学力と遺伝の関係 研究所と芦屋、「のだめカンタービレ」のモデル:アルゲリッチに学ぶ
否定的な経験/理系の遺伝
私がかつて勤めていた大手企業の研究所は、最寄り駅が無人駅という関東の田舎にありました。人口も少ない田舎に、旧帝大クラス卒でそこの修士卒の人間が700人以上集まっていました。当然、近くの小学校・中学校はその研究所の子供たちが多くを占めます。中学受験なんてやらそうにも、田舎で出来ないんですから、その周囲の兼業農家の子供たちと同じ公立校に通います。
ところが、その小学校と中学校が、その地域でも「デキが悪い」学校で有名だったのです。その研究所では「何でやねん!」とみんな言っていました。自分たちが入れば、もちろん学年トップクラスの父親ばかり揃っているんですから。
・・・・私は、「理系バカの学習障害は悪い目に出る事が多いのか・・」と眺めていました。
では文系は遺伝するのか?それとも教育環境か?/都会では違った結果が
上の経験は、今巷で言われていることとは正反対のことです。今の一般論では、親が高学歴→収入が高い→教育費がかけられる→塾・私立受験→有名大学→有名企業就職というものです。これは私立受験できるような都会部には工場や研究所より、本社や支店が集まるので、文系の親に当てはまることではないのかと思っていました。
では、理系の学力は遺伝せずに、文系の学力は本当に遺伝するのか?・・・芦屋に住んで多くの中流家庭以上の子供を教えていると、教育環境の差っていうのはあまりないから、上の経路が本当だとすると文系の遺伝が主要因になります・・・でも、親が一流企業の社宅にいて、子供は残念なのって結構多いです。
私は、「顔だけ」で職場結婚したり合コンで嫁さんを選んだからじゃないのか・・・と、綺麗な奥さんが多い芦屋でやっかんでいます。
文系は遺伝するのか?/因みに、私の好きな音楽界では?
まず、最初に言わなければいけないことは、演奏者と作曲家はまるで別だということです。作曲技法が形式主義で他の作曲家の材料を寄せ集めれば良かったバロックや古典派の自作自演のバッハやモーツァルトまでは、作曲家と演奏者は同じことがありましたが、それ以後は別が多いです。作曲家は音楽の作曲技法という数学とまるで同じような手法をものにした人たちで、演奏家はその複雑な作品のアウトラインを掴んで表現することが得意な人たちです。
音楽業界は、いわば理系と文系の代表者なわけです。ミュージシャンと同じく自己表現という才能が必須の芸能人に、数学は壊滅的で歌や絵が上手いのが多いのは、私的には納得できる話なんですよ。けれど、親子揃って優れた理系の作曲家はもとより、文系でも親子そろって名演奏家はほとんどいません。2世芸能人でマシなのが少ないのと同じです。完璧な遺伝子と教育環境、出世ルートがありながらもです。
最高の遺伝子を持つ猛女でも無理/文系の遺伝の完全否定
中には、マルタ・アルゲリッチという猛女がおりまして、この世界最高でおそらく不世出のレベルの女性ピアニストは、他のピアニストが色欲など捨てて精進しているショパンコンクール前に他の音楽仲間と赤ん坊をこしらえ平気で優勝し、その後はデュトワという最高級の指揮者と子供をこしらえ、最後はマイスキーという世界で5本の指に入るチェリストと子供をこしらえて、世界最高の名を欲しいままにした猛女です。もう、英雄色を好むを地で行った女だと言われていますが、私はどうもそれだけとは思えないんです。
だって、色を好むだけなら、経済力があるんですから結婚なんかせずに男漁りを楽しめばいいんです。私は、彼女の結婚は恋愛至上主義だけではなく、それほど才能のない男との恋愛でできた最初の子供に音楽的才能がなかったものだから、音楽的才能の遺伝子を探し求めて才能ある音楽家だけと恋愛して子作りをしたんだと思うんです。でも彼女の野望は敗れ去り、子供は誰一人としてモノになっていません。最高のブリーディングで最高の教育環境も出世ルートも用意できたはずなんですが・・・。ということは文系でも遺伝は否定的です。
「のだめカンタービレ」のモデルも遺伝子とは関係ない突然変異
因みに、アルゲリッチ自身が、才能の遺伝など関係ない天才です。彼女は、幼稚園で自慢してきた友達の演奏を「そんなもん、何よ!」って見様見真似でピアノを見事に演奏して周囲を愕然とさせました。これが、「のだめカンタービレ」の主人公のモデルになったお話です。主人公が口をとがらせて弾くのも、欲望一直線なのもそっくりです。
アルゲリッチはその後ピアノをはじめ、わずか8歳でオーケストラとモーツアルトの協奏曲を演奏し、それを聞きつけた知事が大統領に引き会わせたそうです。その時の有名な逸話、アルゼンチン大統領:「お嬢ちゃん、誰にピアノを習いたいの?」、アルゲリッチ:「フリードリッヒ・グルダ♡」、大統領:「お前、来月からウィーンのオーストリア大使館勤務な。」、才能とは無縁の公務員だったアルゲリッチの父親:「エッ・・・」で、アルゲリッチはヨーロッパに渡ったのであります・・そう、アルゲリッチ自身が遺伝も環境も全く関係なく生まれた突然変異なんです。
・・・まあ、こんな女ですから、ウィーンではピアノより他のことを色々学んだらしいですが・・・何しろインタビューでご自身が恥ずかしげもなくお答えになってますから。ということで、最近のアルゲリッチは衰えました。あの、宝石箱をぶちまけたような、それに加えて女にしか弾けない扇情的で魅惑的な音楽はもうありません。
理由は、年齢的に女性としての欲望が消えたからだと私は踏んでいます・・・なんと単純な・・。そら、温泉に入りに「別府アルゲリッチ音楽祭」なんかに来るようになったんですから、アルゲリッチも終わってます。かといって、ルービンシュタインのような成熟もないのでは、聞く価値ありません。