超一流大学じゃないと大学卒の意味はなくなる? ジョブ型雇用を勘違いしていないか?

従来の雇用制度とジョブ型雇用制度の違い

従来の日本の総合職の採用は、新卒一括採用で採用後にはどの大学でも平等に競争させて昇進を争うというものでした。だから、京都大学卒業であっても関関同立であっても、一流企業に入りさえすれば、それ以後の企業人生は本人の能力と努力によるということが建前だったわけです。もっとも、大学によって昇進に有利な仕事と不利な仕事を分け与えられることも多かったですが。

その中で、様々な職種を経験し本人に最適な部署で働かせる、あるいは幹部候補に選ばれたなら様々な部署で働き会社の全体像を把握する人事も一般的で、転勤も多かったわけです。これが「専門知識が浅く他の企業で通用するスキルが身に着かない。転職したくても出来ない。」という状態に多くの総合職採用の社員がなり、リストラが一般的になった最近では批判の的になっていたわけです。

そこで、最近はジョブ型の雇用が社員からも求められて一般化しつつあります。職種を固定し、その中でスキルを磨くのがジョブ型の雇用です。この雇用形態はアメリカなどでは一般的です。これならその職種では深い知識と技能が身に着き、その職種なら他企業に転職もしやすい。

これ、ジョブ型雇用の一般的な認識だと思いますが、いいところだけを集めている話に踊らされているだけの気がします。

ジョブ型雇用と最近の新入社員の高給待遇

ジョブ型とは、日本ではその道を究めて、いずれ課長、部長と昇進してと多くの若者が考えていると思います。でも、平社員のスキル中心の仕事と彼らを取りまとめるマネージャーとしての課長の仕事は違うし、部の経営的な側面を考える部長の仕事も違います。そんなものはジョブ型ではありません。

ジョブ型とは、平社員のスキル中心の仕事であり、そのスキルをおぼえて一生その仕事をやるというものです。昇進などない。これがジョブ型本家のアメリカのジョブ型です。昇進の見込みもないのだから、5時になれば仕事の途中でも放り投げて社員は帰宅します。

こういう仕事と仕事のやり方は、昔は本社採用ではなくその地域の採用である一般職採用で短大卒のOLという女性が担っていました。無責任に5時に帰宅はしても、彼女たちがいないと実際の事務は回らず、課長などは彼女たちのご機嫌を取るのが大切な仕事になっていました。実務は中途半端な技能しか持たずに、会議や企画だけをしている総合職の男では実務は回らなかったのです。

スキルを磨いてジョブ型というのは、このOLの仕事のことです。この仕事が普通の大卒に降ってきていると考えていいと思います。だから、ジョブ型雇用は技能を積んで昇進するとは相反する雇用形態です。管理能力や経営能力が必要な仕事では、それぞれに合わせてジョブ型で採用される。それはユニクロなどで既に実践されています。

だから、若者が称賛するジョブ型雇用では、その若者自身はOLと同じよう技能職として重宝はされても昇進はない。若いうちは修行半分で安い給料でこき使われても、だんだんと難しい仕事や管理職をまかされ給料も地位も上がっていく総合職制度ではない。事務職として雇用され、その職務が給料が40万円と見なされているなら、初任給も家庭を持って金が必要になっても40万円です。これがジョブ型雇用です。雇用差別だとして一般職採用がなくなり、それに代わってジョブ型と名前を変えたに過ぎない。

今、若者で称賛されているジョブ型雇用は、スキルを上げて転職して地位も高収入もというジョブ型と総合職の雇用のいい点しか宣伝されていない。ジョブ型雇用なら、転職して多少給料は上がっても、やはりその職務に応じた仕事と給料でしかない。

ジョブ型雇用用の最先端

ユニクロなどでは、高い初任給で雇用し、現場の店長というジョブ=本社の決めた管理業務を忠実に実行するという仕事を任せます。新入社員たちは高い初任給と、最初から店長のような管理職を任せられる期待で働きますが、2~3年経つと店長の上に昇進はないことに気づきます。もちろん大幅な昇給もありません。ジョブ型雇用だから当たり前です。

そして、現実を知って2~3年で辞めていく。

彼らがジョブ型雇用のいい面だけを見て、総合職採用と勘違いしているからです。

なぜこんなことになってきているのか?

少子化が大きく影響していると考えられます。30年前の半数に若年層の人口は減っています。だから京大卒だと言っても、昔は神戸大くらいの生徒が混じっている。神戸大だと言っても関関同立レベル。

そこで、ユニクロのようなサービス業に応募してくる層の大学生だと、自分で判断して企画するような従来の総合職としての仕事は無理だということになり、本社のマニュアル通り働けというジョブ型でしか現場を動かせなくなっていてる。

この状況が、人事・総務・開発などのあらゆる現場で起こっていくはずです。昔は短大卒がやっていた実務を4大卒が担い、ジョブ型雇用だと初任給だけ膨らませて大学生を騙して雇用する。企業はそのつもりで雇っているのだから管理職としての適性など考えない。一生現場の定型業務です。ソコソコの大学を出ても40歳で課長などと言う未来はなく、給料も上がらない。

日本の強みであった、誰にでも昇進の可能性があるから、みんなで一生懸命働くという現場の強さはなくなって行くはずです。

じゃあ、経営や企画に参画する社員は?

ユニクロでは、外資系企業から引き抜いた社員、有名大学の院卒の社員を本社機能を担う人材として採用しています。彼らは高給で雇われ、その給料に見合うだけの仕事をしないといけない。入社時に現場の監督として雇われた4大卒はこの中には入れない。

これ、アメリカの雇用形態と同じです。だから、アメリカなどでは4卒で企業に入社し、ここまで書いてきた壁を思い知った若者が退職して大学院に進みMBAを取るのです。

ただこの層は日本で言う管理職扱いですから雇用は守られておらず、無能だと査定されればすぐに首を切られます。だから、死ぬ気で働かないといけない。ゴールドマンサックスの若手社員の平均労働時間は95時間/週です。

日本が落ちぶれていくこと間違いなしの点は、このレベルにまでジョブ型雇用の9時・5時勤務と無能でも飼い殺しにしないといけない労働者保護をしている点です。世界中から有能な人間を集め、週95時間以上働くアメリカの企業に「ノー残業」など言っている日本企業が勝てるわけがない。おまけに、4大卒のレベル低下とジョブ型雇用の導入で、日本の強みであった現場で一生懸命働くことなどなくなる。トヨタ式のカイゼンなど不可能になって行く。トップ層も現場も劣化し、無能なトップ層の経営企画とマニュアルで、アメリカやヨーロッパ並みにやる気のない現場がイヤイヤ動くという社会になる。

国が腰掛OL型ジョブ型雇用と日本経済の崩壊を率先している

この現場でイヤイヤ働く4大卒の総合職は、昔の腰掛OLと同じで、仕事など早く終えてプライベートを充実させることだけに注力するようになる。最近の労働法制の強化、残業の厳しい制限は、こういう層に向けて国が用意したと考えざるを得ない。

一方で国は「高度プロフェッショナル制度」を準備して幹部候補生には高給を保証する代わりに、土日なし残業制限なしで働く制度も用意しているが機能はしていない。制限が激しすぎて適応できないかららしい。

と言うことで、ジョブ型雇用の社員も幹部社員も同様に怠け者認定となり、アメリカとの差は開くばかりなのです。

結論

その辺の4大卒では大卒の意味はなくなる。手に高度な職を持つ職人さんの方が給料は良くなる。これも実際アメリカで起こっていることです。配管工などが平気で年収1,000万円超を稼ぎ出します。一方、AIの発達で定型業務を担っていたジョブ型採用の典型である定型業務はどんどん仕事を失っていく。アメリカでは既に、そのAIが脅かす定型業の代表であるプログラマーなどはどんどん首を切られるか給料を下げられている。

インフレが進む将来、それなりの生活をするには、ジョブ型雇用ではなく、クビ覚悟の上級職としての採用を目指して超一流大学に進むしかないアメリカやヨーロッパのようになる。いわゆる「有名私立大学卒」の学歴など役にも立たなくなる。それなら圧倒的な人手不足の建築現場の専門職の方がよほど稼げるようになる。

中学受験でスッテンテンになるまで金を使い、ソコソコの進学校に進ませて「有名私大」がやっとなど、親にとっても子供にとっても最低の選択になる未来が来る・・・かも知れない。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。