公立高校(受験)と私立中学(受験)のレベル関係

中学受験を煽るよくある記事

わざわざ中学受験をして偏差値50レベル学校に入れるなんて」高学歴親ほど知らない”中受”本当のメリット」という記事が、最近プレジデントオンラインというビジネス・パーソン向けの雑誌に載りました。

この真実はいかに? ということで関西で比較し、私の指導経験とともにご紹介しましょう。

中学受験の難易度

中学受験は、阪神間では、まあソコソコ以上の学力で、親が経済的にも恵まれている場合多くの子供が挑戦します。おそらく半数の子供が中学受験塾に通っています。私の塾がある学区では2/3近い子供が通っているはずです。

その子供が通っている大手の、浜・日能研の偏差値を見ると、偏差値55付近で六甲の前期、51で関西学院の前期です。ところが、偏差値が塾間でばらけている場合も多く、上位では甲陽では浜で60、日能研で66です。同順で雲雀丘で50と58、甲南は42と50というメチャクチャさ加減です。

学校の序列や私が教えた学力差から考えると、浜の偏差値の方がしっくりきます。

高校受験の難易度

関西で最大手にのし上がった馬渕の偏差値では、神戸総理66、神戸普通60で、同様に各学区のトップ校の普通科で60程度です。これも塾が違えば違う偏差値が出ていることでしょう。

残念ながら御影高校は調べられませんでしたが、55~58などというレベルだと思います。

公立高校と私立中学の相関関係は?

私が知る限り、明確な相関関係を示すのは神戸高校と六甲です。上位2~3割で神戸大学以上の国立大学、真ん中少し上で関関同立、真ん中より下位で産近甲龍という、非常に似通った進学傾向を示します。

ということは、塾間で偏差値は違いますが、おおよそ中学受験で入学時の55~60の偏差値が、高校受験入学時では60~65程度の偏差値に相当する。大よそ偏差値が10違います。これは、中学受験する生徒と優秀な中学受験組が抜けた公立中学の生徒の質の差と言ってもいいかも知れません。

ということで、偏差値60の神戸高校でホドホドの成績の子供は、偏差値が50程度の関西学院の付属が進む関西学院大学になる。もちろん、神戸高校で落ちこぼれれば偏差値43の産近甲龍になります。

ところが、大学受験用の模試では偏差値はまたバラける

因みに高校で受験する大学受験用の進研模試では関学は偏差値70、甲南は60付近です。一方で駿台模試では関学は60少し、甲南は50少しで偏差値が8程度違います。中学受験の結果は駿台模試の結果に近いと言えます。この差は、明確に受験している生徒の質の差です。

中学受験して進学私立に通っている生徒が受けるのが駿台模試で、公立高校や中堅私立が受けるのが進研模試です。だから、駿台模試は中学受験に近い偏差値になるだけのことです。

このわけが分からない状況に付け込んだビジネス

こうなってくると何が何だか分からなくなります。この塾間、模試間で偏差値が違う状況に付け込むのが「「わざわざ中学受験をして偏差値50レベル学校に入れるなんて」高学歴親ほど知らない”中受”本当のメリット」というようなことを書く輩です。

この話に母親の間で尾ひれがついて「ウチも中学受験」ということになるんです。だから、子供の学力や資質を見てしっかりとアドバイスできる人間が必要になります。

経験上、私が言えること

六甲や甲陽の下半分の生徒と、神戸や兵庫という公立最上位の生徒は非常によく似た学力傾向を示します。だから、六甲に余裕で行ける子供は、中学受験せずに公立中学に行っても神戸高校を上位で受かり同じように神戸大学や大阪大学に進みます。

ところが、この六甲をギリギリ、あるいは危ない子供は、高校受験ではやはり神戸高校ギリギリあるいは御影高校という選択になり、例外を除いては、関関同立への大学進学が上限という結果になります。この下のレベルでは、例えば甲南に中学受験で進む子供が高校受験をしたなら通う可能性が高い芦屋高校などでは上位2割程度で産近甲龍で上限です。

だから、「タラ、レバ」の話にはなりますが、六甲クラスを余裕で合格するのなら中学受験で進学校もいいかも知れないが、公立高校を受験しても大して変わらないと思います。その下なら、中学受験で大学の付属校に進む方が有利ということになります。

この経験則はたいていの場合間違っていません。親が「うちの子は違う。中学で頑張れば・・」という欲目はたいてい裏目に出ます。だって、愛情で目が眩んで盲目になって、「彼のことを悪く言わないで!」状態になっているんですから。

もちろん最上位は別です

灘に進めるのならそうしてください。東大や国公立大学の医学部は各府県の最上位の私立からしか行けません。でもね、こういう学校は授業の質云々ということではなく、小学校の時点で「この子は少し違う。ぜひとも中学受験させてやらなければ。」と周囲が思う子供が集まっているというだけのことです。だって、このレベルの進学校、ロクな授業もせずに放ったらかしの多いでしょ。勉強は鉄緑会でしてるんですよ。いわば、生徒の質と予備校頼りの学校と言ってもいいです。

でもね、中学受験の経済的余裕がなくても、公立に行ってそれなりの参考書を使って一生懸命勉強すれば同じだと思いますよ。少数ですがそういう子供もいます。今や市販の参考書も質は高い。予備校でしかないというものはありません。ただ、公立の場合授業速度が遅いから、一浪覚悟にはなるかもしれません。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。