「分かっていること」を分かっていない生徒と教師・講師たち

「分かっている」ことが分からない生徒たち

公立中学で通知簿４、ベネッセの模試で偏差値55くらいの高校生は「分かっていること」が「理解できて」いません。

中学生の場合は、答え合わせをして「正解が分かった」ことが「分かっている」と思っている生徒が通知簿4の真ん中より下です。高校生の場合は、解き方を丸暗記して、なぞるように解いて「出来た！」ってやっている生徒ですね。模試で少しひねられたら解けない偏差値５５以下です。だって、ポイントも理屈も分かっていない「丸暗記」ですから、奇跡的に模試まで丸暗記をおぼえていても、少し捻られたらアウトォ～なんですよね。

塾で一番厄介なのは、頑張っていても、「分かっている」ことが分からない生徒たち

その結果、勉強はしているし、自分なりには頑張っているんですから失敗したら「塾の教え方が悪い！」ってなるのは必須です。でもね、いくら「そんな勉強の仕方では・・・」って塾で言っても、自分のことが分かっていないから、頑張っているという自負があるだけに「これ以上、何を文句言ってくるねん！」と逆ギレされたり無視されることが多いんですよ。

問題の解き方が分からないのはどの生徒でも分かるんです。だって解けないんですから。でも、こういう生徒には解法を教えても丸写しするだけで、教える中で一番大切な「目の付け所」とか「ポイント」とかに反応はないんですよ。「正解が分かった。」「教えられた通りに解いたら出来た！」で頭の回路が終了するからなんです。それ以上は「これで精一杯！」「うるさい！！」になりかねません。あるいは聞いていても、「面倒～」と頭の中を素通りです。

学生アルバイトとプロの講師の違い

私も何人もアルバイトの学生を使ったこともありますが、彼らは生徒が「問題をなぞって出来ている」のか、「理解して、次は解ける」のかが理解できていません。類題を解けたら「OK。分かってもらえた。」と考えます。まあ、それが普通ですよね。

こうなる理由は３つ。まず、塾の講師をするような学生は、自分よりはるか下の学力の生徒が「どんなものなのか」「どういう学習をしているのか」分かっていないこと。「丸写し」＝「出来る」と考える生徒たちが大半だと知らないんです。だって、そんなヤツは自分の周囲にはいないんですから。そして、キャリア不足。生徒を見ているだけで「アア～、コイツホンマは分かってへんわ。」とピンとくるものがない。最後は、若さゆえの洞察力のなさ。他人のことなど興味もないし分からないから「問題を解けた」という結果しか見ていない。

ということで、プロの個別指導の講師の存在意義は、こういう差にあるんですよ。

教師との違い

学校の先生の中には、分からない方もおられますが、もちろんそんなことは重々承知の方もおられます・・・でも承知の方は少ないと思います。だって、板書中心の授業で、個人個人の学力に深くコミットしたことは、キャリアは長くても少ないはずです。解答丸写しした問題集やノートに「よく出来ました」ってハナマルを機械的につけてるだけじゃあ、そら分かりまへんわ。教師の本文は「生徒を信じること」だから？　イヤイヤ・・面倒だからだと思いますよ。

小さな塾と違って、生徒の進学実績など雇用にも給与にも跳ね返ってこない。しかも、上に書いたように、注意しても指導しても効果がないことが多いし、その上、下手なことを言って生徒がヘソを曲げて親にでも乗り込んでこられる方が立場的にマズいんですよ。ということで、キャリアは長くても個人と深く関わらないから、成績や偏差値からしか判断できないです。

実際、生徒の個人個人に関わるのって、学期末の20分にも満たない面談だけですよね？　それだけで何が分かって、何が話し合えます？