算数の出来ていない子供を最上位校・神戸大学へ
この塾には私が10人程度の生徒しか教えないため、各生徒の問題点を発掘し矯正していく学習を心がけています。
以前、進学塾の授業と課題に疑問を持ち、いくら学習をしても成績が上がらない生徒がこの塾にやってきました。通知簿はほぼ4で埋まっています。その中で数学だけ3です。
入塾の際に学力を確認すると、数学以外に問題はありません。私は保護者の方に、宿題は出さない、毎日塾に来ていただくだけで結構と宣言しました。
まず、春先に学校の授業があまり進まないうちに、私はその生徒の数学のつまずきのもとを探しました。数学以外は通知簿が4で並んでいる生徒の理解力を持ちながら、中学レベルの簡単な数学でつまずいて3ということはありえないのです。
その生徒の苦手を探っていくうちに、原因は簡単に判明しました。その生徒は小学校5年の算数の単位計算でつまずいていたのであって、中学の数学が分からないことが問題ではなかったのです。
まあ、これは非常によくあるパターンなんですが、プロの個別指導の講師なら見逃すはずはありません。もちろん、アルバイトの個別指導塾の講師は 、保護者や塾からの指示、あるいは時間の少なさから目の前のことを教えるだけになりがちです。
その状況で中学の予習中心の画一的な学習を進学塾で進められ、膨大な宿題を出されて、理解は進まず、自信も持てず、疲弊するだけだったのです。自信喪失と、無用な学習量の圧迫は他の教科にも悪影響を及ぼし、どの教科でも必要な学習がおざなりになって成績が全体的に低迷していたのです。
学校が本格的な学習を開始する前の春期講習と4月中旬までに、その生徒は小学校から中学2年までの復習を終え、この塾で学校の復習中心の学習を進めました。もちろん、宿題は一切出しませんでした。
保護者の方は「こんなんでダイジョブなのか?」と思っていたそうですが、結局テストで全て実績をお見せし、その生徒は通知簿が5教科ではオール5でトップクラスに駆け上がりました。そして、予想外のトップ校に進学し、そこでも当塾の学習方針で全面的に学習して、神戸大学に進みました。
まあ、これはその生徒の潜在能力を周りの大人が寄ってたかって潰していたのを止めさせただけなのです。もちろん、それはこの生徒の能力があったからこそで、すべての生徒でこのようなことが出来るわけではありません。