The Roseで行う英語の授業

先日、ブログを書くのに久しぶりにこの曲を聞きました。エエ曲ですな。このビデオの映像も素晴らしいです。ゆっくりとした歌ですし、難しい単語もそれほどない。発音もきれいなのでリスニング教材としてもいいと思います。ご覧あれ。

The Rose / Bette Midler

長いから、最初と最後だけ書きましたが、メロディだけでなく歌詞も素晴らしいです。

Some say love, it is a river
That drowns the tender reed
Some say love, it is a razor
That leaves your soul to bleed
Some say love, it is a hunger
An endless aching need
I say love, it is a flower
And you, its only seed

When the night has been too lonely
And the road has been too long
And you think that love is only
For the lucky and the strong
Just remember in the winter
Far beneath the bitter snows
Lies the seed that with the sun’s love
In the spring becomes the rose

1番の解説 新中3でもOKの英語

このsomeは誰かという人の意味です。itは前のloveしか単数名詞で受けられるものがない。「愛、それは河だという人がいる。」という意味になります。thatは前のriverを受ける関係代名詞で、drownは溺れさせるという他動詞です。「愛、それは心優しい葦を溺れさせる河だという人がいる。」という意味で、もちろんreed葦とは愛という風に吹かれて心が揺れ、そして愛に押し流される人の比喩表現です。

次も同じ構造のセンテンスです。to bleedは前のsoulを主語とする不定詞の形容詞的用法です。leaveは~という状態にするという意味ですから、「愛、それはあなたの魂が血を流す状態にするカミソリである。」が直訳です。まあ、日本語風に訳せば「愛、それはあなたの魂を傷つける刃物である。」くらいでしょうか。

次は「愛、それは空腹である。」に続き「終わりなく痛む要求」という名詞句が並列されています。文法的な証拠も何もありませんが、hungerとneedの類似性を考えれば、後半はhungerを言い直した同格の表現であると思います。ただし文法的な確証はありません。「愛、それは終わりなく疼く渇望のような満たされぬ思いである。」くらいでしょうか。

そして、「私は愛、それは花であると言い。」、「あなたはまだ種に過ぎない。」と言います。これだけでは 男はまだ彼女の愛を受け入れていないのか、気づいていないのか、幼いのか、それは分からない。 でも、彼女は愛に流され、愛は刃物であり、満たされぬ思いなのだから、おそらく男との愛は困難に満ちたものだったんでしょう。

3番の解説 新高1ならOK

次は韻を踏んだ文章ですが、文法的に問題はありませんが、わざわざ現在完了にしています。beという状態動詞ですから継続です。「これまでずっと、夜が孤独過ぎた。そして道が長過ぎた。そんな時」ということです。ここのandは次の文のandから考えて、whenの支配下にあると見たほうが良いでしょう。次は、「あなたは愛は幸福な人や強い人だけのものだと思う。」です。the luckyのような形容詞の前のtheは形容詞を名詞化して~の人、~のものとなります。満たされる愛に苦しむ彼女の思いが良く分かります。今までずっと辛かったから、愛は幸福な人だけのものだと思っているということです。でも、このyouはここでは、相手の男じゃなくって、何か聴衆に向かって言っているような気がします。

3番の最後の文章 解説できれば関学OK

次の文章は難しいです。「ちょっとおぼえておいて」、「冬に」「苦い雪のはるか下で」次のliesが難しい。けれど、文法的にthe seed that the sun’s love in the spring becomesと続きbecomeという動詞があるので、thatは主格の関係代名詞でlieはその後ろに入るべきところが倒置されていて主語はsun’s loveまでと思われます。こういう倒置は助動詞などが前に出て分かりやすいこともあるのですが、ここでは本動詞が前に出される形態を取っています。

文法的にはありなんですが、少し面食らいます。 lieの前のFar beneath the bitter snows という副詞句から主語ではないということと、 後ろのthe seed that with the sun’s love In the spring becomes the rose という関係詞を含む文の流れから、上に書いたように倒置が分かると言うことでしょう。

もちろん、歌詞ですから、ここのメロディを口ずさむと、the seedを主語として最初に持ってくるより、lies the seedと言った方がリズムに乗せやすいということがあったんでしょう。

したがって、「太陽の愛と一緒に横たわる種は春には薔薇になる。」と訳すのが適切でしょう。「おぼえておいて、長く苦しい冬の雪の下でも、種は太陽の愛を浴びて、そして春には薔薇になるのよ。」くらいでしょうか。

オッチャンの妄想

ここで疑問です。まだ冷たい雪の下の男の種とはどういう意味なんでしょう? 心の冷たい男の愛の種子を、私の太陽の愛で薔薇のように咲かすという意味なんでしょうか? 届かない自分の思いを「冬の深い雪」と例えたのでしょうか? 冷たい男への思いと言うなら、もっと直接的な言い方もありそうです。

だから、多くの人はこの歌の最後で、まったく違う意味を感じることになります。「苦い雪の下で、太陽の愛を浴びて種は春には薔薇になる。」って言う歌詞に我々は震え、この歌のyouとは振り向いてくれない男ことではなく聴衆、私だと確信します。loveは男への愛だけでなく、自分への愛、自分の人生への愛だと気づきます。 まったく意味が入れ替わって、seedは自分自身のことだと思わずにはいられません。

「幸せはラッキーな人のものだけじゃない。困難の下で耐える種子のような人間でも、愛があればいつか薔薇のように花開ける。」と聴衆に呼びかけてこの歌は終わるんでしょう。だから、この歌は多くの人の心を打ち、名曲になったんですかね・・・まあ、オッサンの妄想です。

このビデオの見どころ

この名曲は、ベット・ミドラーが主演したThe Roseという映画の主題歌です。この映画は、天才ボーカリスト、ジャニス・ジョップリンの伝記映画です、この歌は、その類まれな才能で彗星のように現れ、ショービジネスの孤独の中、絶頂期に薬物で急逝した彼女のことを歌った歌です。

この短いビデオでは、愛を求め続けローズと呼ばれた歌手が愛に裏切られ 死んで行く映画のストーリーがそのまま描かれています。 「愛は薔薇になる」という歌詞が流れる中死んで行くビデオの余韻とともに、画面が切り替わり薔薇がしおれていきます。私はこの薔薇の映像に心を奪われます。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。