子供に見透かされている親たち/だらしない子供を育てる親
だらしない事が成績悪化原因の子供たち
成績が悪い子供には二通りあります。まずは、学習障害などに代表される能力の先天的な異常や不足がある場合です。これは、もうどうしようもありません。改善はしないのですから、その子供に合った学び方や働き方が許されるなら、それを探すのが親の役目になります。
ところが、多くの子供は二つ目の「だらしないから、まともに努力できない」ことが原因です。こういう子供は、「涙の価値/塾編」などにも書いた通り、目標もなく目先の「おもろいねん」「いややねん」という感情でしか動きません。おまけに、小さい時から怒られ慣れているので、神経だけは図太く訓練されていて、大人が諭そうが怒ろうが堪えません。
テストで悪い結果を取ってきても、その場では泣く子もいますが、翌日はまたケロッとして「おもろいねん」優先の生活に復帰します。好き・嫌いの感情でしか動けないので、悲しいという一時の感情が消え去れば、また元通りです。
デキる子供の子育てを参考にしてもムダです
デキる子供は目標があり、自分から頑張ります。親は「だらしない」と怒ることなど、一回もないでしょう。親ができるのは、子供の邪魔にならないように、子供を応援することだけです。彼らは頑張ることを辛抱や我慢だとは思っていません。乗り越え、克服して糧にすると思っているんですから。
資質がまるっきり違うんです。多くの子供を教えた結果、この資質の差は生まれつきです。教えられるものではありません。頑張らない子供にはまるっきり分からない価値観の世界で頑張る子供は生きています。だらしない子供に頑張ることを教えることは我慢を強いることだけなので、いくら教えても無駄だし続かないんです。
怖さを知らないから反省できない
だらしない子供は反省を知りません。テストの結果に親が怒っても、1時間も首をすくめて耳にシャッターを下ろしておけば親の怒りは通り過ぎて、元の生活を享受できることを数限りない経験から知っているんです。
入試でも、志望校に行けなくても、行ける学校はいくらでもあります。最初は「こんなところ行くつもりじゃなかったのに」と悲しいですが、1ヵ月もすると友達ができて、クラブを楽しんで、元通りです。去年と今年は苦労がありますが、ここ10年ほど新卒者の就職もいいので、希望の大企業じゃなくっても、どこかに拾い上げてもらえます。大学や専門学校で取った資格便りの就職もあるでしょう。
でもそういう企業では給与・雇用面で問題があることが多く、本人の性格も相まって、長続きしません。そこで派遣などに堕ちて、30歳くらいになって「これやったら結婚もでけへん・・」「周りにまともな男がおれへん・・」と言うことに気づくまで幸せな人生を送ることができます。
だから、「塾を辞めろ」と言われる事態は想定していない
だから、「塾経営の分かれ道/入塾生の選抜について」に書いたように、指導に疲れ諦めた生徒に、最後は「このままじゃあ、塾を辞めてもらう。」と何度も警告を出すんですが、親の小言に慣れている子供は「いつものことや。また言うてる。」と受け流します。
それで、本当に「来月から辞めろ。」と言われると、虚を突かれたように、「エッ・・・」っと絶句します。大人や社会のホンマの怖さを知らないからです。
こういう子供は親の弱みを見透かしています
むやみに怒っても、怒られ慣れている子供には効果はありません。目標を持つ大事さを諭しても、先天的に理解することができません。なら、社会の恐ろしさを知る=取り返しがつかないことになる前に、大人の怖さを思い知らせて道を正すしか、もう残っていないんですよ。
子供の大切なスマホを目の前で破壊する、それでもだめなら、どうせ役に立たない私立なら退学させ公立に転入させる、最後の手段は「しょうもない大学に行かせる気はない」と、子供に思い知らせることです。今の怒られ慣れている子供を見ていると、それ以外の手段はありません。けれど、親はこういうんですよ。「そんなことをしてグレたら。」「恨まれたら。」って。子供はその親の弱さを見抜いてます。だからいくら怒られても平気なんです。
「子供に見透かされている」と私が言うと、ほとんどの親は「そんなことはない、しっかり叱っている。」「ウチの子供は、そんな性格に育ててません。」とお怒りになります。じゃあ、今のお子さんの体たらくは何なんでしょうか? なんで私みたいな嫌味なオッサンの塾に入れたいんでしょうか?
石原慎太郎のように、大人の怖さを教える以外手はありません
けれど、こんな子供は私の塾も受け入れません。心をすり減らして教えても、受け流されるだけで一向に成績は上がらないことがほとんどです。私が身を削って教えてもダメなんです。経験が長く少人数の生徒を糧にして熱心に教えている私でもダメなんですから、集団授業や学生の個別指導なんか、ムリに決まっています。だから、親がしっかりするしかないですよ。
以前も書きましたが、石原良純と言う慎太郎の息子は、小学校から慶応に入れてもらったそうですが「落第したら退学させる。」と慎太郎に言われて、「この親父なら、本当にする。」と思って、それだけは避けたと言っています。だらけた子供には、これ以外の対処法はありません。アノ性格もあるでしょうが、良家のボンボンの中で生きてきた慎太郎は「恐れを知らない子供の対処」をよく知っていたんだと思います。
けれど「子供は変れる」と思い込んでいる親は、いくら熱心に教えても「キチンと教えられない」と変えられなかった塾を恨んで辞めて行きます。「子供は変れる」と思うんなら、月数万円の小金で他人に何とかしてもらおうなんて思う前に、ご自分達で変えて下さい。
けれど、子供を躾けるような疲れることも、慎太郎のような逆恨みされることもしたくないんでしょ?
私は他の塾よりまともに対処します。少なくとも「頑張れない子供の場合、私はお母さんのために頑張っているんです」までは頑張りますよ。それだけ、神経と心をすり減らして、教えます。でもね、頑張って神経をすり減らして、子供に恨まれ、挙句の果てに「あの塾成績上げられへんねん。」と親に吹聴されるのは私も嫌なんです。