンを反射的に当てはめてスピード解決する「脳の瞬発力」。10代前半までに大きく発達します。
- システム2(流動性推論・論理型の知能): 未知の難問や複雑な論理を前に、15分も20分も粘り強く考えて独自の仮説と検証を繰り返す「深い思考のスタミナ」。10代後半に発達のピークを迎えます
女子は全体的に脳の成長が早く、「10歳〜11歳頃(小学校高学年〜中1)」には一旦の完成期を迎えます。そのため、早い段階でこの「システム1(暗記・処理型)」の知能が見事に開花し、手堅くまとまります。中学時代にコツコツと内申点「オール5」を揃えてトップ校に進むのは、この時期にシステム1を早く完成させた優秀な女子や、早熟なタイプの子たちです。女子が堅実に暗記型の科目で得点を取り、一般的に大学受験で高い成功率を収めるのはこのためです。
一方で、男子の脳はゆっくりと生育していきます。最高次の論理思考を司る部分の成長ピークは「15歳〜17歳頃(中3〜高2)」と遅く、高校生以降になってようやく本格的な脳の配線工事が始まります。この遅れてやってくる成長期に、じっくり考える「システム2(流動性推論)」の知能が花開くのです。巷で言われる「男子は理系(数学)が強い」というのは、この10代後半の流動性IQの伸びを考えれば、納得がいきます。
この成長の遅さとダイナミックな変化が、男子の中に次の二極化を生み出します。
- 高校生以降、遅れてエンジンがかかり、システム2の論理的な知能を開花させて大学受験で成功を収める子(右端の層)
- 10代前半のシステム1(暗記)の波にも乗れず、さらにスマホなどの環境によって、10代後半のシステム2(論理)の成長も途中で止まってしまった、どちらも間に合わなかった子(左端の層)
(参考文献)
二重過程理論 ダニエル・カーネマン(ノーベル賞受賞者)ら
知能のCHC理論と臨床活用へ向けた考察、WAIS-ⅣとCHC理論で知る“あなたの知能”と自己理解、『ファスト&スロー(上・下)』著者: ダニエル・カーネマン(ノーベル経済学賞受賞)
『「男の子の脳」を伸ばす子育て』『「女の子の脳」を伸ばす子育て』(著:レナード・サックス / 訳:伏見威蕃、新潮文庫)
『辛口知能論』(著:安藤寿康、ちくま新書)
3.この差が高校の逆転劇につながる
もちろんこのような差が男子と女子の間だけではなく、女子の中でも起ることはあるでしょう。この成長のズレこそが、最上位の公立高校や中高一貫の進学校であっても、大学進学時に「大規模な逆転劇」が起こる原因に大きく影響しています。
例えば公立高校において、神戸高校に行く生徒と御影高校に進む生徒は、高校受験の時点では学力にはっきりと上下関係があります。ところが高校に入ると、神戸高校では上位2〜3割に入らなければ神戸大学に届かず、真ん中より上レベルでは関関同立がボリューム層になります。その一方で、ワンランク下のはずの御影高校であっても、上位層は神戸大学に合格し、上位3割に入れば関関同立に進学していきます。
これは何を意味しているでしょうか。高校受験の時点では「成績優位」であったはずの神戸高校の生徒の半分以上が、高校の後半では、下位の高校の生徒たちに追いつかれ、追い抜かれているということです。中学時代に「システム1(暗記・処理型)」の力技だけで高校受験を要領よく乗り切ったトップ校の生徒たちが、高校からの本格的な理解力が必要な学習において、遅れて脳のインフラ(システム2の流動性IQ)を開花させてきた中堅校の生徒たちに、見事に抜かれているのです。
男子をはじめ「後からシステム2を大きく伸ばして成功する」という生徒と、「暗記型のシステム1」で理解力が必要な高校の理数系科目の成績が伸びない生徒の、このような激しい逆転現象が毎年数十万人単位で起こることになります。
このあたりの詳しいお話は「中学・高校受験までのIQ、大学受験のIQ 小学生のトレーニングと努力できる遺伝子で決まる子供の将来」「大学入試で必要な学力は模試の学力~定期テストは良いのに模試がダメな高校生の特徴」をご覧ください。
4. IQテストの中身を見ると、さらに違いがはっきりする
世間では「IQが高い」と一括りにされがちですが、IQテストの中身を「記憶・処理型」と「じっくり考える論理型」に分けてみると、得意領域の差がさらに見えてきます。
文字や記号を素早く正確に処理する「記憶・処理速度」のIQテストでは、全体的に女子が安定して高いスコアをとります。決められた範囲の解き方を丸暗記して、時間内に正確に解く「中学・高校受験」では、この処理スピードが速い子が圧倒的に有利になります。だからこそ大学受験でも関関同立の文系などの暗記科目では、この強みを活かした女子が圧倒的多数を占めることになります。
しかし、知識が通用しない初見のパズルや法則性を見つける「論理型(システム2)」のIQテストを行うと、今度は男子のトップ層に非常に高い数値を出す子が現れます。
中学時代は処理が遅く、暗記を嫌って中堅校や下位校に進んだ男子の中に、この「論理型」の才能を秘めた子が眠っています。彼らが高校生になり、自分でやる気になって地道な努力を始めた瞬間、中学時代の丸暗記の貯金だけで自惚れていたトップ校の生徒たちを追い抜いて神戸大などの国公立へ進んでいくのです。
4. 我が子はどのタイプ?特性に応じた「4つの進路の選び方」
では、親御さんはお子さんの特性をどう見極め、どの大学を目指せばいいのでしょうか。お子さんの「暗記の強さ」と「数学的な論理の強さ」のバランスから、進むべき道は大きく4つのタイプに分けることができます。
| タイプ | 子どもの特徴 | ぴったりな進路の目安 |
| ① 暗記文系タイプ | 比較的暗記科目が得意。コツコツ覚えることはできるが、数学の深い論理思考や初見の応用問題には苦手意識が強い。 | 私立大学の文系(関関同立など) 苦手な数学に無理に時間を割くよりも、得意な英語や社会の暗記力をしっかり磨いて、私立上位を狙うのが効率的です。 |
| ② バランス国公立文系タイプ | 暗記科目も得意でありながら、苦手な教科を作らない器用さがある。数学も結構得意で。 | 国公立大学の文系(神戸大・大阪大など) 共通テストのようにたくさんの教科をこなすバランスの良さを活かし、総合力で国公立を狙う戦略がベストです。 |
| ③ バランス国公立理系タイプ | 論理的な思考力があり、数学や理科が得意。その一方で、国語や社会などの暗記科目にもそれなりにコツコツ取り組める。 | 共通テストが必要な国公立大学の理系 2次試験の数学でしっかり得点しつつ、共通テストの総合力でも足を引っ張らないため、神戸大などの国公立理系に最も適性があります。 |
| ④ 論理特化型タイプ | 数学や物理の難しい問題はパッと解けるが、興味のない社会の暗記や、国語のスピード処理などはどちらかといえば苦手。 | 私立トップ理系(早慶など)や医学科 共通テストの総合点では少し損をしやすい。英数理3教科受験の私立の理系の最上位を狙うのがベスト。 |
結論:大切なのは、生徒の特性を考えた適切な指導と学習
このような生徒の特性を考えず、何が何でも国立大学であるとか自分は夢があるから理科系に行きたいなどという生徒や親御様が非常に多いです。けれど数学が苦手な文系タイプの生徒が、国立大学の共通テストや二次試験の数学対策をしても成果が上がることは少なく、結局国立大学で失敗し私立大学に行くことになります。そして最大の問題は、その私立大学の受験も失敗することが多いですということです。苦手な数学に手を出して英語や国語の学習をないがしろにした結果です。本来なら行けた関関同立にも行けず、さらに下位の大学に進むことになり、就職にも大きな禍根を残すことになります。
一方で、数学が非常に得意な論理特化型の生徒にも同じことが言えます。苦手で嫌な暗記科目などに下手に手を出して共通テストで失敗して、数学や英語だけを学習していれば進めたトップクラスの理系の私立大学、特に医学科などには進めなくなる。
このように生徒の特性を無視した進路指導や学習は生徒の将来に大きな傷を残します
我が子の本当の才能を見極め、高校からの学習を本当に実りあるものにしたいと思われる方は、ぜひミドリゼミにご相談ください。ミドリゼミでは、高校名に関わらず、「高校で本気で頑張ろう」という生徒を全力で応援し、個々の特性に合わせた最適な指導を行っています。


