国語の読解力とは? 塾では対処のしようがないんですよ!

読解力には2通りあります

まずは、文科省が国語の授業で教えるように、各学年別に指導するものです。通常、読解力とはこちらのことを指します。段落構成であったり、登場人物の心理描写の読み取りであったり、教科書の各章の最後に「学習の手引き」などとしてまとめられているものです。いわば、文章を読み取るテクニックです。塾の仕事の範疇でもあります。

さて、もう一方の読解力とは学校や塾で教えられないものです。例えば説明文では、常識や史実、それに科学的な知識など、文章のベースにあって、当然日本社会の構成員なら理解していると作者が考えている一般常識がないことには読み取れません。もちろん、教科書やテストは、年齢相応の一般常識をもとに書かれている文章が選ばれるわけです。これは物語文でも同じです。当然、年齢相応に理解できる登場人物の心理が描かれているわけです。この常識や感性がないことには、いくら学校や塾で文章を読み取るテクニックを教わっても内容が理解できません。

公立中学で通知簿4、中堅公立高校(上半分)に進む生徒で問題になるのは前者

このレベルの生徒では、いくら学校や塾で一生懸命読み取るテクニックを教えても、まずモノになることはありません。数学や英文法などの明確な理屈も理解できない、あるいは理解する気がない子供が、もっとあやふやな読解のテクニックなど身につけられるはずがないでしょう。だから、最初に書いた読解テクニックも身につかないのです。

その証拠に、センター入試前などに「選択肢の選び方」なる予備校の集中講座を受けようが、同類の参考書や問題集を学習しようが、何を言っているのか書いてあるのか全く分からずに、鉛筆を転がしたより酷いことをしてきます。「キチンと読んでいない奴は、この表現でこれを選ぶ。」と出題者の思う通り引っかかって来て下さるからです。

国語の読解力を身につけられるのは、少なくともセンター入試で7割後半以上を取れる生徒、進研模試などの偏差値で65くらいある生徒だけです。中堅高校ならトップクラスの生徒のみ。このクラスの生徒なら、段落構成などを教え込めば読解力は上がり、成績も上がります。それ以外の生徒は、「先生のノートをおぼえましょう。」しか勉強方法はないと思います。

公立中学で通知簿3、中堅公立高校(下半分)に進む生徒で問題になるのは後者

しかし、問題はそれ以前のお話として、この下のレベルの子供たちでは、学校とクラブ活動とyoutubeとSNSの身内だけの世界で過ごしていてまったく社会的な常識がないことから、仮に読解テクニックを身につけても、そもそも文章の内容が把握できないということにあります。2番目に書いた要件が全く欠落しているから、友人関係やSNSと同じ小説文の心理描写は理解できても、社会・芸術・歴史事象について考察されている説明文など意味不明で読解力のテクニックもへったくれもありません。

例えば、少子化の問題に書かれている文章では、少子化がもたらしている経済・年金・福祉的な影響ぐらい分かっていないことには、読み取ることができません。経済的な知識がない大人が、「コロナで不景気やって言ってるのに、なんで株が上がってるんや?」と言う状況に、中央銀行や金融緩和の理解がないとまるで対処できないことが、国語の読解で起こっているわけです。

小論文など書きようもありません

まず、段落構成が理解できないから、自分の思う通り文章を書きつらねて、倫理一貫性のない文章になります。読み手は、どういう証拠からどういう考察があってその結論に書き手が達したのかまるでわかりません。もちろん塾では段落構成の指導はしますが、読解テクニックもないこのクラスの生徒に入試前の付け焼刃で「小論文の書き方」など指導できるはずもありません。「結論」「証拠」「だからこう考える」「そうして、こうして行こうと思う。」って順番に書くんや~・・・と強制するしかないんですが、それを言っても「不満」なんです。自分の思い通り書いていて満足していたことを「分からん」と否定されたことがないから、「他人に分かるように書け」と言われると物凄くストレスなんです。

さらに、それ以前の問題として常識的な知識がないとお手上げです。「ある企業が敷地の雑草を駆除するのに、人ではなく山羊を使い始めました。あなたはどう思いますか?」って聞かれた高校生が、「雑草を食べさせられる山羊が可哀そう・・」ってな調子で小論文書き始めたら、もう教えようがないんですよ。当然、この文章は「合理化とリストラの誤謬」の問題を聞いているんですが、そういう常識がない。次に、入試と言う公式の場で「山羊さん可哀そう」と書く思考回路・・・終わってるんです。ちなみに、これ実話ですから。

じゃあ、何が一番大切か? 結局は資質?

もちろん、生徒個人の資質が一番重要です。興味のない外の世界に興味を持てと言っても、しょせん無駄です。中には、なんとかしようと気づいてらっしゃる親御さんもおられて、積極的に旅行などにも子供を連れて行くんですが、子供の方は外の景色など見もせずにずっとゲームをしている・・なんて話はよく聞きますから。

そんな、こんなで高校生になって、まったく教科書の文章内容が理解できない多くの高校生に頭を悩ました予備校なんか、一時期「時事解説」というような参考書も出していましたが、テレビのワイドショーも分からない子供にそんな本を出しても無駄でした・・もうどうしようもないんです。上にも書きましたが、塾でも、小論文の指導なんかすると、文章構成を教える以前に、あまりの内容に途方に暮れるときがあります・・。

中学生や高校生になって自分から5m以内のことしか興味を持たない子供の場合、親がいくら誘導しようとしても難しいから諦めるしかないんでしょうねぇ。もちろん、そんな子供を塾に連れて行って読解力を鍛えても国語や社会の成績が上がるなんてありませんからね。まあ、一度「少子化」とか「学歴社会」「コロナ騒動」についてお子さんとお話をしてください。キッパリ諦められると思います。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。

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