ビジネス書から学ぶ子育て、高齢出産のメリットを活かす
毎年同じ内容が並ぶビジネス書
ビジネス雑誌の宣伝を見ていると、自己啓発関係あるいは職場の上下・人間関係など、毎年毎年同じようなものが飽きずに企画されます。
数年も読むと「またかい」ということになるんですが、新しい購買層が毎年入ってくるんでビジネス雑誌としてはこれでいいわけです。小学館の「小学1年生」と同じビジネスです。
塾や学校のパンフもビジネス書と同じ
子育ても、まったく同じです。一人っ子や、多くても二人の子供しか持たない現在では、みんな初心者で新しい受験生の親になるわけです。毎年、うれしい・楽しい同じようなことを書き連ねていれば、教育関係の書籍や塾のパンフレットは成り立ちます。
そして、受験などで痛い目に合って、ビジネス書と同じく「そんなことになるかい!」と分かった頃に卒業していくわけです。ところが、まだ痛い目に合っていない、希望いっぱいの初心者お母さんが毎年入ってこられる。そこに向けて、毎年同じように「うれしい、たのしい」ことを発信して塾や私学に引き込むんです。
美味しく楽しいことでないと、本は買ってもらえないし、塾や学校には入ってもらえない。政治家の選挙公約と同じで、お母さん方は「舐められてる」んですよ。
都合の悪い情報は流れない、受け取らない
競争の激化と見栄から、失敗や都合の悪い話は上司や先輩、それに近所の奥さんからも流れていません。失敗は囲い込まれ、都合のいい情報だけがメディアを使って流される。
最近、東大理Ⅲに兄弟を入れた母親が「「灘→東大理III」の3兄弟を育てた母の秀才の育て方」などの本を出して人気だそうですが、こんな本など、その最たるもんです。東大理Ⅲに行けるなど「子育て」は関係ないということは、子育ての終わった母親ならみんな分かっている。必要なのは「優秀な遺伝子」という冷徹な現実が包み隠され、誰しも子育てだけで可能性があるように砂糖がまぶされる。
少数の成功者が語るうれしいたのしい絵空事がメディアや広告媒体を使って垂れ流され、初心者はそれを真に受ける。たまに、失敗談などを話す奇特な方がおられても、そんな忠告は「失敗者の言い訳」として聞く耳も持たない。
高齢出産のメリットを活かそう
最近は子供を持つ年齢も上がってきていますが、これは悪いことばかりではありません。中学受験の頃には40歳を超えている親御さんも多いと思います。これは、社会経験も積んでビジネス書など「またこんなこと書いて、アホかい。」と卒業される年齢です。子供への愛情にのぼせ上らず、その冷静な目線を教育業界の出版物やパンフレットに向けてください。
目の前に、この間まで教育業界にどっぷりと浸かっていた「新入社員」という、格好のサンプルがあるじゃないですか。彼らと自分の子供を見比べると、一目瞭然だと思うんです。けれど、新入社員に話を聞くという愚行だけは止めましょう。都合の良いおいしい社交辞令しか返ってきませんから。