中学の数学 通知簿4の生徒 過大な宿題で子供を潰すな!

安定して80点が取れない原因

今日のお話は、テストが80点台、 時々70点台になったりする生徒が対象です。通知簿4の真ん中ぐらいの生徒についてです。このクラスは、同じ通知簿4でも上位の生徒との学力差は決定的にあります。このクラスの特徴は、中学2年までの方程式とかはなんとかなるが、中学2年の2学期からの関数と図形でつまずくことです。理由は「題意を把握できない」ということにあります。

通知簿4の真ん中ぐらいの生徒の特徴は「計算は大丈夫。単位計算も説明すれば理解できる。」です。したがって、難問でない限りは方程式の文章題は大丈夫です。また式の変形などもできるので、関数の基礎問題も大丈夫です。定理などもきちんとおぼえる意欲もあるので図形の基礎問題も大丈夫です。けれど、関数や図形の応用問題ができません。

理由は題意把握できないからです。「題意把握できない」とは、問題と相対する時「この問題はどう解くんやろ?こうかな?アレかな?」と常に自分の持ち駒を中心に考えることしかできないことを言います。だから、このクラスでは「この問題はどう解くんやろ?公式①かな②かな?①当てはめても駄目、②だったら解けた~!」という自分本位の解き方で基本問題はできます。

けれど「この問題はAとBという条件が示されているから、①じゃなく②を使えという問題なんだ。」と題意を把握して解くことができないんです。

題意を把握するとは?

問題の製作者の立場になって「何をさせようとしているのか?」と俯瞰する事ができずに、回答者の立場で「どう解くんやろか?」と問題に入り込んであくせく考えるからです。こういう応用問題では回答者の立場になって「どうしたらエエんか?」と考えているだけでは問題の条件が整理できないんです。だから、こんな解き方ばかりになる高校では壊滅します。

だから、その上の応用問題、「この問題はAとBを使った基本問題1と、CとDを使った基本問題法2がはまり込んでいるから、この問題は1と2を融合させた応用問題なんだ。」というところまで行かないんです。もちろん、こんな複雑な応用問題は自分本位の①や②を適当に放り込んで解けるものではありません。

題意の把握ができるかどうかは日常生活から判断できる

私が「ゲーム好きは学習への適性が高い」と別のページで紹介しているのは、この「このゲームはどういうパターンの展開でゲームが作られていて、このステージやシチュエーションではきっとこういうことをさせるように作られている。」だから「こうする。」というゲーム上級者の楽しみ方と数学の解法へのアプローチが一緒だからです。ゲームも数学も目の前のに映し出された状況に対応するだけではハイスコアは取れないんです。

でもまだ「ゲームが勉強が一緒なんて・・」と納得できない方もおられるでしょう。じゃあ、お伺いします。こういうゲームの最高峰はなんですか?将棋と囲碁です。でも局面に応じて相手の考えを読み過去の解法の蓄積から解答を引っ張り出す作業はロールプレイング・ゲーム同じです。高偏差値な大学の将棋部ほど強いというのは揺るがしがたい真実ですよ。

クラブ活動に夢中な生徒の多くは数学ができないのは対照的理由です。彼らと話していると「こう相手が動くというのは、相手がこう考えているからで、じゃあ自分はこうしよう」などとゲームで考えていない場合がほとんどです。「じゃあ彼らに勝つには?」と聞いても「頑張って練習する。」としか答えられないんです。「才能が同じようなもんで、同じくらい一生懸命練習してる相手にはどう勝つの?」と聞いたら「・・・・」です。まあ、先日お亡くなりになった野村監督は、プロになるような連中でさえ、こんなことについて苦労されていたんですから・・・。

題意を把握する力を育成するために

この塾では、そういう頭の働かせ方について解説していきトレーニングします。でもね、野村監督のような「考え方」を事細かく言っても、大抵は「?」か「面倒クセェ~。ヤれば良いんでしょう。」という野村が大嫌いだった阪神の今岡選手のような反応になるだけです。この点を「そうか!」と理解して、「相手を読んで」好成績をあげられる古田選手や山崎選手は少数派なんです。

解法を整理して基本問題を確実に解けるようにして70点台の子供を80点台にして通知簿4を安定して取らせるというのは、塾では一番簡単な仕事です。このレベルの生徒であまり勉強していなかった生徒に詰め込めば簡単にできます。野球選手でも、サボっている選手に練習させりゃあ、どんな練習でも少しは成果が出ます。だから進学塾はアホほど宿題を出す。でもその上のランクに上げるのは至難の業です。

その上には「複雑な題意を把握する。」という難しい作業が待っているからです。ここを正面突破で教え込むと、阪神の選手が野村監督を嫌ったようなことになります。多くの生徒の理解力のキャパシティを超えて聞いていても嫌気が差してきますし、いくら知恵を注いでも溢れるだけになって成果は出ない、だから80点台の子供を安定して90点台に乗せる、通知簿4の子供に5を取らせるということは非常に難しい。

でも、私は野村監督信望者で、こういうことを繰り返し、生徒が「そうか!」と言う日が来ることを信じて教えていきますよ!それ以外に弱かったヤクルトを一流選手の揃った巨人に勝たせて優勝させる方法はなかったんです。弱かった阪神も楽天も野村監督が種を蒔いて選手を育て、その成果を星野監督が刈り取り優勝しました。こういう学習は、今成果が出なくても、長い目で見た場合、大学入試までを考えた場合、とても大事なことだと多くの生徒を教えてきて確信しています。

安易な解決のために暗記に走るな

このレベルの子供たちに一番してはいけないのは、同じ通知簿4だからと理解力のない4の下のレベルの子供と同じクラスに入れて、前回書いたような問題丸暗記で、その暗記を少しでも増やすように膨大な宿題を出すことです。このクラスの子供は、理屈もなく膨大な宿題をしても理解力が上がっていないことは分かります。成績も確実に上がっていないことも分かっています。だから、塾も勉強も嫌になるんです。理屈を理解し、自分が理解してことで問題を克服できれば、つまらない勉強も面白くなります。数学はできるようになれば面白いんですよ。パズルやゲームと同じですから。そうなれば、通知簿5も見えてきます。私の目標はソコです。難しいですけどね。

このクラスの生徒を進学塾の下のクラスに放り込んで、その下のレベルの子供と同じような授業を受けさ、膨大な宿題で勉強を嫌いにさせるのは、親や塾が寄ってたかって子供を潰しにかかっているようなもんです。 むやみにピッチング練習をさせて、二軍で投手の肩を壊すようなもんです。 それに、ヘタに暗記学習で成果が出て上位校に下位で進んだ場合、絶対そこで潰されます。この点は前回書いたとおりです。膨大な高校の学習をすべて暗記で乗り越えることはできない。理解力のある上位の生徒にいくら暗記しても届かないことを知って、優等生の心が折れます。

まあ、私も、目の前に来たボールに反射的に対応できる今岡選手やイチローのような天才なら、クドクド言いませんよ。このクラスがいわゆる「学習障害があるほど理系」っていう数学で90点台後半しか取ったことのない生徒です。今岡もイチローも変わってますもんねぇ。だから、京大に行った学生に数学なんか聞いても無駄です。「感覚やん!」なんて言われて終わりですから。長島監督の「こうねぇ~、来た球をバンッって打つんだ~!」という伝説のアドバイスと同じになってきます。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。