上手い子供はスポーツを諦める/上手くなるには自己評価が必要な裏返し

全国レベルのサッカー少年がサッカーを諦めた理由

昔、塾にサッカーの上手い中学生がいました。全国の選抜チームに選ばれるレベルです。ところが、彼が塾に来た理由は「受験に専念する。」からです。私は彼に「なんでサッカーの方に行けへんの?」と聞いてみました。すると彼は、「プロで活躍できないことは自分で分かっているから。」と言ったんです。

U16の全国レベルの選手が集まる場所で、彼はプロになって活躍するような連中を見てきて、自分では無理だと悟ったのです。下手にサッカーに関わっていると、スポーツ推薦なんかで高校や大学までは行けるでしょうが、その後はないと彼は思っているようでした。私はこの中学生の冷静な自己評価に感心しました。と同時に、全国レベルの選手になるには、ただ夢中で練習するとか、頑張るとかという普通の中学生が考えることだけではなく、他者と自己の評価ができることが必要なのだと思いました。他者の評価ができないと、他の選手の良いところは真似できません。自己評価ができないと、自分は他の選手の何を盗めばプラスになるのか判断できません。

彼はその頭脳でそうやって全国レベルの選手になり、その頭脳でサッカーを諦める道を選んだんです。

小太りの野球選手が塾を辞めた理由

一方で、子供だけでなく家族総出で野球に夢中の中学生がいました。学校のクラブなんかではなく、硬球を使う本格的なクラブチームに入って頑張っていました。休日は家族総出で練習の応援です。ところが、その子供は、背も低く、何よりそれだけ熱心な割には小太りで、「どんな練習をしてるんだろう?」と私は思っていたんです。

それに、太ってはいても、体格が小さいんです。あの非力なイチローでさえ身長は、公表では、180.3 cm 79.4 kgあります(もっと小さいと言われている。でも日本人の男にしたら大柄。)。多くの野球選手は身長185cm以上あります。私が通っているスポーツクラブに下柳という阪神で活躍した投手が来ていたんですが、身長はそれほどでもありませんが肩幅や胸板の厚さは完全に北方系の白人レベルで日本人とは骨格からして違った人種でしたよ。そんな小柄な小太りの子供なんかに勉強そっちのけで野球をやらせるなんか、「親は何考えてるねん。」と思っていました。

その上、その子供が塾で何をさせてもいい加減で、テキトーで私はしょっちゅうブチ切れていたんです。野球の練習も同じでしょう。だから太っているんです。そして、テスト前にもほとんど何もできていなくて、こともあろうことか、テスト前日に「気分が悪い。」と塾から帰ったんです。

私はテスト後に酷い成績を持ってきた生徒に、「お前、何のために野球やってるねん。定期テスト前日に逃げるような根性で野球上手なるんか! 女の子でもそんな情けないことせえへんわ!!」と怒鳴りつけました・・・で、親御さんが激怒して塾を辞めたわけです・・そら家族総出で応援しても、小太りになる練習しかせえへんやろ・・・。

スポーツ選手でも大事なのはやっぱり頭

上に書いたサッカー少年と野球少年とでは、努力でも、頭脳でも、資質が全く違います。スポーツ選手としてモノになるには、清原選手のようによほど跳びぬけた身体と才能に恵まれていない限りは、「頭」なんだと実感した次第です。そら、上に書いたようなことも分からへんのに、相手の投手の癖や配球など考えも分かりもしないだろうし、サッカーのフォーメーションでチームメンバーや相手の思考を読んでどう走り込むかなど考えられないでしょう。

名捕手・名監督の野村が楽天の監督時代に嶋というキャッチャーを選ぶ際に、「彼は学校の成績が良かったから。」と言ったのは、冗談じゃないんですよ。野村が育てた古田選手も、高校時代は無名で、自力で勉強して立命館に合格していますから。そのせいで古田選手は視力が落ちてメガネなんです。

以前も書きましたが、公立中学でクラブ命の子供が試合で負けて塾で悔しがっているのを見て、「じゃあ、次はどうするの?」と聞いても「頑張る。」「練習する。」としか言えないんです。どうせ市内のいつも同じ中学と対戦するんです。「相手の弱点を・・」とか「こうして負けたから、次は・・」とか頭を働かせればいいのに、そんなことを言った子供は皆無です。「勉強ができる子供は、なぜ体育の成績もいいのか?」に書いた通りです・・・だから、ほとんどの子供には立命館はムリなんですよ。

だからクラブ活動で教師に使い捨てられる

だから、勉強とクラブもバランスも考えずに、クラブで実績を上げたい教師や、普段言うことを聞かない生徒がクラブでは言いなりになっているのに充足感をおぼえている教師に騙されるんです。

「クラブ活動しても〇〇高校・大学に合格した生徒もいます。クラブのせいで時間管理ができないということはない!」なんて、教師の常套句です。勉強にも適正があります。そんな勉強をしなくてもできる子もいれば、努力しないとできない子もいます。それこそクラブ活動と同じです。そんなこと教師が一番よく分かっているはずです。でも、クラブをやらせようと平気でこういうウソをつくんですよ。

それにコロッと騙され、使い捨てられ、ロクな学校にも進めなくなるんです。「文武両道 クラブ活動の裏側」「とあるクラブ活動とブラック企業の類似性/でも悪いのは親」などに散々書いてきた通りです。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。