教師・講師の能力とは?/個別指導のキャバクラ・ホストクラブ化
生徒の分かっていないところを見抜ける能力
自慢ではありませんが、私は中学の教科書でも、各校バラバラな高校の教科書でも、長文読解の問題集でも、初見で「アッ、コイツやったらこの文法分かっていないわ。」「この子の能力なら、この構文は訳されへんやろな。」と言うのが分かります。数学でも「この子は、この問題は解けるが、コッチは無理やろな。」と言うのも分かります。だから、「ここは説明しないと。」「ここから説明しよう。」と教え始めます。
私が、個別指導で一番大切にしている能力です。
けれど、それがない学校が多い/塾でさえある
もちろん集団授業では、その「このランクの生徒たちやったら・・」というレベルを、生徒の上位・中位のどこに置くかで授業内容は変わってきます。
ところが、そんなことも考えずに教材会社から言われた問題集を投げつけるだけで、ろくでもない授業をしている学校が多いです。「学校や塾の授業は参考書の進歩に追いつかない/学校の問題点」「高校の数学で暗記をさせる教師・・・最低です」に書いた通りです。
例えば、英語で本文を読んで和訳して、そのページで教えなければいけない重要構文を丸暗記させて、それで終わっている英語の授業が学校や塾の8割を占めます。教科書本文で「この生徒たちやったらこの前置詞の使い方は分かってないやろ。」とか「この構文は複雑で、読めんやろ。」とかいうところを解説している授業は本当に少ないです。この原因は、教師がそういうことを考えられない能力不足なのか、そういう考えを持たない不感症なのか、給料さえもらえればどうでもいいから指導解説書の内容を板書しているだけのダメ教師なのかは様々でしょう。
けれど、生徒が辞めない学校ならこうなることは分かりますよ。でも、塾や予備校でも結構あるんです。私が教えていた、神戸大学に進んだ生徒は、得意の英語に磨きをかけようと私の塾に行きながら大手の予備校の英語クラス、もちろんそれなりのレベルのクラスです、を採りました。けれど、「あんな授業じゃあ、自分でやる方が効率的。」と1ヵ月少しで辞めましたよ。当然、このレベルの生徒では教える側の評価もできるわけです。その生徒相手に、こういう授業や講師を許している大手の予備校って・・・。まあ、看板で生徒が取れるから、学校化していい加減になっているでしょうねぇ。
個別指導など、教える側が教えられる側の能力を見抜けて初めて充実した授業が受けられる
大手予備校でもこんなことがまかり通っているんです。その辺の、個別指導のアルバイトでどうなっているか分かりますか? 「どこが分からないのか分からない。」なんていう生徒にも、教科書や参考書をオウム返しのように教えるだけです。だから、こういう塾から移ってきた生徒では、今教わっていることの土台となる基礎学力が穴だらけなことが普通です。
私には、「ここを教えてこんなこともできていないんだったら、前のこの分野ができていないから復習させないとダメだろうに・・」と思えることが、アルバイトの学生にはできない。もちろん、そういう能力も経験もないのか、「アルバイトごときでやってられるかい」というのかは、本人次第ですけれどね。
個別指導に多くを求めるのは無理
だから、こういう講師相手には、生徒側から「ここから分からんから、ここから教えろ。」「まだわからん。この部分を分かるように説明しろ。」といえる能力が必要なんですよ。ということは、こういう個別指導は、少なくとも関学に合格できるような高校生が、塾の講師を副業にしているような神戸大や大阪大の学生相手に個別指導を受けるという状況でない限り成立しないと私は思っています。副業にしているというのは、こういう連中です。「予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」まあ、コイツは格が違うほど凄腕ですけれどね。
でも、個別指導はそのレベルの生徒は普通教えられません。だって、普通の大学生なら普段から高校の勉強を復習しているわけでもなく、受験が終わったら忘れています。そうだったでしょ?家庭教師の経験をしたことがあるお母さんやお父さんもおられるでしょう。中学生は教えられたけど、高校生は教えられなかったでしょ?
関学以上の受験生を教えられる大学生など、ほんの少数です。そういうことができる学生は医進系の塾などで特別に高い時給を貰います。副業化してるんですよ。卒業後、自分で塾を開くようなのも多いわけです。そのへんの駅前の個別指導でソコソコの授業料なんかじゃあ、無理なんですよ。だから、そういう難しいことを教えなくてもいいような生徒の補習塾として個別指導は成り立ちます。
だから、個別指導の教室はキャバクラ・ホストクラブになる
けれど、以前から書いていますが、そういう補習塾に来る生徒の成績を上げるのは、私のような経験の長いプロでも至難の業です。学習の前に性根を叩き直さないといけないからです。「中間テストの結果から見る成績中位と上位の差/秋風が身に染みるぜ」「成績が伸びない子供の特徴/阪神の藤波投手に学ぶ」に書いた通りです。大学生ごときに出来るわけがない。程々の成績の子を個別指導塾に週1回か2回行かせて、アルバイトの指導で成績を上げようなんて、「不可能」なんです。断言します。「不可能」です。
それに、そんな子供に、性根を叩き直すような厳しい授業をまともにして「あの塾、嫌や」なんて言われたら元も子もありません。アルバイトの学生も、親からクレームが来て、塾長からガミガミなんてごめんです。個別指導のアルバイトなど、塾にごっそり中間搾取されて、気を遣う割にそれほど実入りのいいアルバイトではないからです。
ということで、成績など上げるのは放棄して、「かっこいいお兄さんとお話ができる。」「キレイなお姉さんの横に座れる。」から「成績が上がらなくても行きたい」と、成績が上がらずに親が塾を変えたくても生徒が通いたいというのが、個別指導塾の営業形態となるのです。まあ、極端な言い方をすれば、キャバクラやホストクラブと同じです。当塾のHP「他の個別指導との違い」の通りです。
だから個別指導の大手塾なんて、子供の話し相手として小綺麗な学生しかアルバイトで雇わないんです。ベテランで良い講師であったとしても、昔講師をやっていて子供の手が離れたお母さんはもちろん、私のように鬱陶しいいオッサンなんて論外なわけです。