進学校に進んで、4年半も高校の学習をして、なぜ多くの生徒は関西学院大学にも合格できないのか?

関学の入試問題は難しくはない。だが、チャート式丸暗記では対応できない。

以前から何度も書いてきていますが、「関西学院大学は親世代の甲南大レベル/それでも関学が名門になった理由」の通り関学の入試問題は難しくありません。学校から配られたチャート式などの問題集をしていれば合格できます。もちろん、高校3年生では過去問などの入試問題集をする必要もありますけれどもね。

でも、学校の課題でチャート式を取りあえず学習していれば解けるというのはありません。まったく同じ問題が入試で出るということではなく、チャート式に乗っている解法が組み合わさって出る、あるいは少し変えられて出るということです。だから、理屈もよく分からずに丸暗記していてもできないんです。

昨日「関西学院大学に受かる英語の学習方法/関学の合格ラインとは?」に書いた通りです。チャート式などにかかれているどこの論点が聞かれているのか入試問題で判断できないと解けないんです。

ではなぜ、中学2年生から4年以上かけてチャート式を学習する中高一貫校の生徒が関学に行けないのか?

でも、普通に本屋で売られ、多くの学校で配られているチャート式は特別に難しいことをする訳ではありません。それでも、そんな一般的な参考書を4年以上も勉強する中高一貫校の進学校の生徒の多くは関学には行けません。このあたりでは序列3位の六甲レベルでさえ、真ん中にいないと進めません。ということは、こういう進学校では中学受験で優秀な生徒を集めて、しかも通常の高校の1.5倍の時間をかけて、本屋で売っているような一般的な参考書を理解させることができていないということを意味します

何故でしょう?

最近の高校生を見ていると、特に私学で、学校の課題にがんじがらめにされて目の前の課題を終わらせることしかできない生徒が昔より増えています。各教科の教師が自分の科目を勉強させたいから、お互いの連携もなしに、各々課題を放り投げるので、総合的に生徒がどれだけの量の学習課題を与えられているか判断できないのです。だから、溢れかえっている課題に生徒はアップアップして、満足に理解する時間がないことにも考えが及ばないんです。各教師が「私はこれだけしっかりと教えています。ホラ、宿題もこんなに出しています。」と言いたいのでしょうねぇ。

中には、教師の自己満足なのか、生徒に「オレ様を崇拝しろ」と言いたいのか分かりませんが、難題を放り投げて、ろくに解説もしない教師も進学校には多いです。ほとんどの生徒は時間を食うだけで何も役に立ちません。「進学校の宿題に小言を言いたいです」に書いた通りです。

中間管理職による現場のマネージメント機能がない学校や塾では、現場の教師が各々勝手なことをしていて、生徒はどうなっているのか総合的に判断する機能がないんです。これが進学校に進んでも関学にも行けない状況を作り出している大きな原因のひとつです。

速過ぎる学校の授業と溢れかえる課題に押し流され溺死している

従って、多くの生徒は十分に考える暇もなく、分からないところを復習する余裕もなく、次々に与えられる課題をこなしていかなければなりません。だから、数学では参考書の解答をなぞって解き、英語では先生の言った和訳を丸暗記する学習に走ります。理解するまで学習を進められずに、表面をなぞった学習に終始するのです。理解をする暇など与えられないんです。塾のHP「進学校の指導」に書いた通りです。

その結果、高校の学習を一通り終えた高校2年生になって、3年分の学習がまるっきり理解できていない生徒が多数出来上がります。進学校に入り、早い授業の必死に食らいつき、大量の課題をこなし、それで公立高校で普通に使われているチャート式を理解できいていない生徒が量産されるんです。「私が見た最悪の学校指導・・中2で青チャート、高3で白チャートを教える進学校」の通りでございます。

その結果、ほとんどの進学校の生徒は、小学校時代から尻を叩かれ続けた挙句、公立校でのんびりクラブでもやっていれば進めたのと同じような大学にしか進めません。だって、六甲レベルで真ん中で関学ですよ。甲陽レベルでも真ん中くらいにいないと上位の国立大学には進めないんです。じゃあ、ほとんどの進学校の生徒は公立校と同じ大学に進むことになります。中学受験で少しマシなくらいの進学校に放り込む親御さんは、決定的にこのことが分かっておられないんです。「進学塾や進学校の生徒が抱える学習問題・・根っこは親です」「進学校の生徒が普通の高校の生徒に追いつかれる理由」に書いた通りでございます。

誰が進学校を進学校たらしめているのか理解すべし

以上が、進学校に進んでも多くの生徒が関学に進めない理由でございます。高校から普通に高校の勉強をする神戸高校の真ん中で合格し、御影高校でも上位2~3割に入れば合格し、芦屋高校でも上位1割に入れば合格できる大学に、驚くほどの努力とお金を使って合格できない理由です。

だから、こういう子供を連れて塾に来て「何とかしろ」という親御様には、「学校の成績を上げることより、(私立文系になるんだから)英語と古文の基礎学力を身につける学習をしましょう。」と私は言うんですが、聞き入れる方はほとんどいないです。「せっかくいい学校に入ったのだから、学校の成績を・・・」という親御さんがほとんどです。

その進学校を「いい学校」たらしめているのは、無理難題をぶつけてくる学校の学習をこなして血肉にできた上位の生徒の進学実績で、彼らの血肉を作るために多くの生徒は切り捨てられているという現実を、ついぞ理解されないまま進学校から下流大学へと流れていかれるのでございます。「学校間で起こる逆転は学校内ではおこらない/無理に上位校に行ってはいけない理由」に書いた通りでございます。これが、進学校が多量の落ちこぼれを作り、中位では公立校並み・下位では公立校より悲惨な進学となる最大の原因です。

子供の能力を超えた授業速度と課題でいくら努力しても理解不足が積み重なること、そういう高度な授業を受け止められる上位の生徒以外は容赦なく切り捨てられること、これが進学校の悲惨な進学実績の要因です。

進学校の名前だけに踊らされてこの現実を見ていない親御様は、子供を潰します。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。