一体何が違うんだろう?/昨日の生徒と漢字をおぼえる気もない生徒の差はななんでしょう?
生徒を教えていて感じるグループ分け
①昨日書いたような自分の人生を大きく広げられる生徒
こういう生徒は少ないです。ほとんどいません。他の生徒と見ている世界が違うんです。youtubeなどを見ていても、ニュースを見ていても、感じることや考えることが根本的に違うんだと思います。進学校でも②の生徒が大半で、学校で友達に感化されることもないと思います。ネットなどから自分で情報を入手し、自分で判断していくんだと思うんです。ということで、それだけの知力を持つ子供はとても少ない。
けれど、こういう生徒で気をつけなければいけないのは、似非がいることです。例えば、私の経験では、③の生徒に親がこういう「あり得ない夢」を言っています。「目の曇った親こそ教育業界のターゲット」に書いたような親です。親バカではなく、バカ親なんです。だから、教師も塾もバカに意見しても同じなので、迎合して「頑張ってネ!」と言うだけです。周囲の大人みんなから言われて、子供は本気でそう思っちゃうんですねぇ・・・。
②一流大学に石に齧りついても進んで安定した企業に勤めようと言う生徒
まあ、真っ当な優等生ですね・・・上位の進学校の3割、中堅校なら1割程度いると思います。だって、進学結果がそうなっていますから。まあ世の中で言われていることを「もっともだ。」と判断して、自分の未来を切り開くために頑張る根性はある。
逆に言うと、根性はあるが宣伝や情報に乗せられやすく、その情報の信義や将来性を判断する能力はない。一流大学を出て企業戦士になって、エリート意識から若い間に安い賃金でこき使われ、中高年でリストラされるという現実もあることは分かっていない。企業から見ると非常に都合の良い方たちです・・・エリート意識からレベルが合わない学習を進学校や進学塾で押し付けられ、必死に頑張る子供の将来とも言えないこともありません。
③クラブなんかに夢中になって安楽に過ごすことがデフォルトで、何かを手に入れるためには何かを犠牲にしないといけないことが分かっていない生徒
まあ、一番多い層ですよね。経済成長期で職場も増えている状況なら良かったんでしょうが、こういう層を正社員として雇える余裕が日本にはなくなった。それで、若年層の非正規雇用が40%なんてことになっています。これは今まで散々書いてきた子供の配分とほぼ同じです。「公立中学の下半分の落ちこぼれ感がハンパない/落ちこぼれた生徒の見分け方」「普通の生徒の悪夢の失敗/もう二度と御免です」の通りです。
塾でもそうならないように、子供たちには一生懸命に言うんですが、まあ無駄ですね。だって、一番大切な小学校の時にも中学校でも、親が言い聞かせないんですから。それに、中学受験組がいない公立中学でも、相応の学力が集まる私立や公立高校でも、周囲は同じようにダラケた生徒が集まって手を繋いで落ちていくんですから、塾なんかで説教しても同じです。
④テスト前に漢字を覚える気もない生徒
いつの時代にもいましたが、この数年の最大の特徴は③の生徒でこの最下層に落ちてくる生徒が増えてきていることです。まさに教育は社会を反映しています。③の中流階級が崩壊して下流階級の④が増えてきているんです。二極化が子供達でも進んでいます。
こうなると、学習すると意欲も、働く意欲もないんですから、問題外でどうしようもありません。コンビニのレジ打ちさえ任せられないと思います。「公立中学や中堅高校・私立の生徒に必要なことは学習指導ではない」「公立中学の下半分の落ちこぼれ感がハンパない/落ちこぼれた生徒の見分け方」に書いた通りです。
①は本人の資質 ②は親の教育だと思います
周囲が情報を与えても教えても①の生徒が育てられることはないと思います。逆に、このレベルの生徒は自分からネットなんかで情報を取っていくでしょう。こういう生徒にとって、情報が溢れている今の時代は本当に有利だと思います。
問題は、③の生徒を②にどう引き上げるのかと言うことです。③のままでは将来は派遣や非正規しかありませんから。④の生徒は、経験上諦めるしかないです。
そのためには、中学になって受験だ成績だと言っても、反抗期・思春期に入った子供は言うことを聞きません。昔のように反抗・不良をするのではなく、今の子供は上手に受け流して、大人が諦めるのを待ちます。理屈で理解させようとしても無駄なんですよ。したがって、子供が大人の言うことを無条件に受け入れる小学校時代に、「頑張らないことがデフォルト」ではなく「頑張ることがデフォルト」と刷り込む必要があります。親は子供とうれしい楽しい家庭を築くだけでなく、キチンと情報を与え厳しく管理すべきです。
そして、学習面で親がフォローしきれないのなら、中学受験塾に放り込んで締め上げてください。受験をするしないにかかわらず、ダレ切った小学校にまかせているだけではどうにもなりません。「中学受験をした生徒としていない生徒の差/埋められないほど大きい」「中学受験を利用して基礎学力を身につけよう!/指導不可能になっている公立中学の半数の生徒」の通りです。
ただし、大手塾は上位のクラスの生徒が進学実績を叩き出すので下位のクラスの生徒なんか放ったらかしで授業料徴収要員としてしか扱いません。経営者が自ら目を光らせる、厳しい小規模塾に入れてください。「進学塾に下のクラスで入る愚かさ/公立中学の学力と入塾基準」の通りです。
親の仕事と塾の仕事
親の仕事は③の生徒を②に引き上げ「頑張ることがデフォルト」にすることです。大人の言うことを丸呑みする幼少期と小学校で、そういう状態に育て上げることです。その時期に「子供の個性」だとか、「世界に一つだけの花」だとか親にとってうれしい教育、楽しい和気あいあいの家庭を夢見たなら終わりです。中学からは③の「普通の生徒の悪夢の失敗/もう二度と御免です」と言うような子供に、地獄の教育とすさんだ家庭を味合わされることは間違いありません。
でも、子供の個性だとか言って、うれしく楽しく子育てをしたい親に取り入ってなんとか金を取ろうとする教育関事業は多いです。逆に言うと、そんなの詐欺レベルの甘言に騙される親が多いと言うことです。それにつれて③の生徒が④に落ちている。あるいは③の生徒を②に押し上げられなくなっている。④になったら、その後人生終了ですよ。子供だけではなく、ニートでしゃぶりつくされる親もです。
塾の仕事は②の生徒に学習を教えることです。当塾でも③の生徒を何とかしようと四苦八苦してきましたが、最近はもう無理です。昔は③の生徒でも何とかして成績を安定させることはできたんですが、今や③のだめっぷりが凄まじく何ともなりません。上に挙げた参照のブログを読んでください。親が自分たちの中学・高校時代を思い返して想像しているのとは、全く違いますから。もう壊滅的です。
幼少期と小学校での親の教育と言うのが、昔より俄然大切になってきているわけです。
③の生徒に親が出来る最善
子供を見ていてどうも③だなと思えば、さっさと中学受験塾に放り込んで、2年間だけ我慢して尻を叩き上げ、甲南や啓明というような付属校に放り込むことです。後は、和気あいあいの楽しい家庭生活が待っています。
でも、所詮③なんですから、「本当は国立大学に行って欲しかったから頑張って外部受験!」と付属校で自らの首を絞めるような暴挙はしないことです。②に上がる生徒なら、中学受験塾で付属校の上のランクの進学校に進んでますって。だから③の子供に、そこそこ未来ある人生を切り開いてあげたご自分を褒めて、付属校でつつがなく過ごさせることです。