大学入試で逆転する学校間格差・逆転は難しい校内格差/上位校に下位で進んではいけない理由/哀れさえ感じます

これは以前にも書いた内容です。学校間で起こる逆転は学校内ではおこらない/無理に上位校に行ってはいけない理由

子供の今後の人生もトータルに考えて進路指導するから、子供の可能性まで考えて進路指導ではこういうお話もさせていただきます。「学校や塾で出来ないこと/トータル・マネージメント

逆転する学校間格差

上位校の中位・下位グループが下位校の上位グループに抜かれるなど、ごく当たり前の話で誰でも知っています。

公立高校の受験例など最も単純で典型です。私の塾の校区では、簡単に言うと、神戸高校に進めない生徒が御影高校に進みます。入学時の成績は完全な上下関係にあります。ところが、卒業時は神戸高校では中位で関関同立、下位2~3割で産近甲龍です。最下位層はその下です。神戸高校に期待する神戸大以上の国公立には上位2~3割程度しか進めません。一方で、御影高校のトップ1割の生徒は阪大でも神戸大でも進みますし、上位2割にいれば関関同立に進みます。真ん中ぐらいにいれば産近甲龍です。

ということは、進学塾でお尻を叩き、必死の勉強で神戸高校に滑り込んだ生徒は、割と楽に御影高校に入った上位の生徒には追い抜かれ、ソコソコの状態で入った中位の生徒にさえ追いつかれることを意味します。これと同じ現象は高校受験だけではなく中学受験でもおこります。

でもこの「誰でも知っている」事実を考えて中学や高校の入試をする親御さんは少数です。親と子は目の前の入試が目標となり、進学実績を上げたい塾は入学後のことも知らせずにそれを煽るからです。

この逆転劇の理由/でも塾は発表しません

私は長いこと塾を経営していますが、この学校間の逆転劇の理由を私は聞いたことがありません。共通テストの受験者数から考えても、毎年数十万人以上で起こっている深刻な問題であるにも関わらずです。

おそらく、「ひとつ下の学校の方がいいよ」なんてことは、進学実績頼みで金を巻き上げる受験産業にとってあまりよろしくないことだからだと思います。どの塾も「灘○○人」「神戸総理○○人」とは看板にデカデカと書いても、「ウチの塾から無理して神戸高校に行って落ちこぼれた生徒○○人」と言うような情報は出さないんです。

でも、私は言います。だって、高校進学なんか「大学受験のため」にあるに過ぎないからです。進学校に進んでもそれなりの成績で関関同立なら、そんなものどの高校に行っても同じです。じゃあ、上位校で苦労するより、下位校で程々の成績を楽勝で取って、イキイキと過ごす方がよほど子供のためです。

私の経験からは以下の二点の理由が考えられます。

理由1:上位校の無里な授業

多くの学校では上半数の生徒に合わせた授業をします。例えば、神戸高校クラスの学校では、私立であれ公立であれ下位の生徒を一生懸命に教えて関関同立レベルにまで底上げしても進学実績にも宣伝にもなりません。そこで国公立に進める上位の生徒を対象にした進度も速く難易度も高い授業が行われることが多い。

その結果、下半分の生徒が落ちこぼれる。「進学校とはどういうところか?/優秀な生徒を搔き集め、チャート式も理解させられず多くは関関同立で精一杯、そういうところです」「スイミングスクールと学習塾や進学校は同じビジネス手法です」の通りです。学校にとっては、上位の生徒が有名校に合格して宣伝になって、次の世代の生徒募集に役立てば、真ん中より下の生徒の進学なんてどうでもいいんです。負け組の実態に目を向ける進学希望者はいないからです。

さらに、進学校では上位の生徒は適当に教えても自分で解決するので、ロクに教えもせずに学習や課題を丸投げするところも多いです。「進学校問題の相談多し/難しすぎて役に立たない授業/多すぎる課題で復習できない」「進学校の授業の一例を紹介/こういうところに進んで自ら行こうとしてるですよ?」中位下位の生徒に苦労して教えて成績を上げて宣伝にもならない大学に行かれるより、デキる生徒に「やっとけよ」と学習を丸投げして国立大学に行ってもらう方が楽で効率的です。

進学校や進学塾で「素晴らしい授業がある。」と思っている方はあまりにも愚かです。進学校や進学塾の成功の秘密は、「デキる生徒を採れる」という看板があること以外はありません。だから、下位の成績で有名校なんかに進んだら、適当なことをやられて、責任は全部生徒に押し付けられて終わりです。進学塾も同じです。

理由2:「働きアリの理論」

働きアリの法則/進学校の生徒とその親のプライドがもたらす現状認識不足が原因」にも書きましたが、人間の集団では、どんな優秀な集団であっても必ずサボるグループが出てきます。あまり優秀でない集団であっても必ず頑張る集団が出てきます。

これは「働きアリの理論」と呼ばれるもので、ジャック・ウェルチという名経営者がGEというアメリカの大企業で、この理論をもとに経営して成功して有名になりました。この理論によると、よく働くアリと、普通に働くアリと、サボっているアリの割合は2:6:2で、どんな巣穴でも同じになります。よく働くアリ2割を間引くと、残りの8割の中の2割がよく働くアリになり、全体としてはまた2:6:2になります。よく働くアリだけを集めても、一部がサボりはじめ、やはり2:6:2になります。サボるアリだけを集めても、一部が働きだし、やはり2:6:2に分かれます。

もちろん、 2:6:2 というのは、アリが巣穴を維持するための最適な割合です。すべてのアリが全力で働かないといけない構成だと、緊急時に対応出来ないからです。けれども、ウェルチは長い企業経営の経験から巣穴を維持する必要もない人間でも同じことが起こると知り、毎年下位評価の社員をクビにし、新しい社員に入れ変えていったのです。

学校で言えば、中学時代に必死に勉強して神戸高校に進んだ生徒の全員が高校で頑張るわけでもなく、そこまで頑張らないで御影高校に進んだ生徒の全員が高校でも適当に勉強するわけでもないということです。別にサボりたいからサボってるんじゃない生徒も多いと思います。訳の分からない難しい授業をされて下位の生徒は嫌気が差すんだと思うんですよ。それで気持ちの糸が切れて落ちこぼれて投げるってのも多いと思うんです。

逆に、下位校に進んで、気が付いてみると中学や塾では上にいた最上位の生徒が抜けて上位の成績を取れるようになって、「私もデキる」といい気分で頑張り出す生徒もいると思います。

校内では逆転は起こりにくい

もう一つの大切な真実は、一旦学校に入ってしまえば学校の中では大規模な成績逆転はおこらないということです。中位の生徒が最上位に、下位の生徒が上位にというような劇的な成績逆転は多くはありません。どの学校でも上位の生徒しか相手にしていない授業をされるからです。それに、上位の生徒はその難しい授業が理解できる圧倒的に学力が上の強力なライバルです。だから、上位校に中位・下位で進んでも逆転して上位へ逆転と言うのは結構大変なことなんです。

そんなことなら、一つ下の学校に上位で進んで十分に理解できる授業を受けて自己を学習を行い、その学習についていけない生徒相手に上位の成績を守る方が圧倒的に楽で簡単です。上位校の制服を着ていても学校では劣等生扱いされプライドもズタズタになるより、入学時には残念でも一つ下の学校の制服を着た方が学校生活も充実したものになり進学も成功することが圧倒的に多いです。

でも、私の経験から、卒業まで進学校の生徒は制服と学校名にはプライドと愛着を持ち続けます。そこでどんな扱いを受けて、どんな目に合わされ、自分の将来を摘み取られているのを知っていて、惨めな学校生活を送っても学校名に誇りを持ち続け、その挙句二流大学へ進み、その後の60年間後悔します。・・・ものすごく哀れです

だから落ちこぼれを解消するために転校を親が考えても、子供が拒絶します。本当に哀れです。

こんな自明なことも考えずに子供を潰す親が多い

こんな自明なことも分からずに、「なるべく上の学校」と見栄を張って、あるいは進学実績を上げたいだけの塾の口車に乗って、上位の学校に下位の成績で入学させる親が多いです。正直、バカだと思います。

親と学校に潰されて悲惨な未来しかない子供を相手に20年以上塾を経営して、疲弊して希望を失った子供に毎日個別指導で教えてきたオヤジは、本当にそう思うんです。「アホやな~」って。「「進学塾や進学校の生徒が抱える学習問題・・根っこは親です」「進学校の生徒が普通の高校の生徒に追いつかれる理由」に以前書いた通りです。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。