辞書を使いこなせない生徒たち/理由は文法力不足

トップクラス以外の高校生の辞書の使い方

中学生で辞書を使うことなどありません。単語数は少ないですし、授業で先生が説明してくれます。でも、高校になると教科書や参考書は知らない単語だらけになって、辞書で調べる必要が出てきます。

ところが、ほとんどの高校生がどう調べているのかというと、①電子辞書の小さな画面をスクロールすることもなく、一番最初に書いてある意味だけを見るんです。少しマシな生徒では②スクロールして文章内容から妥当だと思われる意味を選ぶのでございます。

こういう生徒では、上位の国立大学に行けません。断言しても結構です。

デキる生徒の辞書の使い方

まず分からない単語のある文章で、その単語がどういう使われ方をしているのか考えて、辞書で同じ使われ方をしている項目を探すんです。例えば、多くの単語は名詞と動詞の両方の意味を持っています。動詞でも自動詞と他動詞では意味が違うものが多いです。他動詞でも目的語の使い方で意味が変わってくるものもあります。それを確認してから辞書で「どの用法か?」と調べるんです。けっして「この文章では、この意味が一番しっくりくる。」などとは調べません。

もちろん、私の塾では、文法の学習を教えながら、長文で文法の解説をしながら、辞書の使い方を教えるのでございますよ・・・でも、それをモノにするのは、やはり神戸大学に行くような連中以上でございます。

例えば、誰もが知るbookという単語では

誰もが知る単語で考えましょう。私が考えて即席で作っているので、適当かどうかは分かりませんが・・・。

He gets me to book a store. / He gets books in a store. のbookの違いが分かるでしょうか?前のbookは後ろにa storeという目的語がついているので動詞です。だから「予約する」という意味です。後ろのbooksはgetの目的語になっているので「本」という意味です。

ただ、前の文ではHe gets me to bookとなっているので主語+目的語+修飾語という中学の第3文型で考える方がいたら、 bookは名詞になります。「彼は私に本を手に入れてくれる。」みたいに訳す方もいるでしょう。でも、第3文型ではHe gets a book to me.になります。それにbookという可算名詞が冠詞も複数形のsもつかずにあることはおかしいです。それにgetは第3,4文型ではあまり使わないことも知らないのでしょう。

第3文型でなければ、 book a storeなどという名詞が連なった用法など、英語はもとよりどの言語でもありません。a storeの前にinがないと「店で本を手に入れてくれる。」などとは使えないことは、文法を真面目に勉強した中学3年なら分かることです。

bookを本という辞書の先頭に乗っている意味で安易に使うのは、getが使役の用法があるということを知らないからです。bookが不定詞だとすれば、冠詞もsもついていないのは動詞の原形であることで理解できますし、a storeがbook「予約する」の目的語になっているので前置詞がないことも理解できます。

だから、辞書では名詞の欄ではなく、動詞の欄を見ないと最初のbookの訳は出てきません。もちろん最初の文の正解は「彼は私に店を予約してもらう。」です

文法が分からないと辞書も使えないことをお分かりいただけましたでしょうか?

入試問題では、こういう箇所に下線部が引いてあり、「訳せ」と出題されるわけです。大学側は、合否ボーダーラインにいる生徒がどのレベルの文法で間違えるかよく知っているんですよ。毎年毎年やってますからね。まあ、上の例を間違えるようでは、さすがに関学や関大は無理です。甲南もダメです。

だから、まずは、辞書を引いて長文読解などする前に、英文法の学習をしっかりすることです。私の塾では、英文法の学習を一通り終えさせてからでないと、まともな長文の問題集「英文問題精講」なんかやらせません。だって、「こういう文法で、この単語の意味で、だからこういう訳になるんだ。」って生徒本人が解析できないどころか、説明しても「?」では学習にさえなりませんから。

英文法の重要性は「高校受験に成功する英語授業」「ミドリゼミの英語学習 中学生バージョン」「ミドリゼミの英語学習 中学生から高校にかけて」「大学受験に失敗する英語の学習・成功する英語の学習」「ミドリゼミの大阪大学に受かる英語長文読解」に書いてきた通りです。

「英語は頭から読む」は文法が理解できているからできる

アッ・・「英語は頭から読む」なんて言うのは、この上のレベルですから。おそらく、神戸大の文系を受かる生徒以上じゃないとムリです。このレベルだと前から読んでいって、これは動詞、これは目的語、これは不定詞の修飾句で主語として前の目的語にかかっている・・・なんか確認しながら読めるんです。それで読み終わったら、「こんな訳になる」と分かっている。文法の解析に慣れてきたら、前から順番に単語を眺めていけばできるようになります。

上の例でHe get・・彼は何をゲットしたんや、me・・・私をゲットした?おかしいやろ・・・book a store・・・ああ、bookに冠詞も何もないし目的語がある、だから使役動詞のgetや・・・私に店を予約させたんやな・・と読んでいくんです。

英会話も文法力があってこそ

だから、大学に入ってから英会話を習い始めても、慣れたら単語を前から置いていって喋れるようになるんですよ。頭から英語を読めないレベルのその辺の大学生が英会話なんか習ったってモノになりませんって。文法の知識があやふやな人がいくら英会話を習っても、おぼえたフレーズしか話せないんです。

文法力のない人が殆どだから「このフレーズをおぼえれば話せるようになる・・」というような安易な英会話本が人気なわけです・・・ムリですよ、いくらそんな本読んでも、英会話教室行っても。その前に文法の参考書理解しないことには。幼少期に言語シャワーを浴びるネイティブとは違うんですから、文法力なしに語学なんか上達しませんよ。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。