学校選びのアドバイス オープン・スクールの使い方
オープン・スクールは学校の宣伝 都合の悪い真実は言わない
生徒だけでなく保護者の方までも「学校のパンフレットに、こういうカリキュラムで・・」とか、「素晴らしい指導方法で、すごい進学実績で・・」とかオープン・スクールや説明会に感化される方が非常に多いです。
オープン・スクールで学校が都合の悪いこと言うと思いますか? カリキュラムって言ったって、高校のカリキュラムなんか文科省が単位数もテキスト=教える内容もガッチリと決めてるんですから、「ウチだけ特別」ってのはありません。特に高校から進む場合は尚更です。
だから、オープンスクールで提示される「都合良いお話」も、どの学校でもほとんど同じです。複数の学校のパンフレット取り寄せて見たら分かります。できることなんて限られてるんですから。中学受験組なら、文科省を誤魔化して、「中2から高校の・・・」というとこも多いですが、それもどの私学でも同じです。特色なんかない。高校に至っては、トップ校でもせいぜい数ヶ月授業進度が早い程度です。商品も同じ値段帯だったら、どのメーカーのパンフレット見ても大差ありません。できることは限られているんですから。
「すごい進学実績」って言っても、じゃあその陰で真中の生徒はどこに進んで、落ちこぼれた生徒は何人いるのか説明する学校なんか聞いたことがありません。「このすごい進学実績は、上位2割だけのもので、下位の生徒や普通科クラスでは〇〇大学にも行けないんです。」っていうお目出度い学校なんか無いです。メーカのパンフレットでも上位機種の機能は自慢げに宣伝されていますが、普及価格帯の商品は実はその機能は省かれてるのはよくあることです。けれど「普及品は、こんな事もできないんです。」って宣伝するお目出度いメーカーはありません。
学校は企業より真実を言わない
一つ明確に申し上げたいのは、学校は「子供の教育」を司る聖域ではなく、規制に守られたかなりいい加減で手前勝手な組織であるということです。子供の将来を潰すようなイジメの隠匿が平気でまかり通るなんて、情報開示されオープンで競争している一般企業よりたちが悪いです。あのイジメの酷い会見や釈明を聞いていて、それでも良い事ずくめのお話ばかり信じるって、私は理解できません。
何故こんな事になっていると思いますか? 私は学校というビジネスの特性にあると思います。一旦学校に入ると生徒も親も逃げられません。学校に通うのは3年間、1回こっきりです。しかも中途解約はなしです。消費者と長年の信頼を築かなければ いつでも他の商品に乗り換えられる普通の企業のビジネスとは違います。いわば学校は不動産販売業に近い。家をその宅建業者から買うなんて生涯に1度きりです。顧客の信用を維持しなければやっていけないビジネスではないんです。だから、取引成約して金を払ってもらえば、あの業種はクレーム対応が非常に悪いんです。
学校は不動産販売業者と同じようなビジネス特性を持つ上に「子供の評価」という人質まで持っています。さらに、強烈な規制によって、ライバル校が乱立するというような業種ではありません。いじめ事件を起こしても、その地域で、その偏差値なら、その学校に行かざるをえないんです。だから、あんなイジメの釈明が許されるんです。「まっとうに正直に」と信じるほうが間違いです。「学校の先生より、塾の先生のほうが熱心に考えてくれる」というお母さんが多いですが、当たり前です。転校は出来ないが、塾はすぐ辞めてしまわれますから。
実質の進学実積を知る
学校のパンフレットなどの数字から、「関関同立100人、じゃあ真ん中の成績でも関学に行けるわ!」なんて思わないでくださいね。関学に受かる子は関大も同志社も複数で受かってくることが多いです。学校側も、受かる生徒には複数校受験させ(るように誘導して)合格実績を嵩上げしていきます。以前、学校側が受験料を負担して優秀者に複数校受験させて合格実績を嵩上げするという「事実」が大阪の高校でスッパ抜かれ大騒ぎになりましたが、関係者にから見れば「何を今更・・こんなことで大騒ぎして、アホちゃうか」です。 保護者や生徒の方も「 国立大学は学年で何人、関関同立は何人。関関同立は2~3校受かっている子が多いから実質何人ぐらい・・ということはこの順位で関学!」ぐらいは考えて予防することです。そんなに難しいことじゃありません。
まあ、まともに考えれば、学校が本当の情報を知らせたいのなら、「ウチは何番でこの大学」って出すべきでしょう。それをしないということは、出てはまずい事実だからです。「ご希望の大学は学年何番くらいの生徒が進むんです・・・お宅のお子さんの今の学力はこのぐらいの順位で入学することになるから、例年の実積からは、よほど大化けしないとこっちの大学になりますね。」って「本当」をオープン・スクールや学校説明会で言ってくれる学校など聞いたことがありません。
これは塾の入学でも同じです。「○○中学も可能性があります!頑張りましょう!!」って、実際には「この程度やな」と思ってる2つも3つも上の学校名を挙げて保護者を焚きつける中学受験塾は多いですからね。
実際の指導を感じ取る
前日も書きましたが、学校の素晴らしいカリキュラムやバラ色の指導方針の概要だけを示されても、実際にそれがどう現場に落とし込まれているのかは分かりません。 企業でも入社前の説明会などの話と、入社後の職場はまったく違うなんて「普通」です。 もちろん、現場には色々な教師がいるわけですから優劣も、生徒個人に合う合わないもあります。けれども、言えるのは「組織には色がある」ということです。これは学校でも企業でも同じです。
でも、いくら良い事ばかり言っていても、そこの社員や教師から感じられるそこはかとない雰囲気、臭いは隠せません。言葉の端々、行動の一端に垣間見れます。例えば「生徒の能力を引き出す」と言っても、それは上からの強制的なノルマを課すことなのか、画一的な管理をすることなのか、生徒と個人個人の裁量を許すことなのか判断が付きません。そういう現場の雰囲気は、その現場にいる社員や生徒それに教師の印象や言葉の端々から強烈に感じ取ることができます。それをオープン・スクールで感じて下さい。人間の直感的は大したもので、半日も学校にいて「ここは合わない」と感じたら、その直感は確かです。他の学校にしたほうがいいです。
そして、もし説明に疑問があれば尚更です。実際に一介の教師にやそのへんを歩いている生徒と直接話しをして下さい。例えば「じゃあ、クラスで真ん中で関学にはいけるんですね!」「宿題はどう出るの?難しすぎない?」「みんな出来ていなかった問題とか、きちんと後で先生は説明してくれる?」って聞いてみて下さい。はぐらかしたり、教師の説明とは食い違う「?」なお話が出てくるはずです。
難しい話ではありません。私達はいつもそうして日常を過ごし、相手を測りながら生きてるんです。学校に対してもそれをして下さい。教師に聞くのなんか、遠慮はいりません。まだ匿名の段階です。
子供に合った学校を
私は、「ここは管理が厳しいから、君には合わんと思う。あっちの学校も見ておいで。」というようなアドバイスを良く生徒にします。自慢じゃありませんが、これが結構よく当たります。だって、毎日生徒を2~3時間間近で教えてるんですもの。生徒のことはよく分かってますよ。芦屋で20年も教えてるんだから、学校のことも分かってます。「偏差値はOKでも、この生徒はこの学校には合わんな。」ぐらいの判断はつきますよ。結構、その判断で上手いこと結果が出て、国立大学や医学部に進んだ生徒もいます。
ご家庭でも、学力や進学実績だけで判断するのではなく、子供の性格もよく見てあげて下さい。自由にのびのび学習させたほうが良い生徒もいるし、締め上げないとダラける生徒もいます。お子様に合った学校を選んであげて下さい。私が見た一番凄い学校は、某奈良県の進学校で、夏休みの生徒の課題を「これをやって来い」ではなく、毎日の日めくりカレンダーで「今日はこれとこれ」って印刷して渡してありました。もちろん、個別に生徒に合わせたスケジュールなんかではなく、課題を日割しただけの画一的なものです。それを休み中の登校日にいちいち提出しないといけないんです。私なら耐えられません。「やかましい、こっちにも都合があるねん。テストで結果見せたるから黙っとけ!」って言ってしまいそうです。
合わない学校の管理や指導方法で潰される、そこまでは行かなくても嫌気が差して成績が伸びない生徒って、多いんですよ。これだけは覚えておいて下さい。会社も一緒でしょ?
私の考える塾のアドバイス
もちろん、塾によっても、講師によってもそういうことは話さないことも多いです。理由は、そこまで考えたことはないから、責任を負いたくないから、不明瞭な話を他人にするのは無責任だと思っているから、後は野となれ山となれ塾は関係ないから・・と色々あるでしょう。でも、私はこういうアドバイスこそが塾の本領だと思います。
話は少しそれますが、商品を買うとき、パンフレットのことしか話さない店員が最近非常に多いです。私はそういう店員からは買いません。時には面と向かって相手に言います。「そんなことは事前に比較して知っている。私が聞きたいのは顧客に接しているアンタの『この商品は故障したと言ってくる客が多い。』『ここのメーカーは対応が悪いいから買いたくないと言っている客が多い。』という経験と知恵で、そのアドバイスがないのなら安いアマゾンで買う。アンタがこう言ったからと責任を取れなんて言わない。」でも、そこまで言われても、「それはお客様のご判断ですから。」って恥ずかしげもなくヌケヌケと言ってのける店員が最近は非常に多い。特に若い男!だから、30歳代後半以上のベテランがいなくて若い店員ばかりなら、女性店員を私は探します。
塾も同じだと、私は思っています。だから、こんなブログを書いてるんです。