ベネッセのリストラに思う/通信教育が有益な子供は最上位だけ

ベネッセのリストラの記事が出ました

この記事によると、大きな事業軸であった進研ゼミのような通信教育がデジタルに移行しつつあり、料金の安い新規参入が増えて顧客が流出したことが原因だと書かれています。確かに、紙媒体が主体の通信教育は印刷や発行などに多くの人員と設備などを擁します。しかしデジタルでは必要な人員が少なく、費用を安く抑えることが出来ます。

おまけに、小中高生に教える内容など同じで、教え方も特別に分かりやすいものなどありません。評価も偏差値などの画一的なもので、どこも大差はない。差別化のない過当競争で値段勝負になっているのでしょう。

それに加えて、通信教育でキチンと学習する子供が減っている

長年子供を教えてきましたが、ここ10年くらい、特にコロナを境にして上位以外の子供の劣化が進んでいると感じています「平成から令和にかけて子供の学力は低下している/公立中学男子のお母さんは特に気を付けよう」。私の日々の経験を通した感触は、文科省などの調査によって裏付けられています「令和3年度全国学力・学習状況調査 経年変化分析調査」。

その結果、ミドリゼミでは公立中学で通知簿3が主体の生徒はもうお預かりしないようになっています。あまりに努力が出来ない、あまりにいい加減で、私のような厳しめのベテラン講師が直接指導するような形態でも教えきれなくなってきているからです「公立中学は改善されているが、学力が伴っているとは言い難い理由」「公立中学の通知簿3は、教えるのが無理になってきている」「中学1年生の計算問題で分かる「もうダメ」な生徒/でも公立中学通知簿3のデフォルト」。

進研ゼミはこの下半分の生徒を主要な顧客にしているのではないかと思います。上位層は通信教育でも違うものを選びます。それに、優秀で頑張る子供の多くは、都市部では中学受験塾や高校受験塾で学習して進研ゼミでは学習していない子供が多いからです。

でも、主要顧客がこういう怠け者なら、私のような講師が目を光らせていてもダメダメなのに、通信教育の教材を放り投げるだけでまともにやるハズなんかないじゃないですか。

もちろん、地方にお住まいで近所に良い塾がないという方も多くいらっしゃると思います。だから、これは都市部だけの話です。

通信教育が役に立つ子供とは?

まず条件として、通信教育などの一方通行の学習方法でもキチンと学習できる子供だということです。これだけで、かなり限られた子供ということになります。でも、そういう子供ならわざわざ通信教育をしなくても、学校の問題集をしておけばいいのです。それで足りないのであれば市販の問題集を買ってあげれば済むことです。

最初に書いたように小中高生など学習することは決まっていて、それをどう解説するのかも決まっています。別に解法を教えてもらうだけなら、学校で十分です。練習をしたいのなら、通信でも本屋で売っている問題集でも何でもいいわけです。だから、金を使うのは通信教育より、授業や市販の問題集で分からないことを個別に質問できる塾です。だから補習型の個別指導塾が繁盛しているわけです。

あるいは、学習状況を管理する人間です。ここに目を付けたのが武田塾です。学習管理としては受験に向けて学習を先導するペースで進める進学塾、鉄緑会のような塾もそうでしょう。でも、こういう生徒マネジメントは通信教育の一番不得意とするところです。

しかしながら、こういう塾では基本的に学生アルバイトが授業をしていたり、自習室で教えているわけです。だから補習形式以上のレベルは無理だし、学校の授業や市販の参考書以上の解説などでさえ無理です。特別に高度な学習内容を教えきれる塾、分からない子供を個別に特別な方法でサポートできる塾などもほとんどありません。

だからこそ、その中でも映像授業で事足りる高度な内容に特化したyoutubeチャンネルが人気になっているわけです「お勧めのyoutube、どの学校や予備校の授業より優秀だと思います」。

確かにこういう番組では生徒の質問には答えてはくれませんが、こういう番組を見るレベルでは質問などほとんどなく、国公立の上位や早慶レベルの難解な入試問題にどうアプローチしていくかに視聴者の関心はあります。こういう内容なら、優秀な予備校講師を引き抜いて通信教育の教材を作れるはずです。

そこにしか通信教育のメリットと生き残る道はないような気がします。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。