狂っている高校の数学の授業/生徒の将来の礎になるために教師はいることを忘れている
最近の高校の数学の教師って、公式を全部暗記させるんです
公式の導き方の説明もせずに、公式を板書して「おぼえましょ~」っていう、高校の数学の教師が増えてきています。信じられないです。ちょっとした違いで+と-逆なんてことが多い公式、丸暗記するのはムリです。定期テスト前にその分野を学習している間ならいいですが、他の分野も他の科目も学習しないといけないのに、入試までおぼえ続けられるわけないやろ!
それで、何をするのかと思えば、こういう教師は公式丸暗記を試すために、公式を当てはめるような基本問題を山ほどテストで出すんです。基本公式だけおぼえていて、後は自分で導いてなんて言う生徒が高得点できないようにです。
入試では数学なら120分で5問程度の出題で、ポイントは公式丸暗記の多問解答ではなく、捻った問題の題意の把握にあるのにです。公式は導き出せればそれでいいんです。
何でこんなバカげたことがまかり通るのか
理由は二つあると思うんです。一つは、底辺校や中堅校では、ややこしい説明をしても生徒が聞かないし理解もできないので、「おぼえろ」になる。これは私にも理解できます。
ところが、進学校でも公式を羅列して「おぼえろ」っていう教師が多いんです。入試では役に立たないのに。それでいて、「後はよろしく」とばかりに、進学校で一番肝心な応用問題の題意の把握も教えずに、問題集の解答丸写しの板書をして「こう解きま~す。」って授業をしている、最低最悪の教師がとてもとても多いです。
そして、生徒にはチャートも4ステップも、あれもこれもと丸投げします。生徒に負荷だけを押し付けて、自分は解答丸写しの授業で給料をもらうんです。お前、何教えてるねん・・・給料ドロボーかっていう教師が、非常に多い。
一方で、極端に走る私立の進学校
私の塾の、この辺りでは有名ない進学校の生徒がいます。中学から高校に上がった途端、青チャートを丸投げされて大変なんですが、それに加えてこの高校でやったことは、「大学への数学」丸投げです。
大学への数学とは、数学マニアが使う問題集で、通常は大阪大学や京都大学の難問奇問対策として、一通りの入試問題も解けるようになった優秀な生徒が高校3年生の夏休みなどに仕上げに行う、超高難度の問題集です。この問題集を選択した教師って、出来もしない8割がたの優秀な生徒をいたぶって、落ちこぼれさせて、それで面白いんでしょうか?
今私の塾で、高校2年に上がる時期になり、チャートの数ⅡBを終えたこの生徒に塾でやらせているのは、「数研の入試問題集」です。しかも文理の優しい方です。この辺りが、チャートを卒業して入試問題に慣れて行くのに最適なレベルだと思ったからです。案の定、2問に1問くらいは解答を見ても「?」で、私に聞いてきます。ということは、チャートの基礎と大学への数学の間の、実践的な入試レベルの学習がガタガタだったということです。
教師の本分を忘れている
この学校は進学校ですが、大阪大学に行けたらまず大成功という学校です。だから、「大学への数学」など、高校3年生の夏休みになっても上位1~2割の生徒にしか役に立たない。それを高校1年生にぶん投げて、8割方の生徒は落ちこぼれるだけの無意味な学習を強制し、上位の生徒でも高校1年生では「アア~そういうマジックもあるんですか」程度しか理解できず必要な学力も身に付かない学習を強いている。
チャート丸投げの次は、生徒にできそうもない難問奇問を自慢げに投げつけて「オレ様はエライんだ!」とやるのは、どうなんでしょうか? 教え方が上手いとか下手とかではなくって、教師の価値判断が根っこからおかしいからこんなことが起こるんですよ。
高校の教師や、塾の講師に必要なのは、生徒の将来への礎になることだということを忘れて、楽な授業と、「オレ様」授業に走ってどうする。