関西学院大学に受かる英語の学習方法/関学の合格ラインとは?

あきれ果てる予備校や塾の宣伝

少し機会がありまして、グーグルで「関西学院 逆転合格」というワードを入れてサーチしてみました。そしたら「高校3年生で偏差値40から関学合格」とか「今から関学に逆転合格」というような宣伝文句の予備校や塾は出てくるわ出てくるわ・・・それも、私のとこのような怪しい小さな塾ならともかく、大手の予備校や塾です。

特にひどかったのが「教えない塾」で急速にフランチャイズを広げた大手の塾です。もちろん、「教えない」わけですから、経営者は脱サラ・リストラ後に、教えた経験もなしに、ひょっとしたらまともな受験勉強の経験もなしに、すぐに開業できる。学習補助に個別指導よりはるかに少ない数の学生アルバイトを雇えばいいのだからフランチャイズで急速に事業拡大できる。そういう安易な塾が「高校3年生で偏差値40から関学合格」って謳ってるんです。

これで引っかかる親がいたら、子供を塾に行かせる前に、親が病院に行った方が良いと思えるくらいです。

関西学院に受かるライン

何度も書いていますが、少子化の影響で、親世代の甲南大学に行くレベルの生徒が今や関学に受かってきます。「関西学院大学は親世代の甲南大レベル/それでも関学が名門になった理由」に書いた通りです。そのレベルとは、学校から配られる問題集をキチンと出来ているレベルです。「キチンと塾に来てもらえれば、甲南大学くらいには放り込みます」に書いた通りです。そんな難しい問題を入試で出しても、レベルの下がった生徒に解けるわけはないのですから、入試問題が学校から配られた問題集レベルなんです。甲南大学など、教科書ができていれば合格してきます。「中堅大学の最近の入試問題など中学生でも解ける」に書いた通りです。

では、どうすれば学校の問題集ができて関学に合格できるようにかるのか? 簡単に言えば、数学では青チャートや黄色チャートを、英語ではForestなどの参考書と付属の問題集をできるようになるにはどうすればよいかということです。

じゃあ、そのラインに到達するには?

数学では、解答を見て自分で考え、例題を自力で解き切る。解けない時はどこが分からないのか考えて、先生や友達に聞いてみる。これだけです。ところが、出来ない多くの生徒・関学に受からない生徒は、解法を見ながら、例題に当て込むようにして解いていきます。そら、考えずに丸写しするに近いんですから、ものすごく楽なんです。分からなくて解答を見る時でも、「フンフン、こうするのね~」と解答を丸写ししてできる気になって終わりです。自分がなぜその解法を思いつかななかったのか、その原因は何が分かっていなかったからなのか考えることはありません。

英語の文法の問題集なんかでも同じような学習をします。解答を書き入れて「そうなんだぁ~」で終わる生徒が関学に落ちてきます。なぜそういう解答になるのか考えない。考えても分からない時はForestなどの参考書で調べない。人に聞いても「そうなんだぁ~」っと頭の中を素通りして終わりです。長文読解などでも、関学に受からない生徒は英単語の意味を調べて、その意味を適当に並べて日本語を作るだけです。

要するに、頭を全く働かせない学習、義務を終わらせるだけの学習をしている生徒は関学には受からない。数多くの生徒を教えてきた確信です。

関学に受かるラインの具体例(英語)

例えば、昨日高校1年生から聞かれたIt is the differences that cause many problems. という簡単な文がを参考に説明しましょう。この文では、意味を適当に並べて「たくさんの問題を引き起こすのは差異です。」とほとんどの生徒が訳します。It~thatがあるから、中学で学習した形式主語として認識して、それで意味が繋がるからです。

こういう生徒は、形式主語のIt~thatのthatは接続詞であるから、that以下に cause many problems.のように主語がない句が来るなどあり得ないことが分かっていないんです。となると、中学レベルでは、この文章はthatを主格の関係代名詞として「それはたくさんの問題を引き起こす差異です。」と訳さねばならないのですが、これも文法的に誤りです。なぜなら、主語のItは複数名詞のdifferencesを補語にできないからです。

ということで、この文章は高校の教科書に載っている文章だけあって、中学では習わない強調構文だということになるんです。The differences cause many problems.の主語が強調されてIt~thatの間に放り込まれているだけです。ということで「その差異こそが、たくさんの問題を引き起こす。」という訳になります。

関学レベルの入試問題は、こういう基本的な高校の文法が理解できていて、キチンと訳せるかを見ているんです。難しい難問が出るわけではありません。学校の問題集ができていれば合格すると言ったのは、そういう意味です。

関学に受からない生徒とは?

この強調構文というのは、中堅の公立高校に合格できる学力があれば、ほとんどの生徒は理解できます。だから、某大手塾のように「高校3年生で偏差値40から関学合格」は可能かもしれません。構文を一通り教えるのなら1ヵ月もあればできますから。おそらく、このことをこの塾は言いたかったのでしょうか?

ところが、問題はこの高校の文法の強調構文を知っていたところで、上の文は訳せないことなんです。上に書いたように、接続詞の定義や単数複数の定義という最も基礎的な文法知識を用いながら、問題ごとに何が最適か探さないといけない。この「知恵」と「経験」を身につけるのに時間がかかるし、最初に書いたように「解答丸写し」「そうなんだぁ~」という生徒には、強調構文は「そうなんだぁ~」と理解できても、強調構文を見抜ける知恵も経験も、いくら学習しても身に付かない。

It is the difference that causes many problems.とdifferenceを単数にすれば、このthatは関係代名詞でもOKです。It is the differences that they lead in many problems.とすれば、that以下は完全な文ですので、この文は「多くの問題で彼らが導くことはその差異である」という形式主語かも知れないし、「それは、多くの問題で彼らが導く差異である。」と関係代名詞の目的格であるかもしれない。leadは自動詞でも他動詞でも使えるからです。もちろん「多くの問題で彼らが導くものこそ差異である。」と目的語を強調した構文で訳してもかまいません。

だから、この教科書の文章は、あるいは入試問題では、複数回答にならないようにdifferencesという複数形を使ってあるのです。それが理解できて正確に訳せる生徒でないと関学には受かりません。

こんな知恵が半年やそこいらで身に付くと思いますか?

関学の合否ラインは、「強調構文」を知っているという知識のラインではなく、強調構文を見分けられるという総合的な知恵の有無のラインです。別に、その知恵が複雑なものに対応できるかという上位の国立大学のラインでもありません。ただの知恵の有無のラインです。

だた、学校や塾で「そうなんだぁ~」と頷いて解答を丸暗記している多くの高校生たちに「何がポイントか考えろ」って言っても、彼らは何をしていいのかさえ分かりません。様々な条件や知識を目の前の問題に落とし込んで判断する経験などないんですから。そういうふうに頭の歯車は働かないんです。ただ「じゃあ、何をおぼえればいいんですか?」としか頭は回転しないんです。これが「理解の壁/公立中学の通知簿3と4間に立ち塞がる途方もない壁」に書いたことです。

自分で「なぜか?」「どうしてか?」と頭の歯車を動かせる生徒は関学に合格できます。だから、私が「関学、頑張りましょう。」と言ってお預かりする生徒は、体験授業などで頭の歯車が動いていると判断できる生徒です。基礎学力が全くない偏差値40は論外ですが、その時点での偏差値はあまり参考にはしません。けれど、歯車を動かすトレーニング期間が短かすぎる高校3年生の2学期になって、「偏差値50から関学に!」って言われても「無理です。」っていいますよ。

頭の歯車が動かない生徒には、「難しい。」と正直にお答えします。こういう生徒たちには、彼らの学習で何が足りないのか、いくら説明しても分からないんです。いくら説明しても「じゃあ、何をおぼえればいいの?」しかないんですから。おそらく、学習だけでななく、社会生活への疑問なんかでも、クラブ活動の練習でも、頭を働かせて「これはこういうことだったのか!」「あの先輩は、こう体を動かして上手くやっているんだ。」などと考えたことがないはずです。だから、成績の悪い生徒はクラブ活動もダメなんです。「勉強ができる子供は、なぜ体育の成績もいいのか?」に書いた通りです。

お父さんが反省すべきこと

勉強だけ教えて短期間で何とかなる問題ではないんですよ。仕事も一緒でしょ?ある業務内容だけ若手に教えてもできるようにはならない。その業務を支えている知恵という総合的な能力を持っていない人間はどの部署に行っても、どんな業務に就いても仕事はできない。

若い間に仕事でもがき苦しみ、自分で自分なりの仕事の進め方を身につけた人間でないと、他人からのアドバイスや研修は知識で終わってしまい、知恵として血肉にならない。結果、仕事として他人様を納得させられることはできない。だから「一人前」という言葉がある。

勉強も同じです。親御様は、他人様相手に職場では分かっていることが、自分の子供で勉強となると見えなくなるんです。だから、「高校3年生で偏差値40から関学合格」とか「高3の秋から関学に逆転合格」というような親を馬鹿にして金を巻き上げる塾が跋扈しているんです。

 

ホームページはコチラ

芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。