デキる生徒とデキない生徒の学習効率／調査書が絶対の理由

デキる生徒とデキない生徒の学習の効率

「デキない生徒とデキる生徒の学習の違い」にも書きましたが、デキない生徒は学習が遅いです。題意を把握できないから、考えることが多すぎるんです。そして、答え合わせをしても正解を書き入れるだけだから、いつまでもできない問題はできないままです。デキる生徒はデキない生徒より、学習速度も速く、学習の意図を考えてできない問題を解決していきます。

私が公立中学で通知簿4の上半分と3ぐらいの生徒を見ていると、学習スピードが倍違います。それにデキない生徒は、3割違えても間違えたままです。デキる生徒は1割間違えても、その8割は解決していきます。ということは、出来ない生徒の成果は、１ｘ0.7＝0.7です。デキる生徒は２ｘ(0.9+0.1×0.8)=1.96です。毎日、毎日2.8倍の学習効率の差があります。

逆転は不可能

デキない生徒は、答え合わせもせずに、間違いを考え直すこともなく、できないことはできないままです。これが1年間200日続くとすると、デキない子は0.7×200=140です。デキる子は1.96×200=392です。できることが250違うことになるんです。まあ、140で追いかけてる限り、追いつくのは不可能です。

もちろん、この学習効率の差は学習が難化する高校に入ればさらに広がることになります。学習が難しくなって、デキない子の0.7が0.3ぐらいになります。一方で、特別な子は除いて、デキる生徒でも0.9が0.8や0.7に下がってきます。それに難しくなった高校の学習ではできる量も少なくなってきます。デキない子では、１x0.7が0.3×0.3＝0.09に落ちてきます。デキる子でも、1ｘ(0.8+0.2×0.5)=0.81ぐらいに落ちてきます。けれど、その差は9倍に広がります。もう追いつくとかどうとかいう話ではなくなってきます。

簡単に言うと、これが高校で上位の生徒を追い抜かすのは限りなく難しいという現実になるわけです。

だから、下位で高校には入るな！

高校受験でも、中学受験で内部進学することになっても、高校に下位で入ると逆転不可能で、大学受験の失敗とイコールということです。「進学塾や進学校の生徒が抱える学習問題・・根っこは親です」の通りです。一方、学校間では、上位校と中位以下の生徒と下位校の上位の生徒の逆転という不思議な現象が起こります。「ジャック・ウエルチに学ぶ　高校進学に伴う成績逆転の謎　」の通りです。

だから、高校に中位以下で進むようになる受験は絶対にダメです。

でも、この効率差が縮まる期間が一度だけある！

この差が縮まる期間が２カ月間だけあります。それは、公立中学の生徒の３年の１月～３月半ばの２ヵ月少しの期間です。何度も何度も書いてきましたし、「中学３年の冬休みまで本気を出さない子供たちの将来」にも「デキない生徒とデキる生徒の学習の違い」にも「真剣な学習ができない子供たち／大人の通過儀礼が必要なのか？」にも書いてきました。

入試が目の前にぶら下がってくると、このデキない子供が豹変し、デキる子供へ変貌を遂げます。高校受験程度ではデキる子供は受験前には完成していて伸びしろはありませんが、デキない子供は伸びしろだらけです。そこで、デキる子なみの効率2×0.8ぐらいで頑張りだすんです。デキる子の学力が上限で停滞しているこの時期だからこそ急激に差は縮まります。

だから、調査書は公立高校受験で絶対

これが、公立高校の受験では調査書が絶対だという理由です。当日のテストでは芦屋高校の生徒も神戸高校の生徒も、学校で今まで受けた来たテストほど差はつかない。だから、同じ高校の受験生なんかでは当日の学力テストで大きな差はつきません。調査書の逆転なんか無理なんです。ということで、私の塾ではテスト前には、塾の勉強を緩めてでも「副教科、しっかりやれ～い」と号令をかけます。

ところがこのスパートは夢物語に終わる

ところが、このスパートで中堅高校に潜り込んだ生徒は、これを反省として頑張らずに、「最後少し頑張ったら楽勝！」っていう成功体験に味を占めるんです。それで、高校ではますます酷いことになります。「学校の授業時間以外に全く又はほとんど勉強し … – 文部科学省」の通りでございます。

「のど元過ぎれば熱さ忘れる」なのか「三つ子の魂百まで」なのか、難しいところでございます。高校に入ると、上に書いたようにギャップは大きくなりすぎて、大学入試前にはいかに足掻いても逆転なんかできません。「偏差値30からの大逆転、びりギャル」なんて、「お局30歳からの大逆転、玉の輿」くらい難しいと思います。