国立大学でも文系でいいのなら中学受験に大きな意味はない、悪影響が大きい
中高一貫校が持つ「圧倒的なアドバンテージ」は理系のみ
中高一貫校の進学校では、数学などでは、中学3年生からに高校内容へ入ります。優秀な生徒では、学習内容が簡単な中学の学習は3年分を2年間に圧縮しても、大きな問題が起こりません。これは、理数系志望者であれば、公立高校なら高校3年生の半ば以降までかかる数Ⅲなどの理数系科目の学習を、高校2年生で終えられることを意味します。共通テスト直前に理数系科目の基礎学習が終わる公立高校の生徒に比べ、高校2年生はでき総学習を終えて充分な受験準備ができる中高一貫の市立は圧倒的に有利になります。
この結果、国公立大学の医学科系では、ほとんどが中高一貫校の私立の生徒で占められるような状況になっています「「国公立大学医学科合格者は中高一貫私立ばかり」という新聞記事が出た/でもその理由までは書いていないので説明します」。
一方で、文系志望者では中高一貫校が持つメリットはあまりない
ところが文系志望者では国公立の受験科目の数ⅡBCでは、公立高校であっても高校2年生で終えます。入試までに1年以上の準備期間があり、十分な準備をすることができます。もちろん中高一貫の進学校では、高校1年生に終わるのですから準備期間が2年になり、より長期間多くの準備ができるということになります。
ところが、この応用力育成にかかる準備期間というのは1年間あればほぼ十分であり2年間必要とするものではありません。勉強をさぼってこの準備期間を浪人に引き伸ばしたところで、一浪すると大きな効果はありますが、二浪しても一浪とは大した差がないのと一緒です。
特に、最初から「文系」志望、あるいは最終的に神戸大学や大阪大学などの文系学部を目指す生徒にとって、中学受験をしてまで中高一貫校に進むメリットは、ほぼありません。
「でも、一貫校なら難問演習を早くからやれるのでは?」と思う親御さんもいるかもしれません。 しかし、例えば大阪大学の文系数学などで出題されるような難問は、合格者の大半も本番では7割も解けません。合否を分けるのは、難問の奇策ではなく「共通テストでの高得点」と「二次の標準〜頻出問題を確実に完答する基礎力」です。だから1年も準備期間があれば十分なのです。
中高一貫校のデメリット・・中3の頭脳に「高校数学」を詰め込む愚
ところが、理系であってもこのメリットが生かせる生徒ばかりだとは限りません。
なぜ、早いカリキュラムが武器にならないのか。 それは、中学3年生という精神的にも理解力的にもまだ幼い段階の子供に、抽象的で高度な高校数学を無理やり教え込んでいるからです。年齢相応のペースで段階的に基礎を固める公立に比べ、当然ながら脱落する確率が跳ね上がります。公立でゆっくり学んでいれば十分に理解できたはずの基本を消化不良のまま置き去りにされ、授業だけが先に進む。その結果、高校生になる頃には「理解不足の借金」だけが雪だるま式に膨れ上がります「中高一貫進学私立は公立高に比べて大学受験に有利なのか?/神戸大レベルでは逆効果?」。
上位進学校と認知されている六甲クラスでさえ、学年の中央値あたりにいれば最終進学先は関西学院大学や同志社大学あたりに落ち着きます。甲陽クラスでも下位では関関同立でづ。 つまり、この猛スピードの先取り授業を自分の力にできるのは、六甲などの進学校でもで上位3割、甲陽クラスでも上位半分の生徒だけです。残りの半分以上の生徒にとっては、学力を伸ばすどころか「落ちこぼれるリスク」を買っているに過ぎません「中高一貫校は中学から4年以上高校の学習をする。それでも、関関同立にも合格できない生徒がなぜ多いのか?」。
関関同立でいいなら、なおさら中学受験などいらない
「国立がダメでも、関学や同志社に行ければいい」というのであれば、なおさら中学受験も、その後の無理なハイスピード授業も一切不要です。
私立文系は3教科に絞れるため学習量にも余裕があり、入試問題も素直な基本問題が中心です。神戸高校で真ん中、御影高校あたりでも上位2〜3割をキープしていれば普通に合格できます。小学生の大切な時期に莫大な塾代と時間を費やし、中学で無理な先取りに潰されて関関同立に行くくらいなら、地元の公立ルートで高校から手堅く勉強して受かる方が、子供の負担も親の財布もはるかに健全です。
では中学受験させるかどうかの現実的な見極めとは
以上のように中高一貫の進学校に行くメリットは上位の国公立大学の理系、あるいは国公立大学の医学科に行く以外はありません。
このレベルの生徒に必要な能力というのは、数学に絶対的な能力があることです。中学受験ごときの算数でわからない問題があるとか、進学塾の授業についていくために特別講習や個別指導をつけなければいけないのでは、国語や理科という暗記科目などでかさ上げして中高の一科の進学校に入学したところで、早く始まる難易度の高い高校の学習でどうせ落ちこぼれます。だから、六甲クラスでも上位3割しか、大学受験には数学がある国公立大学には行けないのです。
そうして、親御様もご自分の経験からもお分かりの通り、この数学の才能というのは努力して勉強したからといって、大阪大学や神戸大学クラスのレベルにまで上がるものではありません。先天的な能力の割合が大きいです。だから算数が苦手な子供が無理に中学受験をして進学校に入ったところで、どうせ国立大学には届きません。
だから算数が得意で上位の国公立大学の理科系などに進むのでなければ、国公立大学にしても文科系なら公立高校で十分だということになります「国公立大学に合格するには、文系でも数学が最重要」。


