ミドリゼミの進路指導 トップ校が良いわけではない
今回は、この塾で成績最上位に駆け上がった中学生の高校への進路指導に関してです。
この生徒はもちろん、お母さんとお父さんももちろんこの学区の最上位校への進学を望まれました。当然です。ところが私には、この進学に大きな危惧をいだいいていました。
なぜなら、多くの高校は成績上位者に合わせた授業を行い、上位者の有名大学への進学実績を上げて、中位以下の生徒は切り捨てられるからです。おまけに、志望校では特に授業も満足に行わない範囲まで宿題を生徒に放り投げるなどの指導が氾濫しています。要するに、進学塾と同じで、高度な授業をするふりをして、結局は生徒の能力だよりというのが最上位の公立校の常だからです。
おまけに、その生徒はこの高校に特徴的な体育会系の権威主義的な校風を苦手としています。私としては、中位から下位で入ることになるその生徒は、無理な学習を強制され、無理なしごきを受け続けて疲弊し潰されることは目に見えていたのです。
そこで、私は生徒に、オープンスクールでは、カリキュラムや教育方針など良い事ずくめの学校の宣伝は聞かずに、学校に入った途端に感じる「校風」が自分に合うものかどうか感じてくるように言いました。企業と同じで、細かいことは抜きにして、自分に合う合わないという社風や校風は、企業や学校の門をくぐり、そこの人と雑談をするだけで感じるものです。また、生徒にも保護者の方にも、知り合いの進学した生徒たちがどういう学習をその高校で受けているのか聞いてもらいました。
結局その生徒は、その高校には行かずに、隣の学区の最上位校の文化系の特進コースに進みました。その学校では入学時にはトップ1割、1年の後半からはトップクラスに登り上位の国立大学に進みました。
おそらくこの学区のトップ校に進んでいれば下位で埋もれ、中位クラスの私立にも進めていなかったはずです。
普通の学習塾、特に進学塾は、生徒の特性や一番肝心な大学進学へのステップを考えずに、より上位の高校へ進学させようとします。塾の進学実績は、一番の広告です。進学実績は生徒確保の一番のポイントです。進学した後は野となれ山となれです。
この塾は違います。学歴で唯一重要な「最終学歴」に高校進学、そして今の勉強が結びつけられるのかに重点を置いて指導します。
生徒も、保護者も中学入試なら中学、高校入試なら高校が入試レースの最終目標になって、「その後」を考えません。「その後」を考えずに偏差値を頼りに選定して良いのは最終学歴の大学の学部選定だけです。