進学塾に下のクラスで入る愚かさ/公立中学の学力と入塾基準

進学塾から体験授業に来た生徒の学力

先日、大手の進学塾に通っている子供の体験授業を行いました。公立中学で通知簿3の生徒です。

まず親の話を聞いて「これでは教えられるかどうか分からないな・・」と思っていた私は、体験授業で子供に簡単な方程式の文章題を出しました。単位計算を含んだ問題が、「頭のネジが動いていて、教えれば伸ばせるか」の最低限のレベルを見るのに最適だからです。

「自宅からA町まで行きます。途中のバス停まで時速4㎞で歩いて、バス停からは時速40㎞で走るバスに乗ります。A町までの距離は20㎞で、1時間かかりました。自宅からバス停までの距離を求めましょう。」と言うような問題です。

ピタッと鉛筆が止まったまま、10分間、一文字も式を書けません・・今通っている大手の塾の名前を聞いて嫌な予感はしてたんですよ。この塾の下のクラスから体験授業に来る子供は、こんなのばかりです。「酷い塾が多くないですか(怒)?」で書いた通りです。

考え方・解き方を教わっていない

私は、「文章を頭で整理できないから解けない。線分図に距離と速度と時間の関係を書き出しなさい。」と言いました。一応線分図は書きましたが、文章の数字を書き込むだけで、X(エックス)をどこに入れていいのか、まるっきり分からないんです。

要するに、考え方や解き方を教わっているんじゃなくって、「こう解きま~す」と解答を教わってそれを丸暗記させられているだけなんです。少し問題を変えられれば解けないし、この生徒のように学習後少し時間が経てば完璧に忘れます。

これは別にこの生徒だけの問題ではありません。今の塾はほとんどこの方式です。だって、苦労して解き方を教えても、苦労して勉強したくない子供は聞き流しているだけで、頭のネジなんか1ミリも動かないです。解き方をおぼえさせる以外手はないんです。「公立中学の下半分の落ちこぼれ感がハンパない/落ちこぼれた生徒の見分け方」の通りです。

進学塾のビジネスモデルを分かっていない愚かな親

もちろん解けないのは分かっていますから、塾はプリントや宿題を出して「私たちキチンと教えてます」感を親にアピールしてお茶を濁します。「スイミングスクールと学習塾や進学校は同じビジネス手法です」に書いた通りです。ハナッから成績を上げようなん思っていないんです。

上のクラスの上位の成績の子供が叩き出した進学先を見て、「アソコに行けば成績が上がる」と考えて群がるバカな親から授業料を搾り取ることしか考えていない。大手の塾は、看板で成績のいい子が集められるので、その子たちをソコソコ教えていれば自分達で勝手に成績を上げて行ってくれるから(生徒の能力だよりということ)、それでいいんですよ。

肝心なのは、看板で成績の良い子供を集めて進学実績を出して、それを撒き餌にしてどうでもいい子供を多数集めて金を取るビジネスモデルが上手く回っているかどうかだけです。この生徒の通っていた塾は、これが最悪に酷い。以前に来た子供では小学校3年間この塾に通っていて、中学に上がる時に来て、単位計算の時速や%はもちろん、割り算さえできていませんでしたから。

親が一番悪いと思います

この大手の塾の生徒が何人か来ましたが、来た生徒全員こんなです。酷いですよ。詐欺です。親も、中学生くらいなら、テストの答案を見て「こりゃあ、ひどいな~、全然ダメやないか。」くらい分かるでしょう。「大手だから安心」って塾に放り投げているからこんなことになるんですよ。

無暗な私立信仰と中学受験をする親と同じくらい愚かだと思います。「進学塾や進学校の生徒が抱える学習問題・・根っこは親です」「中学受験や高校受験をターゲットにするな/燃え尽き症候群・勘違い症候群はヤンキーを生む」「経済格差は学力格差という大ウソ/教育業界の広告戦略に載せられる親たち」もまた、真実だと長い経験から私は確信しています。

公立中学の学力

この生徒が、公立中学で特別酷いわけではありません。典型的な通知簿3です。「公立中学の下半分の落ちこぼれ感がハンパない/落ちこぼれた生徒の見分け方」に書いた通りです。

公立中学の学力は昔のように、真ん中の成績に生徒が多い典型的な標準偏差のグラフのようになっていません。上と下に別れているフタコブラクダのコブのようになっています。下のコブの生徒の典型が、この生徒です。上のコブの生徒は、頭のネジが回ります。学習方法を改善し、上の塾のような所に入れられているのならキチンと教え直せば成績は上がります。けれど下のコブの生徒は、もうムリです。「頑張れない子供の場合、私はお母さんのために頑張っているんです」まで頑張る私がムリだというのだから、本当にムリです。

通知簿4は上のコブです。3は下のコブです。だから、オール4の場合、私はほぼ無条件で引き受けます。3と4が混ざっている生徒は入塾させません。

これが、私の塾の公立中学生の入塾基準です。

何でこんな生徒に通知簿で3がつくのか?/親も忘れている重大な原因

生徒たちはもちろん、親も真ん中の成績なので「普通」って安心してるんですが、それは過ちだということに気づいていないんです。

成績の良い生徒の大半が中学受験で抜けているんですよ。その上絶対評価で甘い通知簿がつく。8割以上の生徒に3以上の成績がつくと考えていい。だから、今の通知簿5の大半は昔の4です。その証拠に、神戸高校の大学進学実績は昔の御影高校の上半分と同レベルです。で、順繰りに下がって、今の通知簿3の下半分は昔の通知簿2なんです。

こう書けば、単位も漢字もおぼえられない現状に納得されると思います。

ホームページはコチラ

芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。