井の中の蛙／他の学校の実情を知らない子供たち

完全に分断されている学校間の情報

私は学校は今３つに分かれていると思っています。①進学校・・まあ六甲・神戸高校以上です。②①以下の公立校と私学。③大学の付属校。という感じです。

②の子供は①の子供が行っている授業を全く知らないし、興味も持ちません。私の塾では、①と②の生徒が机を並べて学習していますが、②の生徒は①の生徒が何をしているのか興味も持たないんです。私が①の生徒の問題集やノートを見せて煽っても「ふ～ん、で？」で終わりです。情報を取ろうと思えばいくらでも取れる環境にいながら、彼らが考えているのは自分の学校のクラブやクラスメートのことだけで、大学受験で対戦する相手のことなどまるっきり視界の外にあるんです。

付属校の外部受験コースも同じ

③の生徒も同じで、「外部の大学に行きたい。」「もっといい大学に行きたい。」とは言うんですが、じゃあ、そのいい大学に進む①の生徒は何をしていて自分はどういう体たらくなのかをまるっきり知らない。昔は外部の大学に生徒を逃がさないように、模試も受けささずに、学校側がこういう情報を遮断して、生徒の学力をわざと伸ばさないところがあったんですが、今は違います。どの付属校も外部受験コースを作ってはいます。ところが、今まで受験用の授業をしたことも、授業を受けたこともない卒業生が教師なもので、どうしようもない状況になっているというのが大半です。だから、①の生徒が何をして、どういう学力にあるのか全く把握していない「外部受験コース」となっていることが多い。それに、外部受験コースを作ってもクラブ活動なんかでは「付属校でいいや。遊ばな損」のクラスの生徒と同じですから、生徒自体の意識も上がりません。

ネット時代にyoutubeのエンタメしか見てない子供に多くを望むのはムリなのか

この「外の世界にまったく興味を持たない」子供たちというのは、私にとって異人種のように感じます。別に勉強のことだけでなく、全部がそうなんです。スマホを全員が持っているのに、見るのは下らないyoutubeのチャンネルだけなのと同じです。youtubeでも受験情報から世界情勢に至るまで様々なチャンネルがあります。ネットにしたって、エロから大学受験情報まで様々な情報が取れます。それでも目の前のおもろいヒカキンにしか興味がないのに似ています。

高校生になっても、自分の受験校の入試科目さえ調べていない生徒が大半です。別に各大学のHPに行って個別に調べないでも、スタディサプリなんかのサイトに行けば、一括で全て調べられるのにです。簡単な登録をすれば各大学の過去問すべて見られるのにです。

あまりの視野の狭さと、短絡的な享楽しか知らない子供たちは、私などには異人種のように感じます・・・この異人種のように感じた子供たちで、まともに受験に成功する子供は多くありません。私が「しっかりしてるな」「他の子の勉強も観察して分かってるな」と思う子供以外は、まあダメです。

こういう子供たちの特徴／地理が嫌い

長い間教えてきて、全員ではありませんが多くのこういう子供たちには共通の苦手科目があると思っています。それは地理、特に世界地理が苦手だということです。いくらきれいな写真を見せても、日本と違った環境を見せても、まったく外の世界に興味がないんです。だから、学習意欲も湧かないし、興味もない地名などもおぼえる気が起きないんです。

この外部環境に目を向けないという生徒は、昔より多くなっている気がします。一般的に生活が豊かになって、日々の生活に充足して、「もっといい生活を送ってやる。」というような上昇志向は少ないから、他人と比較することもないんだと思います。私たちが子供の頃に持っていた、より豊かな国のアメリカやヨーロッパに対する憧れも今の子供にはありません。日本が豊かになって日本が一番いいんですから、「ヨーロッパでは、こんな豊かな生活環境で暮らしている人がいる。」なんて考えないんですよ。スタバとyoutubeがあればいいんですから。

学校でもクラブを楽しみ、先生からはうるさいことも言われず、自分の学校の世界で十分満足できる。だから、他の学校の情報にも興味がないんだと思うんです。「こんな授業をしている進学校の連中が、大学受験ではライバルになる。」など考えもしないんですよ。

やはり、「上昇志向」の有無が外部情報の摂取能力の差の根本にあると思います。そういう点で、芦屋の山手の子供は特にひどいんじゃないかと思います。「芦屋という地域の学習特性」に書いた通りです。豊かな環境で生まれ育って、麻痺してるんですよ。だから、JR芦屋にあるのは個別指導塾＝補習塾ばかりです。進学塾は阪神沿線に固まっています。