進学校、特に中高一貫校の問題点/自分のペースで学習ができずに理解不足に陥る

進学校の授業開始時期の問題

多くの中高一貫校では、高校のカリキュラムに中学2年生の後半、遅くても中学3年生から入ります。特に数学は学習量が多く、受験の準備もあるので早い目に高校の授業が始まります。

このことは、生徒の方は中学受験を終えてまだリハビリ中で少しダラケ気味な上に、「まだ中学生」という意識が強い状態で難しい高校の授業が始まることを意味します。

特に上位の進学校の場合、少々速いペースで授業を進められても中学程度の学習なら落ちこぼれる生徒はいません。それほど学習ずる必要もなく、学校の宿題程度のことをやっていれば十分に学校の速い授業についていけます。この意識のまま高校の難しい授業に突入するのです。

新しい校門をくぐるわけでもなく、多くの場合学期の途中から高校の授業が始まり、子供は全く心構えができていない状態で、中学とは比べ物にならない難しい内容を教え込まれます。高校の学習を進める準備が、心理面でも学習スケジュールの面でもできていないことが、まず進学校で多くの生徒が落ちこぼれる第一歩になります。

進学校の授業進度の問題

準備ができていない中学生に対して、緩やかに高校の授業を始めて「どうだ難しいだろう。気持ちを切り替えないといけないよ!」という準備期間を学校も与えればいいと思うのですが、そんなことはなしに高校生と同じ速度で唐突にトップギアで授業が始まります。

多くの生徒は予習などする習慣も余裕もなく、学校の授業の後追いになり、宿題をするだけで精一杯の状態になります。中学校の発育の脳で、高校生の成熟が進み理解力もある若者用の学習をするのですから、いくら優秀とはいえ公立の進学校並みの授業で最初から授業を進められては、さすがに理解不足が起こります。

ところが、この理解不足が起こっても、どんどん先に授業は先に進まれるために、理解不足を解消することができずに、さらに理解不足が積み上がります。そして、高校1年生の後半ではにっちもさっちもいかない状態になります。

先日ご紹介した「自分で考える時間を作るために半年分の予習を進めよう」というような高校の学習への準備ができないのです。公立の場合は高校受験があり新しい学校に進むので「心機一転」があるのですが、中高一貫校の場合、それなしに進まれるからです「高校生の学習/予習で分かる大学進学ランク」。

これが中学受験で入る中高一貫の進学校の下半分の生徒の、予想もしていないほど悪い大学進学実績の原因です。

そして、親と子供の心情が拍車をかける

ここで親は、「数学も英語もはもう無理だから、英語に絞って関関同立にでも・・・」とは絶対になりません。「数学も英語も成績を上げて神戸大学に!」とほぼ全員の親御さんが塾に言って来られます。

でも、問題の大きな原因は教え方にあるのではなく、理解する時間がなく、それが積みあがっていることにあるのです。だから、浪人を覚悟してその時間を作るか、学習科目を減らして理解不足の積み上がりを減らすことが、まず主要な解決課題であり、「どう教えるか、どう学習するか」はその次の話になるのです。

だって、今まで学習してきて時間が足りなかったわけでしょ? それが積みあがっているんです。そして、「チョチョイ」と教えれば「分かった」という中学レベルの学習なら進学校の能力の子供はそんなことになっていないわけです。教えられたことを自分で腹に落ちるまで考える時間が取れなかったから、理解不足になっているわけです。その「腹に落ちる」まで考える時間を、理解不足が積みあがった学習に取らないといけない。上手に教えさえすれば解決できる問題ではありません。

お父さん、お母さん、高校時代や大学受験を思い返してください

学校の先生もプロなわけです。特に私立の場合は、進学実績を出せる教師が選ばれているわけです。彼らに対して、予備校や塾の講師が「チョチョイ」と教えれば済む魔法レベルに優秀な方法を持っているわけではありません。

そして、教わる方も塾や予備校で教えてもらったからと言って、考える時間もすっ飛ばして「すぐ理解できた。入試問題OK!」なんてこともないのです。そんなことは、ご自分が高校生の時に嫌ほど経験してきているはずです。お子さんも同じです。

そんな手品みたいな学習指導があれば、年間200万円や300万円払っても、租塾や予備校には生徒が押しかけますよ。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。