塾の顧客管理/私は小規模の塾を守るために、丁寧な指導に専念します

スポーツクラブで学ぶ顧客管理

私は埋め立て地にあるスポーツクラブに10年以上通っていました。ヨットハーバーに面し、窓が大きく取られ、開放的で、リゾートに来たような気分にさせてくれるからです。

ところが、最近このスポーツクラブを辞めました。理由は客層が劣化してきたからです。コロナが蔓延している時期に、ノイズキャンセリングイヤホンをしても無駄なほどの大声でおしゃべりをし倒している多くの女性グループ、マスクもせずに更衣室やジャグジーに長居して我が物顔で喋るやくざ風の男・・などなどがあまりにも目に余るようになったからです。

いくら店長に言っても、本部にメールしても改善されず、辞めることにしました。

その他、このスポーツクラブは、機器を占領するムキムキマンや、他の利用者など顧みずローリングターンで長距離をマイペースで泳ぎ切る利用者など、我が物顔を振る舞う利用者が野放しにされていました。

ロケーションや設備は素晴らしいのに、残念です。

何故こんなことになったのか

ひとつは、少し不便なところにあるため、設備の豪華さに比べて利用料金が安く、程度の悪い客が集まりやすかったのではないかと思います。

また、利用者を野放しにした管理体制が勝手気ままな利用者が心地よく使う環境を作り上げて行ったのではないかとも思います。そうして、他のスポーツクラブで窮屈な思いをして移ってきた勝手気ままな利用者が、このクラブに溜まることになったのではないかと思います。

いや、スポーツクラブとしては後発で準大手のこの企業は、他のスポーツクラブからあぶれたそういう顧客を受け入れることである時期からビジネスをし出した。そして、それに我慢できなくなった私のような人間が辞めた、ということなのかなとも思います。というのは、昔はもう少しスタッフが現場で客に注意をしていたからです。

塾も同じです

私も塾を始めた頃は自信もなく、毎日学習できるのに他の塾より低めの授業料を設定していました。その結果、やはり良い生徒が集まらなかった。生徒の質が向上し出したのは、塾の指導に自信を持って授業料を値上げし出してからです。もちろん、塾の質が原因なのか、価格帯が原因なのかは分かりませんが、その当時はこんなブログも書かず入塾前から塾の質などは分からないわけですから、価格帯も大きな要因であったと思っています。

休塾する数年前からはだんだん入塾条件を上げて行きました。塾を再開して1年経った今はより厳しいものにしました。恐らく、今どなたに塾に来ていただいても、「何でこんな生徒がいるんや?」とか、「この生徒のサボっているから、私も。」というようなことは一切ないはずです。そういう生徒さんで、定員は埋まり、空き待ちをして下っている方も複数人おられます・・というか、空き待ちの方は名だたる進学校が多く、定員を埋めるのを焦りすぎたと反省しているんです。

私の塾では、授業中の3時間半の間、生徒間の私語は一言もありません。一言もです。私が教えている声と、生徒が受け答えしている声しかありません。そして、「お前、いったい何考えてるねん。しっかりせい!」と私が怒鳴りつけないといけない生徒も今はもういません。

でも、この塾のレベルを維持できる条件がもう一つあります

塾再開後1年で生徒のレベルを上げられたのは、こういう失礼なブログを書いて、それに納得してくださる方のみに顧客を絞ったからです。このブログを読んで塾に来てくださる方は、普通の方より学校や塾の状況がよくお分かりで、子供についてもそれなりのレベルで悩んでおられる。最初から優れた顧客が来てくださる。そして私の方も、小規模な塾のため入塾希望者より定員が少なく、顧客を選択できるからです。今までも、かなり多くの方の入塾はお断りしたか、入塾希望されないように誘導しました。

一方で、このブログを読んで「酷いことを書くな」と入塾を希望されない方の多くは、親のウケを狙ってビジネスをする教育業界の砂糖菓子のような言葉を真に受けておられる。もちろん、うれしいことを言ってくれる方になびく方は圧倒的に多いため、多くの顧客を必要とする大手の塾や生徒数の多い学校はそういう顧客のウケを狙ってビジネスをするしかない。

逆に言えば、そういう親では、子供は躾けられておらず、学力もなく、塾がトラブルまみれになることも覚悟しているビジネスなわけです。上のスポーツクラブと同じです。多くの客を相手にすれば、勝手気ままな客も受け入れざるを得ず、酷い状態が常態化しトラブルが起こり優良顧客(私がマシかどうかは知りませんが)が離れることを覚悟しても、そろばんをはじくビジネスになるわけです。

塾も中途半端に規模を大きくすれば、必ず生徒確保に走り、塾の質は下がります。そして生徒確保のために、塾の経営方針は万人受けのものとなり、大手と同じようなものになって中小企業は値下げ競争しか勝ち目はなくなる。これは、塾に限らずどの業種でも同じです

特に、人にまかせて広げるステップアップ時が一番難しいです。どんな顧客も受け入れないといけない上に、中小企業でまともな従業員が雇えないため従業員の管理も難しいから、質の悪い従業員は質の悪い顧客など管理できない。従業員と顧客の両者が相まって酷いことになり問題が多発し、優良な顧客が離れます。この状態が、後発組で準大手だったスポーツクラブの状態ではないかと思います。

ここで準大手から優良な社員を雇用できる大手にジャンプアップできるのは、こういう厳然とした現実があるのですから企業努力だけでは無理です。従業員の質やサービスの質が悪くても、需要過多がそれを打ち消して成長できる成長分野だけで可能です。だから過当競争下の塾では今更成長なんか無理だと私は思っています。逆に言えば、どんな塾でも成長できた需要過多の20年以上前にジャンプアップに成功した塾だけが大手の塾や予備校になっているんです。そういうところは、看板で優良な生徒を上位コースに集め進学実績を叩き出し、それを撒き餌にどうでもいい普通以下の生徒をかき集め利益をひねり出します。「スイミングスクールと学習塾や進学校は同じビジネス手法です」の通りです。

私に事業拡大能力はありません。丁寧に子供を見るしか戦略はありません。

私の場合は、小さな塾でしかできないことをしっかりやって顧客に納得してもらう以外はありません。小さな塾にかできないこととは、「進学に重点を置いた集団式の個別指導です/当塾の強みと弱みを考えてから入塾希望してください」にも書いた通り丁寧に子供を見ることです。

大きなレストランチェーンを相手に競争に生き残れるのは、料理をきちんと分かってくれ、店の雰囲気を壊さない顧客が集まってくれる腕が良く親切なオーナシェフがやっている小さなレストラン以外はないんです。価格競争をすればイタリアントマトや松屋に勝ち目はない。その上、低価格のサービスには、酷い客が集まり、トラブルだらけになることも多い。店を中途半端に拡大しても、本社従業員の質も伴わず、セントラルキッチンや物流などの面で大手のファミリーレストランなどに勝ち目はない。

だから、松屋やロイヤルホストに満足しない少数の顧客をいかに満足させるかに心を砕く以外ない。それは、私の塾の場合、生徒を毎日丁寧に見るということです。そのためには、丁寧に見れるレベルの生徒を集める必要もあります。ここでいう丁寧とは、どうにもこうにも行かないレベルの生徒の尻拭いのために、他の生徒の指導がおざなりになるということではありません。丁寧に見れば、成績を上げ、満足できる学校に進めるというレベルのことです。そういう状態に、今塾はなりつつあります。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。