「言うことを聞かない」子供が許される教育現場/その子供を許容する親への対応
最近、目立ってきた「言うことを聞かない子供」
最近、私のようなどちらかというと厳し目の大人が、「これをしなさい」と言っても、無視して自分の勝手な学習をし出す生徒が増えてきたように感じます。何度説明しても説得しても、スケジュールにも学習内容的にもそぐわない学習を進めているのですから、「こっちをやれ」と最後は怒るんですが、まったく効果なしに平気で自分の選んだ学習を続けます。仕方なしに、「さっさと終えて、こっちをやれ」ということになります。
だって、今の時代、机の上に広げてある問題集やノートを私が無理やり鞄に押し込むわけにも、机から叩き落すわけにもいきません。結局は、こちらの言うことを無視してことを進める生徒の粘り勝ちになります。
そして、そういう状態を親に伝えると、帰ってくる返事は、一様に「先生の指示通りやっていると子供は言っている」です。でも、これはウソをついているわけではなく、仕方なしに「じゃあ、さっさとやってしまえ」と私が言った言葉を受けて、許容されていると受け取るからなんです。
おそらく、親にも、学校でも、塾でも、あらゆるところでこういうことをして、あきれ果てた大人が怒り疲れ、あるいは面倒になって放置すると、「自分の言うことは認められた」と勘違いしてきたんだと思います。
大人でもこういう方は増えてきたような気がします
厚かましい人間が好き勝手振る舞っても、周りは迷惑なのだけれどトラブルを嫌って、あるいは関わり合いになりたくなくって、放置する。相手は図に乗って、ますます好き勝手にふるまい、周囲はいつまでも際限なく我慢を強いられるというような状況が、公の場でいたるところで目に付くように感じます。
こういう大人の社会は子供の鏡なんです。学校や塾はおろか、親までも子供に対して「面倒ごとは御免だ」という対応をしてきた結果、上に書いたような子供が激増してきたんだと思います。別に不良でも、反抗的なわけでもなく、ごく普通の生徒が大人の言うことなどに耳を貸さず、自分の好きなことを押し通すことが増えてきて、塾の指導で困ったことになることが増えてきています。昔はこういう生徒はいませんでしたよ。
こういう生徒を野放しにしておくと、他の生徒にも悪影響を及ぼし塾の統制が取れなくなるので、「生徒に塾を辞めてもらうとき/私もとてもしんどいです」に書いたように、限度を超えた生徒を辞めさせた訳です。どの生徒も、あれほど毎日注意を受け、「辞めてもらう」とも何度も言われ、それでも実際に「辞めろ」と言われると「先生の言う通りやってきたのに。」とショックを受けていましたから、本当に自分のやっていることに無自覚なんだと思います。
昔は大人の言うことを聞かない子供は反抗的なワルであって、「辞めろ」も「退学」も織り込んで、あるいは覚悟してやっていたと思うのですが、今の大人をスルーする子供は普通のいい子です。だから、親も塾を辞めさせるなど言われると怒るんだと思うんです。昔のワルの親なら、「そら、この子なら仕方ない」と思ったでしょうから。
で、こういう親子に対する学校や塾の対応は?
こういう無自覚ないい子と、その状況を認識してない親御さんは、当然学習の状況と進学先についても認識できていません。恐らく教師からも、塾からもトラブルが起きない範囲ではやんわりと言われるのでしょうが、そんなことぐらいでは気づかないです。模試の偏差値でもE判定でも無自覚で気づかないんですから、やんわりとした言い方ぐらいで気づくはずがありません。
けれど、こういう親子で不思議なのは、気づいていない予想外の進学結果になってしまっても怒り散らすとかはなく、割とすんなり受け入れるんですよね。酷い点数を取り続けても好き勝手やって夢のような進学を語っていたあの言動は何だったのかと、私はよく不思議に思います。あれは現実の生活に目を背けて、「インスタ映え~」って写真撮ってSNSに挙げてるのと同じ感覚なんですかね?
だから、こういう親子はまともに取り合わないで、塾や学校も「大丈夫ですよ~」ってお愛想を言いながら、適当に教えているのが最善の策なのではないかと思います。そして、多くの学校や塾では、その通りの対応がされています。他にやりようがないですからね。私のようにまともに取り合っては、親と喧嘩になるか、子供を辞めさせるしかなくなる。どうせ酷い進学になっても、文句もそれほど言わず、すんなり受け入れるんですから。どうせ人生「インスタ映え」なんですよ。
・・ホントに、最近、普通の子供や親で、「コイツ、舐めてるのか?」というのや、「この親、いったい何を考えてるんや?」というのが増えて来てますから、学校や塾もそれに合わせて対策するしかありません。