知らないことは騙されること/情でバイアスがかかる真実をラ・カンパネラで学ぶ
有名曲カンパネラで聞くフェイク
酷いことを書きます。これは障害者差別ではなくピアニストとしての評価であることを厳に述べておきます。
なぜプロのピアニストとして、以下の二人がいるのか? 圧倒的な技量の差は誰が聞いても明らかです。演奏の好き嫌いとかそういうレベルの話ではない、圧倒的なレベルの差があります。
なぜこのようなことが起こるのか?
それは明らかです。ひとつは、ほとんどの人がプロのピアニストの演奏など聞き比べたことがないので、情報を持っていないことです。もう一つは、辻さんが障害を上手くビジネスに結び付けていて、多くの人はバイアスのかかった状態で彼のピアノを聞くからです。観客の減っている音楽業界も辻さんを利用して、今まで音楽に興味のなかった層を顧客として取り込もうとしているんです。メディアもそれに乗っかって、美談か音楽評価か分からないバイアスまみれの情報を流します。
その結果、音楽をほとんど聞いたことがなく、音楽以外のサムシングを辻さんの生き方に求めた方々がチケットとCDを買うことになる。別に、私は「元気をもらう」という聞き方を否定はしません。ただ、この両者のピアノの差を分かった上でそう見ているのか、盲目的に「スゴイ」と思っているのかっていう一線はあると思うんです。
受験でも同じだと思いませんか?
しかしこれらの問題は、自分の子供を受験産業で評価するときにも頻発することです。多くの親は、他の子供と自分の子供を熱心に比べたことはない。愛情というバイアスがかかった霞んだ目で自分の子供を評価していて、そこには冷静な判断はない。
おまけに、受験産業の知識もない。知っている知識は受験産業から都合よく流された情報だけです。「スイミングスクールと学習塾や進学校は同じビジネス手法です」「進学塾や進学校の生徒が抱える学習問題・・根っこは親です」に書いた通りです。親は内情も知らずに、「あの塾に行けば・・」「あの学校に行けば・・」と霞んだ目でサムシングを期待していて、その親の足元を見ている受験産業にコロッと騙されるんです。
フェイクをフェイクとして認知できないと、良かれと思って進めた受験で、却ってお子さんの将来を潰すことになりませんか? 私、そういう実例をいっぱい見てきたんですが・・・。
最後に
ベフゾド・アブドゥライモフはウズベキスタン出身のピアニストです。ウズベキスタンって、どこにあるか知ってます?
クラシック音楽など無駄の極みであり、値段の張る楽器が必要な演奏者など経済的に余裕のある国でしか育ちません。今の50歳代以上のピアニストなんて、ほとんどヨーロッパとアメリカ人だけです。それに、少しの日本人。ところが開発途上国の経済的発展で、思いもよらぬ地からとんでもない才能が出て来るようになりました。
これはピアニストだけでなく、ネットなどの新世代産業も同じでしょう。無駄から生まれるんですよ、グーグルもアップルもフェイスブックも。ライバルは中国だけではないんじゃないでしょうか? 日本の先行きは明るくないと思いますよ。こんなピアニストが、ウズベキスタンから出てくるんですから。
どうなんでしょうかねぇ。そういう将来で生き抜いていかないといけない子供の学習や進学は、思い込みだけでなく、キチンとした情報収集と判断で、少しでもマシな大学に行くことが必要になると思います。このウズベキスタンのピアニストのような才能を持って、「自分自身」で勝負をかけれる人間などごく少数なんですから、結局は学歴だよりで競争に生き残る企業に雇ってもらうしかないんじゃないでしょうか?