関西学院もやっと気づいた凋落の原因? 一般選抜枠を5割超に拡大
昨年末、「年内入試時代に逆行 関西の名門大が一般選抜枠を5割超に拡大した理由 入試課長が口にした意外な言葉」というニュースが出ました。このニュースについて所感を述べます。この状況をご存じの方、忙しい方は最後の3章だけを読んでもらっても大丈夫ですよ!
関西学院だけが偏差値が落ちている状況
関西には、関関同立という有名私大が四つあります。長年この四私大間の順位は同志社と関西学院が上位、立命館大学と関西大学が下位にあたるという京都と阪神間でそれぞれ序列が出来ていました「関西学院凋落・偏差値低下の原因/関関同立内の順位変動」。
ところが、この10年ほどで、同志社はトップのままですが、関西学院の偏差値が下がり、立命館の偏差値が上がるという、京都上位、阪神間下位の傾向が出てきました。塾の生徒でも、芦屋という阪神間に住みながら、ご近所の関西学院を受験せずに同志社と立命館だけ受験する生徒もいます。
この関西学院が下がっている傾向は「「関関同立ダブル合格者」はどっちを選ぶ?【衝撃の最新25年度入試勝敗表】関西大がついに関西学院大に逆転勝利!」という記事からも分かります。
今年大阪大学に今年合格した生徒も関西学院は受けていません。関西では同志社と立命館だけです「大阪大学 経済学部の総合選抜で合格報告がありました」。あと早稲田と上智。全部受かってきました。これが、今の高校生の大学の評価なわけです。
私立中学受験でも、以前は阪神間では最寄りの関西学院や関西大学の付属が圧倒的でしたが、今は同志社や立命に通っている生徒も増えています。京都まで通っている付属校生徒に聞くと、この大学間の序列変化が大きく影響しています。
その理由の個人的推測
この理由を明確に説明した文章は読んだことがありませんが、この大学の偏差値の変動と相関のある関係を明確に示すのが内部進学・推薦入試と一般入試の比率です。
関西学院では内部進学や推薦入試の比率が関西学院だけ65%で非常に高い。逆に立命館が35%以下で一番低い。同志社と関西大学は50%くらいで、私立大学の平均値です。どの大学も一般入試の割合は下がってきていますが、関西学院大学は極めてその割合が低くなっています「立命館大学の偏差値が上がっている理由/一般選抜の比率が高い」。
塾などで教えていると明確に分かりますが、
①総論として、付属校の生徒は極めて学力が低い。上に有名大学がついているのだから、勉強しないで遊ぶという当然の理由です。
②次に総合選抜=自己推薦入試が低い。一応英検の2級などで学力の担保は取っていますが、学力で入試を突破できない生徒がイチかバチかで受験することが多い。
③次は指定校推薦です。学校の成績はいいかも知れないが、それは学校のテストで高得点を取る丸暗記が得意なだけで、理解力や思考力が伴わないので模試の偏差値が低い生徒が多い。模試の偏差も高いなら一般受験で選択肢を増やすはずです。特に中堅高校で少し成績が良く指定校推薦を取れたレベルでは一般受験で合格する生徒に比べて雲泥の学力差があります。(重要な注:例外があると怒らないでね!)。
このように一般入試で入る生徒に比べて、学力的に問題がある場合が多い。だから、必然的に大学の授業レベル、就職のレベルに影響を及ぼすようになってきているのではないかと想像ができます。このことは今までこのブログで何度も書いてきました。ポジショントークを抜きにしたら、教育関係者で反論をする方はおられないと思います。
偏差値を上げてきている立命館大学の副学長自身が、一般入試の比率を高めている理由について「高校で最後まで勉強し、確かな学力を身につけた人に来てもらい、大学でいろいろなことにチャレンジしてほしいと思っています。一般選抜の比率が高いのは、確かな基礎学力を備えたうえで、多様な学習歴を持つ人に来てほしいという大学側のメッセージでもあります。」とおっしゃっているのですから「立命館大・伊坂忠夫副学長「関関同立で一般選抜の比率が最も高い理由」」。
では、一般入試枠をなぜ関西学院は削減したのか?・・・個人的推測
それは少子化が進む中で、以前と同じ一般入試の枠を維持していたら、以前より偏差値が低い生徒を入学させざるを得ず、一般受験の合格者の偏差値から割り出される大学の合否基準の偏差値が落ちるからだと私は推測しています。
大学での学生の質や教育の質を犠牲にしてまで、偏差値という看板を守りたかったのではないかと思うわけです。それで、「多様性」という世間体のいい言葉を利用して様々な推薦枠を広げた。けれど、長年そう言う誤魔化しを続けてきて、推薦枠の学生が増えるにつれて学生の質が低下してきて、様々な影響が出てきてた結果ではないかなと思います。
特に関西学院では推薦枠を通常の私立より広げ過ぎて、結局は偏差値にまで悪影響が出たという悪循環が起こったのではないかと思います。
その理由をやっと明確に大学関係者が語った?
ところが、最初に挙げた「年内入試時代に逆行 関西の名門大が一般選抜枠を5割超に拡大した理由 入試課長が口にした意外な言葉」というニュースでは、関西学院大学側はこのように語ってます。
①「年内入試はペーパー試験だけでは測れない、多様な才能を持つ学生を確保できることも魅力だった。旧AO入試にあたる総合型選抜は、英語資格や探究学習の成果、面接などで合否を決めることができる。関学も25年度は、合格者の入学が条件である総合型選抜(自己推薦のことです)で438人に合格を出した。現場の教員からは「総合型選抜で合格した学生が、ゼミで議論を引っ張っている」などと評判は上々だという。学校推薦型選抜を経て入学した学生も「全国各地から進学しており、真面目に取り組み入学後も確実に力を付けています。中退率が高いということもありません」と評価は安定しているそうだ。」・・・何で「真面目に取り組み」とか「中退率が高くない」とかわざわざ強調しているのよ!ダメ前提のお話になってるじゃん!!・・・ゼミで議論を引っ張るほど優秀なら推薦枠が多い今のままでいいじゃん!ということになります。
②しかし、一般入試を増やす理由ではこうも語っています。「入試制度ごとのバランスを踏まえた上で、受験生の多様性を重視しています」「一定の学力があるか、ないかを問うのが一般入試だと思うかもしれませんが、一般入試の中でも受験生の多様性を求めています」と配点の見直しなどを語っています。配点レベルの多様性ではなくて創造性や社会貢献なんかという入試では測定できない多様性が欲しくて一般入試減らしたんでしょ? そういう多様な推薦組がゼミで議論を引っ張ってるって書いてたじゃん。何言ってるのか皆目理解できません。
③一方で、学力はある程度確保されている指定校推薦については「指定校推薦で入学した生徒にも高い評判の生徒が多いことは事実ですし、本学に目を向けていないエリアの高校に指定校推薦の枠を出すことで受験のきっかけになることもあります。しかし、学業面での状況を考慮し、推薦枠を適切に見直していきました」と数を減らしています。
私が教えている高校などでも指定校推薦の枠は中堅校を中心に減ってきています。確かに、中堅校で評定4程度じゃあ、学力は保証されません。でもそんなことは指定校推薦枠を広げる際に分かっていたことです。それでも、クラブ活動などとバランスよく学習して全科目でまじめに頑張る優等生を欲しかったんではないんでしょうか。「英国に絞って、他はどうでもいいから」というような個人的利益重視の一般受験以外に、勉強もクラブも学校に言われたことを忠実に守るいい子が日本の会社組織でもやっぱり適しているということで、こういう生徒も選択肢に入れたかったのではではないでしょか?
尚、指定校推薦で述べている「本学に目を向けていないエリアの高校」からはそんなに多くの生徒が応募するとは思えません。これは後程書きます。
(私の所感)
ここまで読んで、関西学院が何を言っているのか、私には分かりませんでした。結局は、内部進学の数は減らせない。総合選抜の枠はSDGs的多様性を掲げてきたの意地と面子にかけても否定したくないし維持しないといけない。でもホンネは学力アップに一般受験は増やしたい。じゃあ、指定校推薦減らすか・・・という単純な理由だとしか考えられなかったのです。
やっと、インタビューの最後で本音が出た
最後に関西学院は「国公立大では後期日程の廃止・縮小が進み、倍率は高止まりしており、3人に1人は落ちる計算です。本学が京大、阪大、神大の学生を取り込まなければならないと思っています」と言い出しました。
そりゃあ、英国社や英数理一科目しか勉強できずに偏差値もソコソコの関関同立が第一志望と比べれば、大阪大学や神戸大学のボーダーで滑り止めに関関同立を使う高校生の学力は全く違います。上位国立大学を紙一重で落ちた高校生に来て欲しいのがよく分かります。というのも、こういう受験生が偏差値を上げてくれているわけですから「神戸大? 関関同立? 産近甲龍南? 偏差値を見なくても分かる判別法」。
この本音の意味分かります? これこそ関西学院が対面している恐ろしい問題なのです
でも、この大学関係者の真意は、塾や高校関係者以外は分からないと思います。そこには関関同立の受験生の層と「共通テスト利用」という受験方式が大きく影響しています。
共通テスト利用とは、国公立大学志望者が受験した共通テストの得点のみで私立も合否を判断するというものです。国公立大学の二次試験の受験準備をに忙しい大阪大学や神戸大学の受験生は、、わざわざ二次試験前に私立の滑り止め受験になんか行きたくはないわけです。だから、共通テストで神戸大学レベルの得点が取れる自負がある優秀な受験生は、共通テスト利用を選ぶことが多い。そして、この層こそが関西学院大学の最上級レベルの受験生であり、偏差値を引き上げている層でもあるのです。
しかし、受験会場に行かなくてもいい入試方式ということは、阪神間だから受験にも便利な関西学院という選択はないわけです。上位の受験生は共通テスト利用で偏差値が上の同志社を受ける。さらに東京の早稲田などにまで手を伸ばす。最初に紹介した大阪大学に合格した生徒の受験方式も、国立大学に集中したいため、私立の多くは共通テスト利用の受験です。受験会場が近いという理由では関西学院を選ばなかった。
一般受験枠を減らしたことは、こういう関関同立の最上級の受験生を取りこぼして偏差値が下がり、それが悪循環して最近では優秀な受験生から選ばれなくなってきた可能性があります。この厳しい現実に関西学院は対面せざるを得なくなっているのではないかと推測しています。
だったら、「関西学院大学は学力の高い生徒を優先しています。一般入試の枠拡大します!共通テスト利用枠広げます! 大阪大学や神戸大学を本気で狙っている優秀な皆さん、共通テスト利用でも同志社を滑り止めにしないで、関西学院を受験してください!その期待に添える大学にしていきます。」と正直に言えば、生徒や親には伝わると思うんです。先に書いたように、立命館の副学長はまさにそういうメッセージを出していたでしょう?
受験生は受験という自分の人生を賭けた生身の真実を前に、大学のセンセー方のお花畑満載の「多様性」も大学側の面子も眼中にないのです。眼中に入れている連中は「偏差値で合格判定Dだから、何とか推薦でもぐりこもう」という連中が多いのが事実です。そういう連中と大阪大学を紙一重で落ちた生徒の学力差や努力できる力の差がどれほどのものかは、高校や大学それに塾の関係者なら誰でも知っていることです。
本当に人生の一大事に面している人間は、本音しか判断材料に選ばないと思います。
その他の関西学院の取り組みは成功しているか?
関西学院は受験会場を地方にまで広げ受験生の拡大に努めています。これが偏差値アップにはなかなかつながっていません。
この理由は、今の若者には東京が別格に魅力的で「どうせ下宿するなら東京の大学の方が良い」という理由が大きいと思います。地方で関関同立を上位で合格する層=MARCHに合格する層は、下宿前提では関関同立は受験しない。東京の大学に行きます。これが最近MARCHと関関同立の偏差値格差にも出てきています。
だから、関関同立の自宅通学者の割合は全般的に7割以上ととても高いです。近畿圏では名門大学でも、その他の地域では地方大学なのです。しかも、その地元の共通テスト利用の最優秀な受験生は同志社や、もっと優秀な層は早稲田や慶應に流れて関西学院は受験をしない。
だから、関関同立は受験会場を地方に広げるより、まず阪神で同志社に持って行かれた優秀な地元の層を取り返すことを考えなくてはいけないと思うのです。そのためには共通テスト利用の受験層を取り返すことだと思います。


