成績の良い生徒は、こういう塾に行くことは自殺行為です

とある、驚くべきツィート

「先日、ある先生が中学生相手に英語の不定詞を教える時、「名詞や副詞的な用法とはね」から始まったので驚いた。いや、そんな難しいことを言わずに、文章をおぼえさせた方が抵抗は少ない。英語をきらいになるんではないだろうか? そういう教え方はどうなんだろう。」というようなツィートがありました。

これは、英語で最も大切でよく使う不定詞で、名詞的用法では「~すること」、副詞的用法では「~するために」、形容詞的用法では「~すべき」と簡潔に教える中学校の方法のほうが良いと言っているのです。この「~するための」という簡潔な教え方は、ほとんどの塾でも採用されています。「名詞的用法とは・・」と教える塾は、良心的でマトモな塾です。

というより「名詞的用法」を専門用語を書いている時点でアウトです。中学の少し上等な問題集ではキチンと解説もしてある「一般用語」ですから。こういうことを書く方が講師の塾は、上等な問題集も教えきれないということになります。それに、「名詞的用法」を教えられないことは、目的語や補語と言った文型を教えていないことを意味します。ということは、あらゆる文法の理解も、英作文も出来なくなります。そら、成績上位者にはアウトです。

それに、こういう教え方をすると、副詞的用法や形容詞的用法として修飾句の不定詞を使っているI go to school to teach math. というような簡単な文章が訳せなくなるからです。修飾関係をキチンと理解させなければ、英語を読めないし、書けないし、話せません。だって、to teach mathが、動詞を修飾する副詞的用法だとすると、「数学を教えるために学校に行く」となりますし、schoolを主語として修飾する形容詞的用法だと「数学を教える学校に行く」となり、まったく意味が逆になります。

この用法の違いは中学校で教えることになっていて、高校ではキチンと学習しません。だから、こういうことしか教えない学校や塾に通っていた子供や、教えられても理解する気がなかった子供は、高校になっても「~するために」と訳して大破します。大学入試では、そういう生徒の理解不足から誤訳が起こるところを突いてくるんですから当たり前です。

どうですか? 上の例文で「~するための」以外の形容詞的用法を思いついた保護者の方、どのくらいおられましたか? というのも、私もそう教わらなかったからです。お子さんも、「~するための」と教えるだけの簡単な授業でいいんですか? 私なら、通知簿で4を取る子供にこんな塾は行かせません。

だから、英語が苦手になる/頭から英語が読めなくなる

形容詞的用法では、I go to school to teach math.では主語として、I go to school to build.では他動詞の目的語として、I go to school to work for.ではschoolがforの対象の修飾語として、修飾されていることも教えられないから、正確に文章の構造が理解できないし訳せない。

だから、次のステップで、「英語は後ろに修飾語句を付け足していく言語」であるから、外国人はI go to school=学校に行く、それで it teaches math やI build it あるいはI work for itという内容を不定詞で付け足して話し・書いているだけなのだと教えられなくなるんです。

「私は~すべき学校に行く」「私は~するために学校に行く。」と前から修飾する日本語の型に当てはめて簡単に教えようとするから、後ろから修飾する英語の構造を正しく理解できない。だから、読めないし、書けないし、もちろん大人になっていくら英会話を習っても話せません。

この理屈を理解できて、修飾関係を考えながら読み進められる状態が「頭から英語を読める」状態です。基本的な理屈を知らないことには、修飾関係を把握せずに単語の意味を並べただけのメチャクチャな訳になります。私の経験から、こういうことを教えられないのが「甲南大学に行けない」レベルの高校生です。別の言い方では、ベネッセの模試で偏差値55以下の高校生です。さらに別の言い方をすれば「フレーズ英会話」なんかに走って、いくら英会話スクールに金を突っ込んでも一向に話せないレベルです。

でも、こういう指導法も理解できないこともありません

一方で、甲南大学以下の学生、すなわち過半数の子供に、こういう理屈を教えても理解できないし、理解する気もないので「~すべき、~するため、と訳すんですよ~」としか教えられないという、この先生の立場も分からないではありません。

もちろん、このようなことが全科目で起こるわけです。だから、こういう内容も理解もできない・理解する気もない生徒を預かっても「~するために、型丸暗記」レベルから成績は一向に上がらず、親から「ダメな塾」と言われることになります。それに、こういう生徒に合わせた授業をすれば、理解できる子供を伸ばせられないじゃないですか。

進学塾に下のクラスで入る愚かさ/公立中学の学力と入塾基準」と書いたのは、こういう意味もあるんです。もともと理解力はあるのに、サボっていて成績が悪くて進学塾の下のクラスに入れられ、型にはめた「~するために、ということです。暗記しましょう!」と周囲のダメな子供に合わせた授業を受けていればどうなると思います? そういう子供でヤル気に目覚めた子供が私の塾に来れば、奇跡的な成績の伸びを見せる場合があります。「教師の無責任な一言で失敗した優等生の大学受験」の書いた生徒が典型です。でも、数は少ないですよ。

私はこういうことを教えられない生徒は採らないことに決めています。それが公立中学で通知簿4というラインです。高校では、中堅高校の上位以上。多少努力すれば甲南、まともに努力すれば関学に進めるラインと言い換えてもいいです。こんな英語の簡単な理屈が分からない・理解する気がない・理解するのが嫌な子供たちが数学の中学幾何や関数、高校数学なんかできると思います?100%不可能ですよ。だから、教える側が精一杯教えてもダメなんです。

中学2年生で理解を伴った学習ができるか判別できる

言い換えれば、英語の「不定詞」や数学の「一次関数」「図形」、理科の「電気」「化学反応」という、こういう理屈の理解が必要な学習が増える中学2年生は子供の判別時期でもあります。中学2年生の学習を理解できない子供、面倒な理解を避けて同じ問題で間違い続ける生徒、やる気はあるが暗記だけで乗り切る能力しかなく今回はコッチ・次は忘れたアッチと間違えてくる子供は、その後の理解力がより必要な学習には全く対応できなくなります。

だから、進学塾の膨大な宿題で「型の暗記」を必死の努力でして、もし上位の学校に行けても、そのほとんどは多くは落ちこぼれます。必要な資質が違うからです。あるいは、「型暗記」の成功体験から暗記学習に突っ走り、理解力がものを言う高校の学習では玉砕することになる。

いくら金をかけて塾に行かせても、子供の能力が問題なのですから、成績は上がりません。だから、「考える力を育成する」というような言葉に魅かれてあっちこっちの塾に変わっても、上手くいきません。問題は子供の側にあるからです。そして、無理強いの学習で中学受験や高校受験は乗り切れても、無理強いできない高校の学習と大学受験でどうせ馬脚をあらわします。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。