高校受験に失敗する生徒の簡単な見分け方 できない生徒とできる生徒編
その日に何の授業があったかおぼえていない
私の塾では、基本的には、中学生に予習はさせません。これは芦屋高校に進む生徒でも神戸高校に進む生徒でも変わりありません。学校のペースに従って復習していきます。ですから、学校の復習を塾でやって、家に帰れば学校の宿題をやって、それで終わりです。塾からは宿題など出しません。それで充分合格してきます。たかだか中学の学習に予習など必要もありません。
もちろん、芦屋高校に進む生徒と神戸高校に進む生徒は教える内容は違います。前者は、学校の授業のおさらいから始め、通知簿で4を取るのに十分な応用問題=少しできのいい生徒なら解ける問題まで引っ張ります。後者は「授業で基本的なことは分かってるな?」から始まり、理解の手助けになる違う角度からの学習や通知簿5を取るのに必要なクラスで数人しかできないレベルの難問まで引っ張ります。それで終わりです。両者とも理解できる範囲内にある学習なので負担も少なく、塾の学習だけで理解してできるようになります。そして、次回塾で復習して確認するだけ。他にすることはありません。塾から宿題なども出しません。これで十分合格してきます。公立高校やこのレベルの私立併願校の入試問題など、このレベルです。そもそも、義務教育など生活を犠牲にして学習するようには組まれていません(注:あまりに活動の激しいクラブ活動は除く)。
後者の優秀な生徒については最後に書くとして、まずはこの前者の生徒について書きます。この前者が塾に来ても、その日に数時間前までいた学校で何の教科を学習したかおぼえていない。時間割を言うのにこっちの血管が切れそうになるくらい時間がかかるんです。
当然、授業内容は説明出来ない
怒りを抑えつつ、その日塾で復習しないといけない教科を聞き出し終わると、次に各教科で何を学習したか聞くわけです。でないと、塾で何を教えるか方針が決まりません。ところが、フニャフニャと意味不明なことを言うだけで何をやったか分からない。「その、アレですよ、アレをこうしてどうしたんです。」みたいな説明をするわけです。全く学習のポイントが整理できていないんです。
彼らは、理解して納得して聞いているんではなく、ボ~っと聞いて右から左に抜けて、イメージとか画像とかが記憶の片隅に残っているだけなんです。だから、何度も同じことを復習しても理解できないし、デキるようにならない。学校で教わって、塾で学習して、また塾で復習しても、同じ問題を間違える。だって、理解しているんじゃなくって、霞みの奥にぼんやりおぼえているだけなんです。どこで学習しても、誰に教そわっても、何回繰り返しても霞の中なんです。もう、オッサンが昔の彼女をおぼえているようなものです。
だから、誰が教えようと、どの塾に行こうと、何度学習しようと、何時間机の前に座ろうと、一向に成績が上がりません。
で、3年の冬休みに、やっと頭の歯車が動き出す
で、以前も書いた通り、最終の3者面談で志望校を下げられ、その下げられた志望校の過去問題を冬休みにやっても合格点を取れず、「ヤバい」と気づいてやっとまともに頭の歯車を動かしだすわけです。詳しくは、「中学3年の冬休みまで本気を出さない子供たちの将来」をご覧ください。
で、頭がまともに動き出すと、それまで3年近く「でけへん」「おぼえられへん」って言ってたことが、たった1ヵ月少しですべてできるようになり、おぼえるようになる。ただただ、頭のネジが緩んでいるだけなんです。先生の説明が下手なからでも、学習が難しすぎるからでもありません。義務教育など、この程度のものなのです。毎日3時間も塾に行って予習する必要ありますか?
こんな生徒に「クラブ活動も頑張ってね!」なんて言ってるヤツらの頭も緩み切ってます。「平均点取れない生徒はクラブ禁止。次のテストまでに頭のネジ締めなおしてこい!」っていうまともな中学校はないのかと、本当に思いますよ。
親がすべきこと
お子さんに「今日、学校で何勉強してきたん?」って聞いてみてください。そこで、「この教科はこの分野のコレ、こういう問題をこう解く。」と説明できない中学生なら、いくら金をかけて塾に行かそうが難しいです。どこに行っても成績は上がりません。どこに行っても、記憶の中に断片があるだけで、自分の努力と思考で断片を結び付けて理解することはないですから。
上に書いたように、最後の最後になってやっとお尻に火がついてそれなりの高校に進みますよ。自分で頭を打つまでは、いくら言って聞かせても、塾に金をつぎ込んでも無駄なんです。だから、強制的に親が頭を打たせることです。成績が改善されなければ、スマホを取り上げ、クラブを禁止し、「〇〇高校以下なら、行かせない。」と爆弾を落としましょう。
アッ、「高校行かせへんで~」くらいではだめですよ。今まで何度も怒ってきたでしょ?で、こんなになっているですから、親は舐められてます。だから、中途半端な言葉だけでは子供は頭は打ちません。日本が中国に「遺憾だ」といっているようなもんです。実力行使で本気だと思わせなければ、怒られ慣れている子供はひるみませんよ。スマホを目の前で叩き壊して、クラブの顧問に目の前で電話をしてクラブを辞めさせるぐらいしないと、何の効果もないですから。「またか~」っと流されて終わりです。
そうならないために・・・中学受験組との最大の差
大した中学に進めなかったとしても、中学受験組はこんなことはありません。その日の授業の説明もできないことはあり得ない。やはり、小学校時代キチンとトレーニングされていたからだと思うんです。だから、受験するしないにかかわらず、その辺の中学受験塾に子供を放り込むというのは、基礎学力と学習姿勢を身につけさせる意味では良い方法だと思います。まだ大人に服従する小学校の間にキチン頭が働くように躾ないといけないんです。自我が形成される思春期になってからではもう遅いんですよ。
そこでの注意ですが、塾側のおだてに乗って、下位の成績で合格することになる中学受験をさせないようにしてください。必ず落ちこぼれて、公立に進んでいたより酷いことになります。詳しくは「進学塾や進学校の生徒が抱える学習問題・・根っこは親です」をお読みください。
後者のデキる生徒の受験失敗
後者の成績が良い生徒の場合、私が書いた程度の学習で余裕を持って上位校に進めなければ、上位校に行く意味はありません。必死にガリ勉してなんとかかんとか上位校の底辺で入ったところで、余裕で進んだ自分より上のレベルの生徒を何百人も抜かせるわけないでしょう。難しい宿題を丸投げされて落ちこぼれるのは目に見えています。こちらで失敗するのは、最終目標は大学受験だということを忘れて、見栄から高校受験がゴールになって無理やり上位校に進む生徒です。
このことは、「進学塾や進学校の生徒が抱える学習問題・・根っこは親です」「進学校の生徒が普通の高校の生徒に追いつかれる理由」などで何度も書いてきました。