経済格差は学力格差という大ウソ/教育業界の広告戦略に載せられる親たち
経済格差が学力格差を産むという誤解
経済格差=学力格差という考えは定着しつつあります。これは本当なのでしょうか?
灘や甲陽の上位のレベルの生徒では、もちろん中学受験は有利に働くでしょう。それは大昔から変わりません。でも、親がいくら金をかけようが、いくら尻を叩こうが、そもそもデキが違わないと行けません。
では、その下ではどうなのか? 例えば、甲陽に真ん中ぐらいで進む生徒や六甲を上位で進む生徒=大阪大学や神戸大学に進む生徒なら、普通に公立高校を受験していても神戸高校や御影高校に進むはずです。そこで一生懸命学習していれば、大阪大学や神戸大学に進むはずです。
最上位はカネの前に才能がいる。次のランクは公立校でも同じじゃあ、経済格差などウソじゃないの? これは20年以上中学受験の本場の芦屋で塾を開き、500人以上様々な学力の生徒を個別指導してきた私の絶対的な揺るぎのない結論です。
そりゃあ、同じ教材を使うんですから同じでしょう。
高校で使う参考書など決まったのものです。数学ではチャート式、入試前に入試問題集でもやるくらいです。英語では文法の問題集と参考書、まあフォレストなどが有名ですが、それで基礎を固める。2年位から長文読解の問題集、英語長文問題精講などと構文・熟語問題集、入試頻出英語標準問題1100などをするだけです。
出版社が少子化の中で厳しい競争をして作っているんですから優劣がそれ程あるわけでもないので、他の問題集を使っても同じです。学校が特別な教材を作成して、それが凄い代物で卒業生から購入をしているなんて話も聞いたことがありません。要するに、やっている学習は私立でも公立でも大差ないんです。多くの私立の生徒を教えていると、私立の教師がとりわけ優秀だとも感じていません。私立か公立かと言うより、教師個人の資質による優劣のほうが遥かに大きいです。予備校、有名私立が魔法のような教材や指導を持っているわけではありません。
じゃあ、私立でも公立でも同じじゃないの?
加えて実感する、最上位校で許される研究者崩れの教師のくだらない授業
特に進学校では、研究者などになれなかった教師の自己満足としか思えないような「なんじゃそれ?」「入試に何の役に立つ?」というような授業が横行しています。教師の欲求不満のはけ口に授業を利用しているとしか思えません。そんな授業をされても一流大学に進学するのは、ひとえに生徒が優秀だからです。かなり多くの上位の進学校には「特別な素晴らしい授業」があるのではなく「特別にくだらない授業」があることは断言しておきます。その下のレベルの進学校でも時にはいますが、そこまでは酷くありません。そんな授業をしたら生徒は自分でリカバリーできませんから。
これ、私が自分の判断で研究者を辞めた立場だからよく分かるんです。こういうエリート崩れのくだらない教師が進学校で多いことは断言しますよ。
でも、カリキュラムの差があるんじゃないの?
ただ、違いは進学私立は中学2年生から高校の学習を始めるということです。ということは、高校2年生の半ばには高校の学習が終わって、1年半は受験対策に専念できることになります。公立高校では、進学校は授業が前倒しになりますが、半年くらいしか先持って授業は終わりません。当然進学私立が有利なわけです。
ところがです、これは、中学2年生の理解力も発達していない脳に、高校の授業を詰め込むということです。中学受験でも早生まれ遅生まれは大きな合否要因です。もちろん、学年が上がっているので成長格差は少しは緩和されますが依然大きな要因です。「早生まれの学力不利益/学歴差は就職差になり所得差にもなる」の通りです。
だって、高校2年生と中学2年生を見比べたら、それこそ大人と子供くらいの差があります。見た目も、行動も、好みもです。これは動物の発育=脳の発育とイコールです。だから、無里なカリキュラムで難しい高校の授業を進める進学校に無理やり中学受験で進んでも、半分以上が落ちこぼれて「こんなことなら、公立で十分だった。」ということになるんです。「進学塾や進学校の生徒が抱える学習問題・・根っこは親です」「進学校の生徒が普通の高校の生徒に追いつかれる理由」に以前書いた通りです。
ですから、上位の生徒の進学だけを考えてカリキュラムを組む学校のペースに余裕で対抗できる上位の成績で中学受験も高校受験も行う必要があるんです。しかし、中学受験や高校受験が目標となって「一つでも上の学校に」と思い込んでいる親の耳には届きません。「スイミングスクールと学習塾や進学校は同じビジネス手法です」「私が見た最悪の学校指導・・中2で青チャート、高3で白チャートを教える進学校」などにも書きました。
なぜ学校は上位の生徒の進学だけを考えるのかって?有名校・大学に行かさないと宣伝にならないでしょ。親御さんはその進学実績に釣られて入学するんですから。上位の進学校なら京大や大阪大学は宣伝になっても、苦労して中下位の生徒を関学に行かせても宣伝になんかならないんです。それはお読みのお母様方が一番よくお判りでしょう。これは京大や阪大を灘や甲陽、神戸高校と置き換えれば中学受験や高校受験の塾も一緒です。「通知簿3の生徒を採らない進学塾/その理由」の通りです。
本当の最上位以外は無意味
その早く速いカリキュラムを消化して、高校2年生の後半から十分に受験対策を取れる生徒には進学校のカリキュラムは有利に働きます。けれど、そんなことは京都大学以上に進む生徒か、国公立の医学部に進む生徒以外には関係ありません。国公立の医学部には、長田高校も神戸高校でも、公立校はほぼ全くいません。灘などの名前が轟いている最上位の進学私立がほとんどです。
ということは、偏差値が75以上の子供が、親の金で最上位の私立=灘や甲陽の上位に進み国公立の医学部に行く世界以外は、経済格差=進学格差など全く関係ないということです。学校から与えられた問題集をマジメに勉強し、受験前には先輩や近所の方からもらった受験用の問題集をし、必要であればネットで最近の過去問題を調べれば、大阪大学や神戸大学に進んで一流企業で年収一千万円という目論見など楽勝で叶えられます。
99%以上の子供の親は、塾や私立学校の宣伝に乗せられて、経済格差=学力格差と思い込んで、大金を搾り取られているに過ぎないというのが、20年以上塾を経営し、500人以上個別指導してきた私の結論です。