職人の修業期間の理由/学歴と同じ「辛抱」を図る期間

技術習得が職人には必要だから? 違うと思います。

職人では技術習得が必要だから修業期間があるんですか?でも、料理人なら皿洗いや玉ねぎ刻み、美容師なら洗い物や掃除、シャンプー、ガテン系なら荷物運びなんかが修業期間の意味するところです。で、そんなこと1年も2年も続けたって技術習得にも何もならんでしょう。それに、業務の習得期間が必要っていうのなら、研究室で鍛えられて修士から入る理系は別として、大学で4年間遊び惚けていた文系の社員も同じでしょう。

一般的に、職人さんの道は、学校の成績が良くなかった若者、努力してこなかった若者が選ぶことが多いわけです。当然辛抱もない。雇用する側としては、そういう若者に散々振り回されてきて、キチンと技術を学んで、長い間キチンと働いてくれるのか、雇用するたびに不安だと思うんですよ。でも、働きが悪いだけの理由で「オマエなんかいらねぇ」とアメリカみたいにクビにできる雇用慣行が日本にはない。

そこで、何の役にも立たない雑用を延々と押し付け、若者がそれを我慢してでも技術を身につけ働こうとする覚悟があるか見極める必要があるんです。その覚悟がないなら、雇用する側がクビにしないでも自分から辞めていきます。そういう若者をさんざん見てきた私の「修業期間」の解釈です。

ではなぜ大企業なんかに修業期間がないのか?

それは学歴で採用できるからです。「勉強する理由 なぜ学歴が大事なのか?」「勉強する理由? 学歴と修行はそっくり」に書いた通りです。

高学歴を手に入れるためには、学習の適正もありますが、役にも立たない勉強を愚直に努力し続けること、楽しみなどを我慢してでもトライし続けることが多くの場合必要です。これは職人の修業と同じではありませんか。だから、大学で遊び惚けて何のスキルもない若者でも、企業は喜んで雇うんです。そうして、学歴で選抜してきて、長い歴史の中で問題も不都合もなかったからです。

だから、大企業では修業期間を卒業した若者を雇えるから、研修は必要でも修業は必要ないというのが、私の考えです。

高学歴者を採用できない中小企業が、厳しい運動部で頑張り抜いたスポーツマンを喜んで雇うのも同じ理由だと思うんです。彼らには頑張り抜いた実績がありますから。・・・だから、いい加減な運動部で楽しく過ごしても、採用にはあまり関係ないと思いますよ。

勉強した方が楽だと思うんだけどな・・・

職人の世界は、修業期間が慣行になっていて、それはタダ同然で雑用係をこき使える慣習でもあります。また、学歴がない世界ですから、ハッキリ言えば、不良やいじめをしてきた生徒の集まる場でもあるわけです。そういう中でこき使ってもいいわけですから、修業期間はいじめが公認された期間でもあるわけです。簡単に言うと、自分たちもされてきたから、自分もやるという下位校の運動部の下級生いびりと同じ構造でもあります。

そんな中で頑張るより、素直に勉強してそれなりの大学に行った方が賢明だと思うんですけどね・・・よほど「料理人になりたい」というような明確な夢があれば別ですけれど。

料理人が外国に修業に行く理由/外資系企業選択と同じ?

イタリア料理にしてもフランス料理にしても、日本のレベルは高く、わざわざ外国になんか修業に行く必要はないと私は思っていましたから、外国修業はただの「肩書」を身につけるためだと思っていました。

けれど、これは「本気で技術を身につけたい」場合、日本の修業期間などの回り道を回避するためのスピードアップの期間なのではないかと、いい歳になって私は思うようになりました。また、先輩後輩間の年功序列的雇用も大きいと思います。料理の腕だけでは業務が広がらない。で、外国なら、料理学校を卒業し、ある程度の経験と技術を持っていれば、それなりの役割で雇ってくれます。そこで技術に磨きがかかれば、さらにその上に進める。日本の修業期間や年功序列みたいに無駄に時間を浪費する必要がないんからだと思うんです。

同じ様な意味で、大企業で無駄な業務を押し付けられてキャリアアップの邪魔をされることを嫌う若者は、最近では外資に就職しますよね・・。まあ、大抵は自己評価が高いだけなんですけれどね。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。