登山家 野口健に学ぶ進路選択/高偏差値信仰からの脱却
賢い冒険家 野口健
冒険家は、古くは植村直巳から、最近では栗城史多まで、多くは死でラストエンドを迎えます。スポンサーを集め資金の提供を受けるには、次回はより困難な冒険に望まなくてはいけないからです。だから、冒険は益々危険を極めます。冒険家の死はアクシデントというより、ビジネススタイルの必然です。
ところが、この野口健という冒険家は、世界の最高峰を制覇した経歴を持って、より困難なルートで登山するのではなく、環境問題へと進路の舵を取りました。「エベレストは、登山隊の残したゴミの山になっている。恩を返すべく清掃しよう!」と見事に進路を変更したのです。
危険はなく、冒険家のキャリアに傷つけることがなく、さらに冒険家としての度量を世間に認知させ、環境に協力する企業名欲しさにスポンサーが集まってくる。本人は命の危険とは無関係な場所で、ビジネスを展開できる。おまけに、登山に興味もないところからも講演の口もかかる。
これほど見事な冒険家の転身は見たことがありません。天晴です。
進路選択は上を目指すだけが道ではない
受験というのは、基本的に、少しでも成績や偏差値を上げ、ひとつでも上の大学に進む競争です。でも誰しもその競争の登頂に成功するわけではありません。失敗すると分かっていて、むやみに登山を試みると死亡=不合格という結果が待っています。
自分が「これ以上続けては、命のかかわる」「これ以上勉強しても上には行けない」と悟った時、野口健のように全く新しい価値観を受け入れて、新しい道に進むのは素晴らしい選択です。だれしも、勉強すれば偏差値70で、上位の国立大学に進めるわけではありません。
例えば、工学部から看護学科などへの変更というのは素晴らしい選択です。看護師なら、資格があれば、国立の看護学科を出ていなければ仕事がないわけではありません。いくら国立大学の工学部を出て修士まで行って企業に就職しても、40歳過ぎて「キミの分野はもはや斜陽」などと言われてリストラされるのは珍しいことではありません。けれど、専門学校レベルの看護学科を出ても、食うに困ることはありません。
大学進学で失敗しても、まだ何とかなる・・・かも知れない
もちろん、努力もせずにアホな偏差値を取り続けてもいつまでも「関学行きたいです~」と言っておいて、とうとう3年生になって受験勉強を始めて到底歯が立たないことを思い知って、夏休みに定員不足のFランク大学の推薦入試に応募して無試験合格などという変更は命取りです。4年間は楽しい学生生活が待っているでしょうが、まともな就職はありません。
最近では教員志望もいいかもしれません。教師不足で嘆いている学校も多いですが、どこまで正規採用の口があるのかは分かりません。でも、Fランク大学で非正規雇用しかないのなら、通信講座などで教員資格を取る。それに加えて、すこしIT を齧って「映像授業推進します。」「クラブ活動厭いません。」なんて言えたら、大学名の不足は帳消しに出来るかもしれません。
失敗したと自覚したなら、良く調べて、社会情勢をよく考えて4年間どうするか考えて過ごせば軌道修正できると思います。