大学の学部選択／文系編
文系の学部なんて、どれを選んでも同じ
十数年前くらい前でしょうか、大学が新設学部を作って、生徒も親も選択に困るという時期がありました。その多くは、国際教養学部とか総合政策学部とか、親の世代にはなかったものなので親も判断しようがなかったのです。正直、私も何なのか分かりません。ただ一つ分かっていることは、グローバル化などに対応してというより、その流れに迎合して学生を確保したかっただけなのではないかということです。一方で、付属中高はおろか小学校まで整備し、指定校推薦を充実させた関連校と提携し、新設学部を埋める学生を手当てしていきました。学部を増やして、入学者を確保して、児童から生徒、学生に至るまで増加させてトータルコーディネートの客を増やして金を儲けたかったからに過ぎないと思います。
ところがです。いくら時代に迎合して学部を増やしても、昔よりは厳しくはなりましたが、依然として大学の授業などユルユルです。学部で唯一の専門の授業といえるゼミなども毎日締め上げるわけでもありません。落第上等というようなこともありません。そんなことをしたら受験者数が減ります。
外国語大学などの専門技術を習得する特殊な文系を除いて、大学の学部ごときで専門など学ぶというほうが、ちゃんちゃらおかしいんですよ。文系よりは多少マシですが、理系も似たり寄ったりです。修士に入って１日中研究室でしごかれるようになって、初めて「専門分野を学習してきた」として、研究開発職の就職があるのです。マトモな大企業なら、大卒で研究開発職の就職はありません。
だから、「将来は何をしたいの？」なんて言って、文系の学部を選ぶなど、ちゃんちゃら可笑しいのです。
ではなぜ教師はそういうことを言い出すのか？
まずは社会経験がないから。次に、教育学部という専門色が強い学部で、教員免許という専門資格を取るから大学の学部教育に普通の学卒より重きを置いているんじゃないかと思うんです。教員採用とは違い、「いくら一流大学でも教員免許なかったらダメ」という選別は普通の就職にはありません。
二流大学は採用しないけど大阪大学なら喜んでという一流企業や役所はあっても、経営学部ならビジネスマンとしてOKだけど、法学部はちょっと・・・っていう企業なんかあるかいという当然のお話が教師の頭には薄いんじゃないかと思うんです。そういう専門分野での選択は、専門家を採用する理系の修士だけの話です。
でもね、「社会的に活躍したい。」んなら、「学部選択の前に社会的に活躍できる上位の大学に進め！」という本質的なアドバイスもできない原因は、親とのトラブルを起こしたくないからだと思うんです。「ウチの子供には将来はないって言うんですか！」って親に食ってかかられ、学校で大ごとにされたら面倒ですからね。
当塾のアドバイス
だから、文系など「何をやりたいの？」のじゃなく、「どの教科なら得点できるの？」「どの大学の何学部の受験科目なら有利なの？」一択しか文系の受験など選択肢はないと生徒に言います。もし専門分野の勉強を本格的にしたいなら、修士に行ってください・・文系の場合就職はとんでもなく不利になるでしょうけど。たとえ法科大学院や経営大学院に行って弁護士資格やMBAを取っても、屁理屈をこねる奴が企業に入れば面倒だからです。そんな専門家は、金で言うことを聞く、外部の事務所やコンサルと提携した方が楽なんです。サラリーマン社会というより運動部のノリそのままの日本の企業は、アメリカの企業とは違うんでしょう。
そんなこと、お父さんが一番よくご存じでしょう。それを何で学部選びに悩まれるのか、私は全く理解できません。
ただし、これは文系でも「アラビア語を習って商社でデカい仕事をしたい。」とかいう明確なビジョンがある高校生には言いませんよ・・・そんな生徒はひとりもいませんでしたがね。死ぬ気で英語を勉強して外国語学部に行ってください。ただ、アホな外国語大学では、デカい仕事ができる一流商社など、いくらアラビア語の片言が喋れても歯牙にもかけてもらえないとは伝えます。でも、タケモトピアノやビィ・フォアードなど急成長した会社もありますので、大企業でし烈な競争をするより、こういう成長企業に入る方がやりがいはあるかもしれないことも付け加えます。
タケモトピアノは皆さんご存知ですよね。ビィ・フォアードはアフリカで圧倒的シェアを持つ日本の中古車輸出商社です。アフリカはイギリス領も多く、右ハンドル・左側通行の国も多いんです。そこに日本では廃車でも、整備が行き届き十分走れる中古車を卸ろした。目の付け所が賢いです。
いい大学に進めない生徒はこういう企業に行けばいいんですが、株式投資家でも見抜けない成長企業を見抜くのは無理ですから、勝つのが極めて難しい博打になりますけどね。それに、優秀で強烈なオーナー社長がいるので、ブラックな側面が強いとも思います。
